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2話 秘密を知られたからにゃあ仕方ねぇ





「人間ひいき......?」

「あは、アハハ。ちょっとこの子おかしいんですよ。気にしないでください。」


っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!頼む。頼むのです。これは、頼まざるを得ないのです。神に祈らざるを得ないのです。神をだれよりも嫌う俺も、祈らざるを得ないのです。


「人間......ひいき?」

「あは、アハハハ。はは............。」

「もしかして、あなた......魔族なんですか?」


!”#$%&’)=~{*?*?>+‘*=%$#”&’!?!?!?やべえってやべえよマジで本当にヤバいってマジで。マジでマジだよマジで。バレちゃったよ!危うくばれちゃったよ!終わりだよ!何もかももうしめーだよ!チクショーコノヤロー!!!!


「いや、忘れてください。魔族扱いだなんて、本当に申し訳ない。失礼極まりない侮辱でしたね。」

「あ、いや。こちらもパーティーメンバーが馬鹿言ったせいで済まない。思い切りきつく叱っておく。」


おお、何か知らないけど、助かった!俺、助かったみたい!はぁ。どうなるかと思ったよ。だってさ、バレたら問答無用で帰って来い何て言われてる身としては、絶対にバレるわけには行かないんだよ。


「助けてくれて助かった。」

「ああ、気にしないで。またいつか、戦場で会いましょう。」

「おう、でも、今度は平和な酒場ででも会いたいな。」


これは冒険者の挨拶だ。『また戦場で会おう。』に対して、『だが、今度は平和な酒場ででも会いたいな』と、返す。酒場で今回のことを語りながら、酒を飲もう。だから、その時まで死ぬなよって意味らしい。解りづらいけど、人間らしくて俺は気に入ってる。


「あぶなかったね、ジゼル。魔族だってことがバレるかと、ひやひやしたよ。」

「ああ、それに加えて魔王だなんて知れたら、叩ききられるどころじゃ済まなかったかもな」

「いや、叩ききられるよりもひどいことって、そうそうないと思うんですけど......」


うんうん、それにしても、バレなくて本当に良かった。だって、バレたらあのアサシンに暗殺されるかもしれないんだぜ?自分で言うのもなんだけど、なぜだか魔王っていうのは首にお金......つまり懸賞金が懸かってるらしい。それに、魔王ともあれば国が買えるほどの金が。ってん......?ん?んん?んんんんんん????


「あは。アハハ。まだいらしたんですか、アサシン殿。」

「ええ。それにしても、今、興味深い話を耳にしたのですが。」

「ははは。そうですか。では俺はこの辺で............。」

「お待ちください!......魔王殿」


ぬ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”っ。よせ!その名で我を呼ぶなァァァァァァァァァァ!!!!頼む!魔王に何てなりたくなかったのだ。親父が......親父が!戦場で死に目を見てヘタレた兄貴より、戦場で幾重もの手柄を立てた、俺の方が魔王にふさわしいって言いやがったんだ!だから俺は逃げ出した!親父はまだ死なない。親父にまだ任せておけばいい!親父は、まだ1320歳だ!寿命にはあと五千年ほどある!


「俺は、魔王などになりたくなかったのだ......勇者になって、悪を滅したかったのだ......」

「......そんなこと言って、あなたも同盟をやぶったんでしょう?」

「......破って無い。破ったのは俺、最上もかみの魔王じゃなく、右上うじょうの魔王、左上さじょうの魔王、右下うしたの魔王、左下さしたの魔王。そして......最下もしたの魔王。俺の他の五魔王どもだ。あいつら......条約は魔王三人の同意がなければ成立しないっていう規則をもとに、四人で反意をしめして条約が締結されていなかったことにしたんだ......」

「そ、それじゃあ、貴方たち最上の魔王だけ、条約に則していたってこと?」


驚愕に目を見開くように大きく目を開けて質問するアサシン。......まるで、魔王は全てが敵だと思っていたような驚きっぷりだな。......まぁ、考え方としては間違っちゃいないけどな。


「そうだ。俺たちは、本気で人間との和平を......共存を......和解を望んでいたんだ。なのに、やつら魔王どもは..................!!!!」

「......そんなに大変なことが起きているときに、貴方はなぜ冒険者なんかに?」

「奴ら魔王をぶっ飛ばして目を覚まさせる......いや、暴力で従えるためだ!」


魔王らしく、暴力で目の前にひれ伏させてやるぜ!と勢いをつけてそう言った魔王は、とても生き生きしていて、とても魔王らしくて、やはり魔王なんだと、実感させられた


「で、どうするのジゼル?」

「んあ?」

「そこのアサシンっ娘。聞かれちゃったし、見られちゃったけど。」

「......仕方ない。」

「......そうさね。」

「え?えちょっと......え?ねぇ待って!」


話を聞かずにじりじりと近寄るジゼルとリア。ジリ......ジリ......と近づいてくるさまは、すんごい。すんごい不気味だった。すんごい。凄いでなくて、すんごい。


「き、キャァァァァァァァァァ!!!!」







「と、言うことで。秘密がバレちゃったので仕方なーく仲間にした、アサシンっ娘だ。」

「アサシンっ娘のユリアです。よろしくお願いします。」


......なんでだか、魔王を倒すために、いつぞやの助けてもらったあの人の背中を負うためになった冒険者という職業で。なんやかんやでいつの間にか、魔王のパーティーに入ることになっていた。......一体、この先に何が待ち受けてるっていうの?もう、何が待ち受けていても驚かないよ?さすがに、魔王の仲間になったことに比べれば何事もどうってことないわよ。ああ、ストレスで胃に穴が開きそう。



お母さん、お父さん。私は、魔王の仲間になりました。







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