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衝撃の真相!そして百都はクラリスに?

ほんとに長い…!

1話小分け作業中!

ブクマしてくださってた方、ゴチャゴチャになってしまったら申し訳ないです!!!


外へ出ると、大家さんが掃き掃除をしていた。

「こんにちは、大家さん」

「ありゃ、今から学校かえ?」

「いいえ、今日は土曜日なので学校は休みなんですよ」

最近になって、ようやく大家さんに顔と名前を覚えてもらえた気がする。

「そうかいそうかい、じゃあ今日は全員姥桜荘にいることになるねぇ」

「明美さんも休みですし、和希さんも休みですから、そうなりますね」

「あと、神多さんもあんたと同い年じゃなかったかえ?」

「えぇ、よく覚えていましたね」

「ほっほっほっ、この姥桜荘うばざくらそうの美女三人の事はしっかりと頭に入っているからねぇ」

つい一ヶ月前、明美さんの部屋を忘れ、神多百都かんだおとの苗字を間違えたのは忘れたのか?

「美女三人って……もしかして大家さんがこの姥桜荘って、名前を付けたんですか? よくそんな勇気ありましたね」

「何か言ったかえ?」

「いえなにも」

姥桜とは、ヒガンザクラの一種であるが、他にも、若さの盛りを過ぎても、なお美しさが残っている女性のことを指す。

つまり、大家さんは自分を姥桜という認識のもと、それにちなんでこの名を付けたということになる。

「そうだ、その神多百都の事なんですけど、大家さんは彼女のことをどう思いますか?」

「どう思うって、どういう事だい?」

契約者である住人のことをどう思うかなど大家さんに聞いてはいけない事かもしれない。だから少し、質問の仕方を変えようと思った。

「ほら、彼女少し変わってるというか。例えば、俺が越してきた翌日、怪我して大家さんに絆創膏を貰いに行ったじゃないですか、あれ、実は神多百都が屋根から飛び降りたからなんですよ。それにその時、わけの分からないことも言ってましたし。漆黒がどうとか、裏切りがどうとか……」

「そんな事あったかねぇ? そうじゃ、わしの日記を見てみればその事が書いてあるやもしれん! ちと待っとれ」

そして大家さんは姥桜荘の中へほうきを持ったまま駆け込んで行き、ほうきの代わりに何とも派手な、小学生の女の子が使っていそうなノートを一冊持って出てきた。

「それは、二月頃じゃったかの……おぉ! これじゃないかの!」

開かれたページを覗き込むと、箇条書きで大家さんのその日の出来事が書かれていた。おそらく、一日の終わりにまとめて思い出すことができないので、ちょくちょくメモのようにしてあるのだろう。その中の一つに、こうあった。

・カラスに姥桜荘のアンテナを曲げられてしもうた。神多さんに屋根に登って直してもらっているのを忘れ、ハシゴを片付けてしもうた。あとで神多さんに文句を言われた。てへぺろ。

・邦枝さんが姥桜荘の庭で怪我をした。絆創膏を貼ってあげた、わし優しい。

「んな……!!」

漆黒の魔物……カラス!

裏切り……ハシゴを片付けた!

更なる試練……飛び降りる!

「そういうことだったのか……」

なんだか、随分とあとになって新たな発見をしてしまった。

出来事のことでは無い。神多百都のことである。


大家さんとの立ち話もほどほどに、斗真は自分の部屋へ戻ることにした。

そして斗真が自分の部屋に戻ると、そこには零がいた。

「戻ったか。して、どうであった? お前の神多百都への見方は変わったか?」

零は当たり前のように斗真の湯呑みを使い、お茶をすすっていた。

「まぁ、変人レベルが十から八くらいにはなったかな」

「何だよく分からぬが、まぁよい。我らはその、変人レベルとやらがいくつであろうとも神多百都をお前と里親にする事に変わりはないのだからな」

「俺としては、あとは神多百都が里親になることを知った時の反応によると思う」

「どういうことだ?」

「だってそうだろ? 零たちが神多百都のところへ行って、俺と里親になりました。なんて聞いて、神多百都はどんな反応を示すのか、あとの判断はそれによるってことだよ」

斗真の言葉に零は首を傾げた。

「お前、我らが神多百都に説明をすると思っておるのか?」

「え、違うのか?」

今度は斗真が、零の言葉に首を傾げた。

「我らが説明するより、お前が説明したほうが遥かに合理的というもの。神多百都には、お前から説明をするのだぞ」

なんということだ。この、説明のしようのない事を説明しろとでもいうのか!?

「ま、待ってくれ! 俺はこんな事、ちゃんと説明できる自信がないぞ」

「自信どうこうという問題ではない。それに、これから共に里親として協力してゆくのだ。それくらいの意思伝達作業はできた方が良いだろう」

「なら、方法を教えてくれ。いきなり神多百都を訪ねて、俺と子育てしてくれませんか? とでも言えってか!? 神多百都の顔は知らないが、神多百都の頭の上にハテナマークが浮かび上がる光景が目に浮かぶぞ!」

「それでよいではないか。よし、なんなら今からそうしに行こうではないか。昔から、善は急げと言うだろう」

そう言うと、零は身軽に斗真をかわし、ドアノブに手をかけ、部屋から出ると、あっという間に神多百都の部屋のドアをノックしてしまった。

「ちょ、こら零! 待て!」

慌てて出てきた斗真は、零を捕まえようとしたのだが、

「斗真、ふぁいとだ」

零は狐がドロンと姿を消すように見えなくなってしまった。

そして零と入れ替わるようにしてドアの向こうから現れたのは、銀色の髪に猫耳、おまけにいかにもコスプレですといった感じの服装をした少女……神多百都だった。


何の心の準備もしないまま神多百都が出てきてしまった。

「あの……」

神多百都の表情が、少し強張っているように見えた。

やっぱり、いきなり訪ねて来てこれは不審すぎる。だけど、何か、言わなくては間が持たない。説明しなくては。

そして──

「俺と、子育てしてくれませんか?」

何言ってるんだ、俺。

一瞬にして空気が凍りついた。

神多百都は、ピクッと猫耳をひくつかせた。

そして次の瞬間、俺の目の顔面から星が飛び散った。

「みゅっ!」

神多百都の手にはめられた、星型の肉球をもった猫の手のグローブが、斗真の頬にペタリとかまされた。

「……」

「あ……殴っちゃった……けど、謝ったりしないん、だからね……」

「ええっと……?」

「その……なんとなく、こういうシーンでは、こうするのが鉄板かなて……」

肉球と肉球を突き合わせてもじもじする神多百都。

さっきのは殴られたのうちに入るのか? 頬を触られただけのようにしか思えなかったのだが。

そんなことより、神多百都って、こんな感じだったか? 

「えっと、君が神多百都さんで間違いないんだよね?」

「ちがう、あたしは百都ちゃんジャない。クラリスよ」

思わず確認してしまった斗真に、しかし神多百都は不機嫌そうにそう返した。

「えっと……」

困惑する斗真。すると、神多百都がふふん、と鼻を鳴らしながら1歩近づいてきた。

奥二重だがぱっちりした瞳。長いまつ毛、白い肌。明美さんの言ったとおり、可愛い。斗真は不覚にもそう思ってしまった。

「幸せ菌」

「え?」

神多百都は、斗真が和希さんにもらったマスコットを肉球でつついた。

どうしていいか分からなくて、取り敢えず手首にかけていたのだ。

「幸せ菌は、いい人にしか感染しないと言われているけど、本当かしらね。でもまぁ、今はとりあえず信じてあげる」

なんの事を言っているんだ?

「あんたが敵じゃないと分かるまで、あたしはあんたを警戒せざるを得なかった。だけど、幸せ菌がしっかり感染しているから、一応敵ではなさそうってこと」

神多百都は、猫のしっぽをキュルンとひるがえした。

なるほど。つまり、今までは俺が……なんのか分からないが……敵であること恐れ、警戒していたが、和希さんから貰ったこのマスコットを俺が持っているのを発見し、警戒が解け、いきなりフレンドリーになってきたと。そういうことか?

「自己紹介してあげる。あたしは病魔撃退魔法少女☆対マイコプラズマ、クラリス。別にどうでもいいけど、あんたは?」

そうか、やっと分かった。和希さんから話を聞いておいて良かった。おそらく彼女は今、その猫耳のキャラクターになりきっているのだろう。何だかもうややこしくなるので、突っ込むのはあとにしておこう。

「邦枝斗真、普通の高校生です。よろしく」

なんともまあ、当たりさわりの無い自己紹介ができたところで、神多百都が切り出してきた。

「それで、さっきの子育てって、どういう事?」

「あぁ、それ……」

斗真は頬を掻いた。

神多百都がこんな状態でややこしい事になっているところへ、更に話をややこしくしてしまっても大丈夫だろうか?

けれど、仕方が無い。斗真は、取り敢えずこの神多百都、ないし猫耳キャラに一度説明することにした。さいあく上手く説明できなくて警察でも呼ばれそうになった時は、全部神多百都のテンションに合わせたということにしてしまおう。

斗真は、昨日の晩の出来事を、包み隠さず全て話した。

斗真が話している間、神多百都は、ただうんうん、と頷くだけだった。

「なるほどね。それで今に至るわけ」

神多百都は驚くでも、否定するでもなく、ただそう言っただけだった。

本当にファンタジー脳だと思わざるを得ない。ここまでくると感心してしまう。

「その件については、あたしから百都ちゃんに伝えてあげる」

伝えておくも何も、君が神多百都だろう、と斗真は突っ込みそうになるのをぐっと堪えた。

「それで、明日中に返事をもらえないかな? そうでないと困……」

「拒否」

神多百都が斗真の言葉を遮った。

「えっ、えっと……本当急で悪いと思ってるよ。でも明日中に返事もらえないと本当に……」

「ちがう、そうじゃなくて、明日中にってのが拒否じゃなくて、返事が拒否。さっき、あたしは百都ちゃんの脳内に直接語りかける風邪の噂菌ってのを使って連絡取って、そしてもらった返事が拒否だったってわけ」

あいた口が塞がらなかった。

ここまで徹底的にファンタジー脳だとは。

普通の神多百都として話をするのと何の違いがあるというのか。二度手間にもほどがある。

見た目が可愛いだけに、本当に残念な子だ。

いやしかし、斗真が本当に残念がったのは、神多百都の返事だった。

いや、普通の人なら拒否される事は分かりきっていた。

しかし、斗真は神多百都のファンタジー脳ならあるいは……と、どこかで期待をしていた。それだけに、神多百都からの拒否という返事にがっかりさせられてしまったのだ。

「そうか、そりゃそうだ。信じてくれない事は分かっていたし、信じてくれたとしてもこんな面倒なこと、引き受けてくれるはずが無い」

「信じてないとか、面倒とか、そんなこと言ってないでしょ」

「いや、もういいよ。俺は部屋に戻る」

斗真は断られた苛立ちから、少しぶっきらぼうにそう言ってしまった。

背を向ける斗真に、神多百都はどこか後ろめたさを感じながらも、ただ見送るだけだった。


もーすこし!!!かな???

1話小分け作業中!

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