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姥桜荘のラスボス!?変人の極み、神多百都!

まだまだ1話小分け中です…

仁娯はとんでもなく1話の配分を間違えていたようです…

ブクマしてくださってた方、ゴチャゴチャになってしまったら申し訳ないです!!!

「さて、最後は一年前に越してきた子だね……あれ? それはあんただったかえ?」

「俺は今日引っ越してきた、邦枝です」

「そうそう、じゃあ、ここはあんたの部屋かえ?」

「ここは神多……なんて読むんだ? ひゃくと? かんだひゃくと?」

大家さんの部屋割表を眺め、斗真の隣の部屋の住人の名前を見る。

「あぁ! そうそう、神多さんね、これで“おと”って読むらしいのじゃよ。けらけらねぇむってゆうやつじゃの」

「キラキラネームって言いたいんですか?」

「もしくは、どくんねぇむ、じゃの」

「DQネームですね」

そういう事は覚えているのか、この婆さんは。

「かんださーん! お友達が越してきたでぇ、ちょっとええかのー?」

またあの馬鹿でかい声で大家さんが叫んだ。

しかし、返事がない。よく見ると、ドアの鍵は開いている。

「かーんーだーさーんー! 開いているでねぇ、失礼するで!」

そう言うより早く、大家さんはおもむろにドアを開いた。

「ちょっ、いきなり開けて大丈夫なんですか⁉」

そして、目の前に飛び込んできた光景は、俺と同じ年頃の少女が全力でヲタ芸をしている光景だった。

彼女はアニメに出てきそうなセーラー服に、これまたアニメに出てきそうなツインテールをして、魂の踊りを等身大フィギュアに捧げていたところであった。

斗真たちに気が付くと、踊りを続けたままドアの前までやってきて、ドアを閉めた。

「邦枝さん! 神多さんを紹介したいんですが! ちょっと、出てきてくれねぇかのぉ?」

「大家さん、おそらく今のが神多さんです」

「おぉ、そうか。……なら、あんた誰だぁ⁉」

斗真は死んだ魚の目をして、こう言った。

「邦枝です」


あれが、俺が初めて見た神多百都の姿。それだけでもじゅうぶんなヤバさをアピールしてくれた彼女だったが、彼女の本領発揮はここからだった。


その夜、俺は荷解きが一段落したところだった。

すると、向かいの部屋、神多百都の部屋から尋常ではない叫び声が聞こえた。

驚いて廊下に飛び出し、神多百都の部屋のドアを叩いた。

「神多さん! どうしたんですか⁉」

思わずドアノブに手をかけると、鍵が掛かっておらず、ドアが開いた。

「神多さん! 大丈夫ですか⁉」

緊急事態にやむを得ず、中へ入ると、真っ暗な部屋でテレビの前に正座する神多百都がいただけだった。

テレビの画面には、ゾンビのアニメーションが流れていた。

ゾンビは人々に噛みつき、ただれた皮膚を撒き散らしながら剣を降って近づいてきていた。

日本のアニメーション技術は物凄いことになっていると聞いてはいたが、ここまでとは思ってもみなかった。

絵だと分かっていても心臓が凍りつく、恐ろしいほどリアルなアニメーションだった。

しかし、斗真が本当に恐ろしいと思ったのは、神多百都の顔だ。

彼女はアニメのゾンビと同じようなペイントメイクを施していた。

そして彼女は鬼の形相……ゾンビの形相で、斗真を睨みつけている。

おそらく、アニメの世界に入り込んでいたのを邪魔されたからだろう。

「し、失礼しました!」

斗真は慌てて部屋を飛び出した。


その翌日、斗真が姥桜荘の庭を見物していたときの事だ。

庭と言っても、両腕を広げれば建物の壁と塀が同時に触れられるほどの狭さのスペースしかない。

ひと回り見るだけ見てみようと思って、ふと姥桜荘を見上げると、屋根に人影があった。

真っ黒なローブをまとい、フードを深くかぶって顔がよく見えないが、神多百都だった。

あんなところで何してるんだ?

と、思ったその時だった。

「安息の地を揺るがす漆黒の魔物。そして裏切りは更なる試練を我に与えた」

神多百都はそう言うと、フードを片手で抑えながら屋根上で助走をつけ、飛んだ。

そして案の定、それは飛んだ、ではなく跳んだ。であり、神多百都の体は、六メートル程の高さから落下するのである。

人が確実に飛び降り自殺をするなら五階建て以上と聞いたことがある。なので、三階建ての姥桜荘から飛び降りても死にはしないと思った。

しかし、建物と塀の距離は両手いっぱい。斗真は神多百都の落下地点が塀と重なることに気がついてしまった。

塀の高さは一五〇センチメートル程。斗真は塀に片手を突き、走った勢いのまま踏み切って空いた手の方で神多百都の頭を守った。

斗真は神多百都と庭側に落下した。

「いててて……」

斗真が目を開けると、真っ黒なローブに包まれている神多百都を確認した。見たところ、どこも怪我はしていないようだ。

「何やってるんだ! 危ないだろ、死にたいのか!」

斗真が神多百都に声を荒げた。すると、神多百都はひっ、と小さく声を立て、一目散に姥桜荘へ逃げ込んでいってしまった。


……と、まぁ挙げればきりがない。

「とにかく、神多百都だけは絶対にダメだ。得体が知れなさすぎる」

「ほぉ、では得体が知れればよいのだな」

「そういう問題じゃない!」

「では、この赤子の昼間の世話はどうするのだ? 保育所の保護者欄には夢幻様の名は使えぬぞ」

斗真は何か反論をしようとした。しかし、言葉に詰まってしまい、零を睨めつけた。

「なあ、お前。明日明後日は休日であろう。ならば、少し神多百都の得体を調べてみるがよい。それからものを判断してみよ」

「調べるって、どうやってだよ」

「うむ。まずはここの住人に神多百都のことをどう思うかなど尋ねて回ってはどうだ?」

「そんなことしてなんの意味が……」

「ではお前、お前がそれほど奇妙不可解とする神多百都の事を、お前より彼女を一年長く知る他の住人たちはどう見ているのか知っておるのか?」

確かに、他の住人たちは彼女のことをどう捉えているのか、斗真には想像もつかなかった。

斗真は姥桜荘へ来ておよそ一ヶ月。神多百都は一年以上になる。

「明日明後日は、我らもこの赤子の面倒はみてやれる。しかしそれ以降は我らはお前と神多百都の二人が正式な里親になるという想定で物事を進める。つまり我らは神多百都を里親として問題ないとしておる。ゆえ、お前の問題で神多百都を認めるか認めぬかなどという事は我らが扱う問題ではない。しかし、お前が神多百都を認めるのに協力しようというのだ。ありがたく思え」

ああだこうだ言いながら結局、明日斗真は姥桜荘の住人ひとりひとりに神多百都について聞いてまわることとなった。

取り敢えずのところ、斗真もまだ正式な里親ではないので今日のところは夢幻と零が赤ちゃんを預かって帰っていった。

置いていかれたベビーベッドやおもちゃやらが場所を取り、斗真は僅かなスペースで窮屈さを感じながら今日のところは布団に入った。


一方で夢幻と零は、赤ちゃんを一旦預かる部屋へ運び寝かしつけ、部屋をあとに廊下に出た。

「はゎゎゎゎゎゎ! 我は鬼か!鬼なのか!? 斗真はまだ子供。我は鬼過ぎたかの!?」

夢幻は取り乱し、頭を抱え、へたばってしまった。

「む、夢幻さまぁ! お気を確かに! 夢幻様は正しかったです、あれで良かったのです!」

「斗真の過去をいたぶるようなマネをして、大人気なかった……いや、人間として我は失格である! はゎゎゎゎゎ……」

「夢幻様! そのような事は決して! 夢幻様、夢幻さまぁー!」

「そもそもなんじゃ? もともと百都のもとを先に訪れる予定を急変して、偉そうに“ならば先におぬしに子を与える”などと偉そうに……偉そうに……はゎゎゎゎゎ!」

「夢幻様! それは零めの失態でございます! 夢幻様の判断は間違ってなどおりませぬ!」

「はゎゎゎゎゎ!」

「夢幻さまぁ!」

「はゎゎゎゎゎ!」

「夢幻さまぁ〜!」

まだまだ1話小分け作業は続きます…長い!!!

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