斗真の過去!凍りつく、指とパンと感情と…
今回、短いです!そして、暗いと思われる方が多いです!ってか、暗いです!!!
斗真の過去編、pert1。
ちなみに、仁娯は硬いパン好きですよ笑
物心ついた頃から両親はいなかった。母親は、俺を産むために死んでしまい、父親は俺が産まれたと聞き、病院へ向かう途中で飲酒運転の車にはねられて死んでしまったそうだ。
生まれてくると同時に両親を失った俺は、親戚の間をたらい回しにされ、小学校へ上がる頃にはとある家に落ち着いていた。
けれど、そこの家の人たちは、その一つ前に厄介になっていた老夫婦の家の遺産が目当てで俺を引き取っただけだった。
当時にして二十代後半の夫婦二人ぐらしで、夫は金融関係の仕事らしいが、その内容までは当時の俺も、今の俺も知らない。
妻は自営業のバーをやっていた。
二人とも、夕方から夜にしか仕事がないらしく、昼間は二人してパチンコへ出かけ、酔いつぶれて帰ってきては、俺を殴ったり、外の物置に閉じ込めたり、顔を水に浸けたりした。
そんなある日、当時八歳だった俺は、遂に家出した。
体操服にランドセル、給食の時間にとっておいたパンを持って、深夜の真冬に、二人が仕事へ行っている間に、こっそりと家を出た。
深夜の道は、昼間とは全く違う顔を持っていて、夜の闇の中へ自ら飲まれていくような感覚がした。
暗い、寒い、怖い。けれど、あの家にいて、朝方に帰ってきた二人に殴り起こされるのを待って眠りにつく恐ろしさに比べればと思うと耐えられた。
そして俺は、しばらく歩いていたところに公園を見つけた。
冷たい空気は、体を心から冷やし、足はガタガタ震え、歩くことが辛くなってきていた。
ぐるるるるる……
俺はパンの日が好きだった。
学校から帰ってきたら、俺はいつも、こっそり持って帰ってきていた給食のパンを食べていた。
晩ごはんなど用意されない。冷蔵庫の中には、ビールやつまみくらいしかない。
だから、給食でパンが出た日には、そのパンを持ち帰って晩ごはんの代わりにしていた。
公園のベンチに腰掛けた俺は、ランドセルの中からパンの袋を取り出し、かじかむ指先に力を入れて袋を破いた。
乾燥して硬くなったパンは、正直に言って、おいしくはなかった。
本当は、温かい味噌汁やご飯が食べたかった。
そこで俺はいつも、目を閉じてこう言っていた。
「これは温かいご飯。こっちはハンバーグ。こっちはカレーライス……」
一口一口、そう言いながら目をつぶってパンをかじっていた。
そうすると、ほんの少しだけ、硬く冷めたパンが温かい夕食になったように感じたのだ。
俺はその時、パンを咀嚼しながら考え事をしていた。
──本当の親が生きていたら、今こんな思いしなかったのかな。
両親について、俺は何も知らない。
今の家の人は、おそらく両親とは血も繋がっていないどころか、顔すら知らない。
あんな二人だから、俺も両親については何も聞けないし、聞いても何も知らないだろう。
ただ、うわさでは二人は相当な変わり者らしく、詳しくは知らないが、ただそう言われ、親戚の間で嫌われていた。
──もしかしたら、両親が生きていたら今頃はもっとひどい目に……
考えただけでも恐ろしい。だが、その可能性だって、じゅうぶんに有り得る。
──そうだ。屋根がある家に居させてもらえるだけマシじゃないか! 両親に比べればあの二人は全然いい人たちだ! よし、帰ろう!
その時だ。
「あれ? ぼく、こんな時間に何してるの?」
振り返ると、お巡りさんが俺の肩に手を置いていた
うん、これは読ませてしまい、辛いものかもですですけど、どうでしょうか?
次回はもっと酷いことになっているかもです!