表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

 成実は環境が変わったり病気をしたりで、しばらく喫茶店めぐりをしませんでした。それでようやく出かけた先に、寺院の脇にある和風の喫茶店を見つけて入りました。コーヒーや紅茶のほかに、緑茶や抹茶、ほうじ茶などもあるお店で、近辺のお坊さんも気軽に使っているようです。お坊さんの話に、近くの席の人が聞き入っていたり、質問をしたり、その質問に別の席のお坊さんが答えたり、していることもあるようでした。


 成実はリハビリついでの散歩コースのほどよい休憩先を見つけて大満足です。お寺や神社は緑があって歩くと心地いいですし、お茶もお茶菓子もおいしいし、興味深い話がいろいろ聞けるのです。しかし、自分が話しに加わることはできませんでした。なぜなら、そのお話はあくまで過去にお店で行われたお話会の様子を流しているだけだったからです。




 お話会の映像は数回ぶんのようで、その後は開かれていないようでした。特に気にしていなかった成実とほにゅでしたが、お店の名前を検索していて、開かれない理由を見つけてしまいました。


 元々、お話会は、企画したお坊さんが自分の寺の近くの集会所のようなところで行っていたものだったようです。それが、集会所を取り壊すか改装するかということで建物が壊され、あの喫茶店のほかに、何箇所かでお話会が行われるようになったようです。

 そして、別の場所で行っていたお話会で、その場所を使う別の企画の人と喧嘩になり、お話会をする気がうせてしまったようでした。


 お坊さんなんだし、そんなに怒るようなこともないでしょう?と成実は思いましたが、紹介されていた、喧嘩になったひとりの言い分を見て、成実も怒りがわいてきました。


 それは、とてつもない長文でした。他の人の意見や文句、語録などは箇条書きでまとめてあるのに、この人だけ原文ママですという注釈がついていて、実際長いのでした。そして、名前と文章を見た成実はすぐにわかりました。


「あいつ」だ。


 成実は目を見開いて、じっと長文を見つめました。

 淡々と事実だけ書いた文にはさまれた、異常にねちっこく主観が入った文章。本人にその気があるのかないのか分からないけれど人を煽るような独特の文体。


 お話会のお坊さんは、坊さんのくせにすぐキレて修行が足りないだとか、こういう理由でこの坊さんが悪いんだ、のようなことを、異様に丁寧でそれでいてどこからか居心地の悪さを誘発する煽るような口調のその独特な文体でじっくりねっとり書かれたその長文を、成実は読み終わると、もやもや感で頭を抱えてベッドを転がるのでした。




 成実は、自分は今でも「そいつ」を憎んでいるのかもしれない、と思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ