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説明のとおり、関係があるというほどではない別々の出来事についてのたとえ話をややまろやかゆるい雰囲気に改造したものです。
(・ω・)
ほにゅはあるとき、人間の女性と一緒に暮らしていました。ひとりぼっちで困っていたときに、おうちにあげてくれたその人と、ほにゅは、たいへん仲良く暮らしていたのでした。その女性『成実』の引越しについていったほにゅは、新しい街がとても気に入りました。いろんな喫茶店があって、さまざまなオリジナルブレンドのコーヒーや紅茶、時には中国茶や抹茶の店もあり、時間と予算の都合がつけば、成実はほにゅをかばんに忍ばせて、喫茶店へ出かけるのでした。
まずは、引っ越すときに評判を聞いた、『とねりこの木の下で』。雑誌に取り上げられることの多い店をいくつも作り上げたマスターの後輩たちが、マスターの後も店を守って続けています。常連客が多く、新規は入りにくいイメージがありましたが、調べていて店の内装や小物が気に入った成実はその話からすぐに客や店員と仲良くなりました。
元のマスターは今持っている他の店が忙しく、決して姿は見せません。でも、店の小物や、壁に飾られた不思議なポスターなど特徴的な内装が、マスターの存在を思い起こさせるのでした。
たまに客同士や店員がイベントを開催して盛り上がったり、新しい客を見るとついつい常連で囲んでしまい逃げられたりしながら、成実は『とねりこ』に通うのが楽しみでした。逃げずにどんどんとはまっていく客が新たな常連となり、仲間はどんどん増えていきます。
店内BGMが独特なのが好きな人、マスターやその後輩を慕う人、たまに入荷するオリジナルブレンド目当ての人。『とねりこ』を選ぶ理由はさまざまです。マスターや客の知り合いにいる有名人のファンだった人がそのまま店の常連になったりというのもありました。もちろん、仲間とのおしゃべりを楽しみにする人も。
あるときには、雑居ビルにひっそりたたずむ老舗『西へ行く船』にもふたりは行ってみました。その雑居ビルにはほかに、昔ながらのおもちゃ屋『サイエンス&ファンタジィ』と、変わった品揃えの本屋『ヒストリア・ヒストリカ』があり、ほにゅと成実はいつも寄り道をしては商品を見て周り、予定の時間をオーバーしてしまうのでした。
それらの店に、無理やり置かれたチラシを見た成実は、そこから少し離れた、寂れた商店街のさらに路地裏に、『紫苑(Sion)』という名の、雑貨屋を兼ねた喫茶店があるのを知りました。チラシを作って置いて行ったのは、過去にそこで働いていて、やめた後も客として通っているという人のようでした。




