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1ヒジキと2ヒジキ

世界には多くの不思議なことが存在する。人の言葉では、頭では理解できない不思議なことが。

ナスカの地上絵やオレゴンの渦などがその最たる例だ。どういったことなのか、仮説は立てることができる。科学者達の得意なことだから。

だが、もしそれらの現象について本当の真実を知っているものがいるならば、その真実を口に出すことはしないだろう。




2014年、広島県の瀬戸内海がよく見える夏真っ盛りに始まった。それも我が家の玄関前で。


夏といえば、田舎では白いタンクトップと麦わら帽子に虫あみ持った子供が定番だが、ここは人数的な意味でその比ではない。同じ格好のガキが20人はいる、流行ってんのか。


とにかく夏は子供らが朝から晩まで遊びまわってる。どうやら頭からツノが出ている虫を捕獲したいらしい。そして、その虫を使って小規模な戦いをさせるんだそうだ。


「いけ!いけよ!下がるなクリスピーナ!」

「良いぞ!そのまま押し出せ!」

「くっ、こっちじゃないあっちを向くんだよ!」

「オイオイ!触ったら反則負けだぞ!」


小さな切り株の上で大勢の子供達がカブトムシを戦わせて遊んでいる。

彼らは何が悲しくてあんな遊びをしてるんだ?あぁ、無理もない。奴らにはあれぐらいしかやることないもんな。可哀想に。


だが俺はもっと可哀想だ。いつになっても課題。いつでも課題。終わらない課題。


今も大学からからの帰りだが、どうやって課題をクリアするかで頭が一杯だ。足がすごい重いし、まっすぐ歩けてるのか分からないぐらい目の前が揺れる。


そんな調子でやっと家の前まで着いた。だがこれからまだ机にピッタリ張り付かなきゃならない。


「しんど」


一言ボソッと言って、ポケットの中から鍵を出そうとした時、何か気配を感じた。凄い右側から気配を感じる。すっごい見られてる。

目線を下のジーンズからそーっと右手に移す。が、アサガオの花壇と中身が空の牛乳瓶が3つあるだけで特に誰かいるわけでもなかった。

頭の中課題ばっかにし過ぎたのかなっと思いまたポケットの中に手をつくっ込んだ。

何なんだ、何なんだこの視線。おかしい、絶対に見られてる。右側から絶対見られてる。猫か?猫なのか?

俺はゆっくりとスローモーションで花壇の裏を見ていった。が、特に何もない。一応アサガオも異常は無いか見たがいつも通り綺麗だった。まさかとは思ったが一応牛乳瓶も調べた。

特段変わったところは無かったが、何故か内側にヒジキが着いてた。


なぜ、ヒジキなんだ。


と思ったとき、そのヒジキが動いた。びっくりして思わずお尻を着いた。ヒジキは飛び跳ねているように見える。一瞬ゴキブリにも見えたが、あの俊敏さはない。やはり生きて動く新種のヒジキかもしれん。

少し興味が出てきた僕は少し顔を近づけてよく見てみた。顔がある、手足もある!なんだこれ、小人?新種か?ん?首だけないぞ。てか眉毛太っ


そいつはその超絶太い眉毛を眉間に寄せこちらを睨んでいた。そして何やら叫んでいる。


「おい!お前!何見てんや!しばくぞ!ええんか!しばくぞ!なぁ!なぁ!しばくぞ!」


うわぁ、こいつ嫌いだ。

もともと僕はこういう柄の悪い人?もの?ひじき?は好きじゃない。それになぜいきなり罵声を浴びせられるのかも意味がわからない。とにかく、今もしばくしばくと言っている得体の知れない奴には構ってられない。無視しよう。

そのまま僕は右横で喚き散らしているヒジキを無視し玄関を上げた。

そして、絶句した。

ヒジキが、デッカいヒジキが、座ってる...。

もう、マジで、なんなの。



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