第八話-新たな資材
この世界も十二日目。ニファークは日課通り朝食をとり、畑の手入れ等をして、坑道にやって来た。今日はとうとう掘削装置の作り直しである。ニファークは最初既存の物を改良しようかと思ったのだが、あまりにも変更点が多いので作り直す事にしたのだ。
まずは、鉄の量が足りないので今の掘削装置を掘り進めていく。
「あら、これは…… 確か、アルミとか紅鉄とかが含まれてるはずね。」
紅鉄は該当する金属が地球に存在しない。この金属は鉄に似ていて、赤みがかっている。単体では脆いのだが、環境魔力を集める強い触媒として働くので需要は大きい。
「あと、金も混じってる。」
気にせずに全て精錬装置に放り込む。この精錬装置には一度に複数の鉱石を同時に入れて使えるのだ。
鉄が充分集まったら作業開始である。まず、大きめの魔力収集回路を作る。先程出た紅鉄も使用して効率を高めておく。この魔力収集回路は出力量が大きいタイプだ。
掘削歯は銅、スズ、紅鉄の合金である。魔力を流す事で強靭性を高めることができる合金である。筐体も鉄を利用して頑丈に作っていく。鉱石の搬出にはベルトコンベアを用いる。途中で継ぎ足せる構造で、自動で坑道入り口まで運ばれる。坑道の枠は既存の部分を含め鉄などを使って強化しておく。
早速始動する。これまでと桁違いの速さで掘削装置が進む。坑道の壁も太い枠の間隔が広くなったので設置速度は追い付いている。手動だが。
「早く側壁の自動設置をしないとね……」
複雑な操作が必要なので、まだ検討中なのだ。
昼になった。掘削装置が安定したので、一旦採掘をやめて久しぶりに探索をしてみる。
探索の結果、新しく綿花や数種類の穀物の種籾が手に入った。穀物の方は植え時のものを植える。綿花は大量に有ったので、持てるだけ持ち帰る。
「やっと新しい服が作れるから洗濯が楽ね。」
これまでは、水で洗ってからすぐに組立で強制的に水をとばし、同じものを着回していたのだ。
次は、拠点の移動である。
「将来の拡張を考えると、坑道の近くの丘の方が良いわね。」
木を五本程使い、一つ目と同じように木の上に小屋を作ったら二つ目の仮拠点の完成だ。金属がある分丈夫なものになった。周囲にロープを張り、拠点まで伸ばして金属片をつなげておく。
坑道周辺にもロープを張っていると日が暮れてきた。
「今日はまだ前の拠点で寝なければいけないわね。」