堕ちた天使と設定資料
「お、王女様って何かの冗談......ですか...?」
「貴方という方はどこまで失礼なのかしら、私は正真証明のこの国の王女です」
言われてみれば確かに言葉遣いや仕草がそれらしい気もする
それに、この整った顔立ち。大人っぽくて、スタイルもいい。それに、胸の方もそこそこ……
「……貴方という方はどこを見ているんですか!!」
彼女は胸を押さえながら後ずさる
「た、確かに服が王女様っぽいなーって…思っていました」
「服!?どう考えても違いましたよ。だって嫌らしい目つきしていましたもの!それと、その口調、無理せずに普通な感じで話しませんか?」
普通を強調してそう言う
そこまで言われると返す言葉もない
「うん、わかったよ普通な感じな普通な」
「そうです!普通な感じで!ところで貴方はここで何をされていたのですか?」
「えーと俺は…何をしていたの?」
頭はすっきりとしたが、まだ違和感と呼ぶべきかそれ未満のようなものを感じる
「私に聞かれても困ります。まさか覚えてないのですか?」
「んーー、何も思い出せない」
なんだ、この胸になにか引っかかっているような感じは……
「だから始め私に、ここがどこか聞かれたのですね」
「そう言うことです」
うんうんと頭を振り答える
「もしかしたら、妖精の仕業かもしれませんね」
「でもさっきは、もういないって」
「ええ、しかしこの森では規模は小さいですが、妖精の仕業としか言えない不可解なことが起こっているんです」
「そんなところに、王女様が来ていいのか?」
「良くはありません、ですが私には大切な用事があったんです」
「へえ、大切な用事ねえ……」
彼女の持っている籠の中を覗くと色とりどりの綺麗な花がたくさん入っていた
「勝手に見ないで下さい」
彼女の顔がカーっと赤くなった
「可愛いねえ」
「からかうのもやめて下さい。しかしこの際仕方がありません。ですから、私の家にいらっしゃって下さい」
「家って要するに.....」
「もちろんこの国の王城のことですよ。ここからすぐですよ」
「分かった、道は頼んだ」
「はい、お兄様♪.....///」
彼女は自分の言った言葉に赤面した
「.....い、今のはただそういうことに興味があったとかではなくて、ただ記憶を無くしている貴方を少しでも元気にしようとしただけですよ!!だから、貴方に気があるとかそんなではありませんからね!!」
「そうか、ありがとうな」
そう言って、彼女の頭に手を乗せる。するとすでに赤かった彼女の顔はさらに赤く染まった
「こ、子供扱いしないで下さい。それと手を頭から離してください、いつまでそうやっているんですか」
「ああ悪い、......ところで俺って何歳なのか?」
「17、8くらいではないのでしょうか?」
「しかしなんで、もっと早くに気づかなかったんだ」
そう言い捨て、頭を抱えてしゃがみ込む
「大丈夫ですよ。年齢がわからないことぐらい対したことはないですから」
「分かってないのはそれだけじゃないだろ。って、これは......」
見つけたのはうすっぺらい紙束。しかしその紙にかかれていたのは、
「ルーズベルト設定資料?」
「設定資料?なにが書かれているんですか?見せてください」
「ああ、別にいいけど」
そう言い設定資料なるものを彼女に渡す
「ルーズベルト設定資料(仮)
・Name(名前):ルーズベルト・アルデリヒ(仮)
・Age(年齢):16
・Hair(髪):amber(琥珀色)
・Race(種族):########
・Occupation(職業):未定
・Home(故郷):↑
・################################
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・################
これ以上読めないようですね」
「......なんだよこの微妙な情報。それに初めの三つしか、まともじゃないしな」
「しかし、年齢と名前が分かったからよかったじゃないですか。(仮)って書いてありますけど」
彼女もちょっと苦笑いを浮かべている
「そうだよな、この設定資料意味不すぎるだろ。職業未定ってフリーターですか?それともニートなんですか?極めつけは故郷が↑......ってそれってどこだよ!?」
「単純に考えれば、上向きの矢印ですから空・天界でしょうか」
「天界?そりゃないだろ」
「そうでしょうか。それより、早く行きましょう、ここで言い争ってもしかたがありません」
そう言い彼女は歩きだした
「っておい、待ってくれよ」
◇◆◇◆
森は案外すぐに抜けることができ、そして森を抜けた先にはとても大きな都市があった
「城ってのは、あの都市の中心にあるんだよな?」
「.....え、ええ。後もう少しですね」
◇◆◇◆
都市の中は大勢の人達で賑わっていた
「人の数がすごいな。」
「いつもこんな感じですよ」
「ん?というか、みんなレミーリアの事、気づかないのか。この国の王女なんだろ」
「そうでした、話してませんでしたね。この話はあまり話さない方がいいんですけど、これを見て下さい」
そう言い彼女は胸に下げていた首飾りを指す
「これには姿を変えることのできる魔法がかけられているんです」
「ん?という事はその姿は本物ではない?」
「はい......そういう事になります。騙すみたいになってすみません」
「そうか......でも城に帰ったら元の姿に戻るんだろ?」
「ええ」
「なら、いいさ。楽しみにしてるよ」
「/// 早く行きましょう」
◇◆◇◆
城は近くで見ると、とても迫力があった
しかし、まだ俺達はまだ城壁の近くにいる
「あのー、レミーシア.....さん、早く行きませんか?」