4*海燐隊(エム視点)
ど~も。
お久しぶりでございます;
今回投稿が誠に遅れてしまい、
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
僕らの哀情占いは第4話目ですが、
まだまだ続く予感がしますのでどうぞよろしくお願いします^^
【海燐隊】―――・・・。
それは世界政府は愚か、誰も逆らえない
人の上に立つ者。
「あ~~ッ。誰もいな~い!」
俺、阿月 笑籠ことエムは、今この街を歩いてんだけど、うん。誰もいない・・・。あ~シュウにちゃんとこの街のこと聞いとけば良かったなぁ。
そんな小さな後悔をしながらもこのボロ切れの持ち主の手掛かりを探してみる。
「でしゃばって賛成何かしなきゃよかったよ・・・。ん?それはシュウに悪いか。」
俺は基本的に寂しがりやというか人が居ないと落ち着かないというか、そう言う性格だからこんなシンとした空気がヤダ。人の気配はもちろんする・・・けど、何か睨んでるような窓からの視線を感じてる。
皆本当にどうしたんだろ。
街を今日は歩かない記念日・・・とか。
・・・無いな、それは。
全く理由が分からず、そして手掛かりすらつかめない俺はだんだんと落ち着きをなくして行って・・・。
すると遠くから高々い声が聞こえて、何かと思ったんだけど、すぐに居なくなった。
「なぁんだよ~。」
すとんと道のど真ん中に座り込んでやった。「どーせ俺しか居ないんだし」そう思いながら俺は、調子に乗って寝転んでやった。
ここに皆がいたらきっとうるさくなって楽しいだろーな・・・。だって、ほら俺達、犯罪者のくせにド派手で・・・、それしか取り柄が無いだけなんだけど。
「ひゃっひゃっひゃっ!」
「ん~・・・人ォ?」
高々い声と共に姿はまだ見えないが人がいることに気付き、むくりと起き上がった。高い声ではあるが癖のある話し方で、そして滑舌が悪いということ・・・きっと男だ。
誰かもわからないまま俺は歩きだした。
「ん~何故この僕が出てきてやったというのに誰もいないんろ?おい、出てこさせるんらろ!!」
「はい、承知しました。」
道の真ん中で金銀豪勢な馬に乗ってやってきたのはふてぶてとした、ニキビだらけの男。右手にはアイスクリームが乗っており日差しで垂れそうになっているのをまなぶっくりとした舌で舐め上げる。
そしてその男の一声で街の家から隠れていた住民が次々と顔を出す。
「ひゃっひゃっひゃ、おいお前らち。何で僕が来らろに挨拶もなひんらろ?」
と、当てずっぽうに目の前にいたひとりの男に尋ねる。すると男はびくりとして血の気が一瞬にして引き、怯えきった表情で答え始めた。
「きょ、今日は・・・その家族で一緒に・・・、」
ダンッ
言い終わらないうちにおぞましい音が街に鳴り響いた。そして道にその男の血が弾き、溢れ出した。男は苦しそうに撃たれた胸元を抱えて崩れ込んだ。
街の人々が一度ざわついて救助を試みようとするがそれをその男が止めた。
「おい、何故そんらもろ助けるんだろ?僕はそいつが嫌だらぁ?お前たちも僕に刃向かうんろ?おい、お前、僕とそいつろ命・・・どっちら大事ら?」
助けていった住人とそれらが男を離し、口々に言う。
「も、もちろん・・・あなた様あっての我々ですッ!!」
「らひゃっひゃっひゃっ、そうだがらッ!!もちろんらっべぇ。」
気を良くした男は足をばたつかせ乗っている馬の腹をガツガツと蹴った。
「ん~やっぱ何処にも居ないなぁ。人。」
話はこちらへ戻り、笑籠ことエムは辺りを見回しながらひょこひょこと歩いていたのだが。
「あっ、人じゃん~、ってあれ誰・・・?皆が非座間ついて・・・え?人出血してんじゃ・・・。」
人に自分の姿を見られてはいけないために「脳力」を使って人の姿へと変化する。そして、すたすたと歩いて行きその出血多量で死にかけの男を抱え上げ
「なあ 病院ってドコ??」
周りが一気にざわつき始めることに疑問を持ちながらも聞いてみたのだが、答える人は一人もいない。
「おい、お前なにしてるんらぁ。」
そこへ馬に乗っている中太りの男が来て睨み始めた。
「あ、いたの?ってか誰?」
周りが一瞬にしてこの青年は死ぬ事を悟った。
「お、お前ェェッ!!イラつくんら!消えるんらッ!!死んれしまえッ!!!」
その男は激怒し、銃を片手にエムへと向けた。
「・・・敵か。」
ダンッと打たれる音に対しエムは打つ前のわずかなタイミングを見計らいよけ、攻撃をしてきた男に右足の蹴りをくらわそうとしたのだが、
そうは行かなかった。 いきなり強引に自らの意思ではなく体が動き、気付けば女の子に押し倒されていた。
(は?・・・ちょっ、何コレ)
「うえ~~~っん!!お兄ちゃぁぁん!!撃たれたの~~?!でも海燐隊様に逆らっちゃったのぉ~!なら仕方ないわ、うえぇぇ~~っん!!」
(ケチャップ・・・。)
少女は口パクで「黙ってて」と訴えかけた。エムは訳わからぬままその場に寝転がり、黙っていた。顔にはケチャップがまんべんなく乗っかって居心地が悪いもので、すぐにでも自分の上に乗って嘘泣きをしている意味不明なこの人間を引っ張り剥がそうとしたかった。
しかし、その時エムは気付いた。
「・・・!」
(コイツ・・・。)
感触だけだが少女の来ている服はあのボロ切れの感触と同じだったのだ。現在目の上にはケチャップが掛かって色は見えないのだが、コイツだと・・・エムは確信した。
「し、死んだのから?よけられたと思っらけろ・・・。」
「ふえっ・・・、えぐっ。」
そう言って滑舌の悪い舌を回しながら男は去っていった。
「もう良いわよ。起きても。アナタとんでもない事しようとしてたのよ?分かってんの?」
そう言って許可を得ると同時に文句を行ってやろうかと思ったが、そんなことよりも布の方が気になった。
「なあ。お前って・・・このボロい服落としていった奴か?」
ひらひらと持っているボロ切れを見せつけてぶっきらぼうに聞いてみた。
「お前って言わないで。イラッとする・・・。っていうかあんたって本当常識はずれね。そうよ、私の。」
「えっ!そうなのか。良かったぁ~。」
シュンが喜ぶと思い、喜びの言葉を述べるが、
「はぁ?!何よそれッ!!人の頭に空き缶ぶつけといて、良くそんな事言えるわ!」
「そっ、それ俺じゃ・・・。」
俺じゃないといおうとしたが、少女はそれを許してくれなかった。俺は悪くないのに、と思いながらエムは渋々と相手の言うことを聞いた。
「ねえ。アンタこの街の人間じゃないわね。引っ越してきたの?」
「えっ?違うよ。今日は仕事で・・・・ッ。」
思わず自分の仕事のことを話すのに口を滑らせて、慌てて黙り込む。少女は怪しく睨みながらもこう言った。
「良いわよ。もう・・・アンタの事なんて興味ないから。それに、悪い人じゃないでしょうし?」
「うん・・・。」
さっきまで怒ってたのにもう笑ってたから機嫌を直したのだと安心したエムは、自分もと少女に笑いかけた。
「あたしローラン・アディ。一応・・・、名前くらい聞いとこうかしら?」
手の上に顎を乗せてこちらの方へ向く。
「あ、俺は笑籠って言うんだ。エムって皆に呼ばれてる。」
「そう。」と呟いてつまらなさそうな顔をするが、笑っている俺を見てまた笑い返してくれた。
ローランが自分の家を案内してくれるというからついていこうと思い立ち上がったエムだったが、少女が何かを言おうとした瞬間に
大きな音と共に右足のふくらはぎの部分に激痛が走った。
「はぐぅッ・・・!」
ローランの目を見開いた横顔を見ながらその場に倒れた。
不意をつかれたのか、その足に飛んできたのはさっきの・・・。
「お前ッ!生きていたのらぁ!!お前には道をはいつくばらえて生き地獄を味わわせるんら!!」
高ヶい声と耳につく笑い声。
ここでエムはやっと気がついたのだ。
(こいつが海燐隊の子孫・・・・ッ!)
動かない足を持ち上げながらも息を絶え絶えでその海軍隊を見上げた。
自分の性格から、そして元から背が高いために見下されることなどほとんどないエムは目の前に立ちはだかるソイツに屈辱を覚えた。
「ッて・・・、てめッ・・。」
本当は叫び出したい所だけど、ぐっとこらえてこいつの前で無様な姿をできるだけさらさないように頑張ったけど、海燐隊が目を向けたのは俺じゃなくって・・・、
「おい、娘・・・お前ろ兄貴か?こいつは。なんれ生きてるのら?」
ふてぶてと肉の付いたまぶたを開け閉めしながらローランを鋭い目で睨む。
「止めろッ・・・!」
そう言い終わらないうちにもう一発今度は俺の左足に海燐隊は打ち込んだ。
ドクドクと流れていく血が土の香りと共につんと鼻につく。言葉も出ずに地面へと転がりこむのだが。
(やばい・・・ッ、脳力に集中がいかない・・・)
じわじわと体中を駆け巡る痛みと共に脳力で抑えていたこの体が本来の「色」を取り戻し始めた。髪は明るいオレンジへ・・・、そして糸切歯は伸び始め爪も赤から濃い紫へと変わって。
「なっ、なんらぁ!!化け物らああああああッ!死ねっ!死ねぇ!!」
何発も撃ち込まれる玉。
脳力の負担が消えたのか、先程よりも玉が遅く見える。これだと勝てそうな気がしたから痛みを抑え、立ち上がってローランを抱え逃げようとした、その時だ。
「いっ、・・・嫌!!やめてっ、離してよぉ!怖い!怖い!」
胸元と強く突き飛ばされ、先程まで一緒に話していたローランの行為に呆気に取られて・・・。
直接的に激しく嫌がられるのが、
エムの一つの記憶と重なって、頭痛にして現された。
「何でだよ・・・っ、さっきまで一緒に話して・・・おま、嫌って・・・ろ、ローラン・・・。」
「あたしの名前を呼ばないでッ!!化け物のくせに!!」
冗談などを言っている目付きじゃなかった。
怖がっている表情から徐々に、俺を敵だと言う意識を強めて・・・。
エムは言葉をなくした。
ドンッ・・・、
トドメだというように脇腹に撃ち込まれたよけれる玉すら
エムにはよける気力すらなかった。
(皆・・・、俺やっぱ人間じゃないのかなぁ・・・。)
泣きそうになったけど倒れたひょうしにローランの睨む顔が見えたから。
「ひゃっひゃっひゃっ!!娘よ、もう一度聞くのら。コイツはお前の兄貴から?」
指を差して笑う海燐隊に非座間つくローランは、はっきりと首を横に振ってこう言い放った。
「いいえ。このような化け物が貴方様の様な立派な人間と同じ人種だなんて有り得るわけがありません。どうか汚れた返り血を浴びぬようにお気を付けください。」
もう自分が死ぬことは分かっているような気さえした。
その時の空と言えばイラつくぐらい青かったような気さえした。