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2*悪魔さんの日常(フク視点)

痛い―――・・・。

 痛いよ、痛い・・・。


「見て、あの目。片目だけ真っ赤なの。」

「まるで血ね。」


「悪魔の子だわ。」

「きっと呪われるわ。」

「やだ、こっちを向いた。嫌!呪われる。」


ウルサイ・・・。

 ウルサイヨ。


 一体俺が、俺達一族が何したってんだよ―――――・・・。


「笹木さッ・・・。ねえ、笹木さんってば!!フクッ!」

激しく肩を揺すられると共にもうろうとしている意識が徐々にはっきりとし、不十分である情報を精一杯に取り入れようとしてみる。 ・・・。まずここは俺の個室。そして目の前にいるのはルームメイトである、東河 シュウ。

「え・・あ?シュウ・・・俺。何して・・。」

「もう・・・っ、何してたじゃないですよ!貴方、うなされてましたよ。」

泣きそうな顔して・・きっと心配してくれてたであろうことと悟り、「ごめん」と細々と謝り、皆のいるダイニングへと向かった。


俺達の住むこの船は大きな学園となっており、グループごとに一ルーム与えられる。まあ、その中に個室があって、リビングとかキッチンとかがあり、その中にある個室を俺とシュウで寝止まりしてるってわけ。・・・一応1ルームには風呂もあるんだが この船には大浴場というのがあって、俺達は何か異常がない限りそこの大浴場に言ってるってわけ。


「あっ!フク~ッ、朝ご飯出来てるよ!!冷めないうちに食べるんだよ?」

・・・何故本来朝ご飯を作った本人が言うべきセリフを笑籠、お前が言う・・・?そう思った矢先、隣からぐいっと遼好が出てきて、


「お前の台詞じゃねぇだろが!!」

・・・ごもっとも。


しかしなんだ。この二人が絡むときはいつもこうだ。まあ、喧嘩するほど何とか・・・ってことわざもあるんだけど。

そして 絡みが終わったのか、俺に対して

「ん。うなされてたって?大丈夫かよ。」

気をつけろよって言ってココアを渡してくれた。

「ありがと。どうってことないから。」


笑い返して ココアを受け取った。すると隣で

「うわぁぁ!遼ちゃんフクに激甘やんけ!」

と、指さして言う。ん~関西弁を突っ込んで貰いたいのかな?この場合は。それに対して遼好も照れたようにして怒るからきっとからかってるエムは楽しくてしょうがない(笑)


こうして 俺らの朝は始まる。


「あ、横多さんッ!」

飛び跳ねるように言うからなんだと思えばうちのリーダーだった。


「ただいま~。やっぱ朝の班長だけのHRはキツいよ~。」


ふわっとした笑顔にどこか落ち着かされる雰囲気。このグループの支配者でありながら僕らを縛る気など全く持って ない。そんなこの人に皆ついて行くから、きっとこの人が居なくなれば俺等は終わりだといつも思う。


「一時間後くらいにシドニーにつくんだけど、あんま深入りしない方が良いらしい。」

「え?何で?」

相打ちを打つようにエムが聞く、その隣で シュウが落ち着いた表情で話し始めた。


「差別が強く残ってるんですよ。あの街にはまだ・・・法律の届いていない場所がある。

「調べた結果・・・中央公園に【悪魔探査機】ってのがあるらしくて、俺達の脳力も もちろん、レッドゾーンなんです。だからカラコンは必須ですと・・・校長が。」

脳力ってのは俺達「悪魔」と呼ばれる種族の人種。



もちろん、悪魔なんてのは この世にはいねぇ。


いるかなんて 俺達は知らない。


例えば・・・「変病悪魔」(マット・デイモン)

体の 外部から作られた名前。しかしその一族も決して 悪魔などではなかった。ただ、髪の色、爪の色などが通常の人間よりもカラフルだったり、牙があったり少し体の変異・・・いや、進化して生まれてくるだけなのだ。


それに、「呪小悪魔」(スモール・デビル)

小さい悪魔、と読むが全く持って これも通常の人間と同じだ。いや、もしかするとそれよりも優れているかもしれない。彼らは、生まれながらに 人より小さい体付きなのだ。大人で、140センチと、しかし運動神経が 余りにも優れているため、迫害などを受けながら今、絶滅の危機にある。



人に 呼ばれる悪魔で 最も代表的なのが俺の一族だった。

名前は「赤鬼悪魔」(レッド・サタン)

目を赤くして生まれ、その目は人を呪い、死に追いやるという 言い伝えがあるらしい。望んで生まれたわけではないのに どうして周りから迷惑な目をされるのか分からなかった。


こういった「悪魔」と呼ばれる俺たちが、世界的犯罪者のいる 船学園に隠れるわけだ。そう、船には脳力者しかいないってわけ。


俺と遼好、それとシュウはレッド・サタン。んでマット・デイモンってのが笑籠。過去に相当酷いことをされたのか、その背中には大きな傷跡がある。


そして最後、リーダーがスモール・デビル。

体力だけでなく学力も優れている。




ほら、俺たちって 普通の暮らしに何の害もない。





「・・・・・。」

「フク・・・?どこか痛いの?」

黙っていると急に話しかけられてびっくりして

出来れば今は話しかけないで、一人にして欲しいと思っていた俺に対してエムは、

「思い詰めた顔してたからさぁ。」


図星だった。

もっとビックリしている俺にこの人は「ははっ」って吐息を漏らして

「フク、頑張り屋さんだから無理するんだよ~?自分では気付いてないかもしれないけど、フクは頑張ってるから俺は頑張れなんて言ったりしないからね。」


この人は天才だろうか・・・。

顔が赤い・・・きっと目も赤い。


ハッキリ言えば泣きそうなんだろうと。


「着いたよ~ッ!行くよ皆ァ。」

鎖武リーダーの久々に聞くキリッとした声につられて






   俺達は仕事に向かった。






「俺は・・・嫌いかな☆」

ウィンクが出来ないのに、無理矢理して顔がごついことになっているこのエムが何を話しているかと言うとだ・・・。 ・・・この街の「雰囲気」?

やー、俺も思うが全く・・・。貴族の街って感じ満々でさ。知らないお偉いさんがジロジロ訪問者である俺たちを睨んで。

睨まれたりするのが比較的慣れている俺達なんだが、どうも年下などに睨まれるのはいい気はしない。ってかイライラするよね。

「俺も・・・この街苦手。」

ははっ・・、って笑って見せるリーダーだけど皆は既に限界なようで

「くっそ、胸くそ悪ィです!!」

敬語かも分かりしれない言葉と吐き、足元にあった缶を蹴った。


・・そのところ・・。


ガンっ


鈍い音と共に何が分かったって?

「当たっちゃった。」

貴族という街だからこそ、「悪魔」と言う存在がバレるという恐怖にさすがの俺達は血の気が引く。 だがしかし、しばらくしても辺りは変わりなく、静まった感じで。


「いや、ちゃんと当たってるよ。人に。」

先に進んでいた遼好が拾い上げたそれは焦げ茶色のすすだらけの布。この綺麗な街でこんなもの人が着るのかと言う疑いもあるが、可能性は無いことはない。


「探してみます?俺、謝りたいんですけど。」

「謝るというより少し退屈してたんだよねぇ~!俺もッ。」

ワクワクとした笑みに浮かべて乗せた俺等の言葉は




   「賛成。」

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