第一話 Do you understand?
初投稿です。
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10/19
新作を出しています。
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パツパツと窓から音が鳴る。現状としては、ドブネズミみたいな色をした雲から透明な雨の粒が降っていて、それが見渡す限り、窓の一面を濡らしている。
特に感想はない。
こんなのは生まれてからずっと見ている訳だし、特別雨に思い入れもないからだ。
「――退屈だなぁ」
季節は夏。西暦は――えーと、いくつだったかな。忘れてしまった。確か2000いくつだった気がする。違ったかな?
まぁ、要するに。あんまり時間というものに興味がないのだ。だって、長いこと生き過ぎて、そういうことに執着しなくなってしまったから。時計を眺めたって俺自身がどうなるわけじゃないし、ましてや雨が降り止むかどうかなんて……いや、これは違うな。いつか雨は降やむだろうからこの表現は適切ではないか。
いや、失敗。忘れてくれ。
うん、そうだな。結果的に言うと、俺はそこに座っている巨乳のような真っ当な人間ではなく、現実味の感じられない、しょーもない存在であるってことなんだ。だから時間には興味ないし、食事もそこまで気にかからない。いや、きちんと食事はするんだけどね。
でも、人間が食べるような食べ物は俺にとって趣味程度の価値でさ。それでも味がわからない訳じゃないし、素直に素晴らしいものは素晴らしいと思えるぐらいの心は持っているつもり。
つまり俺が何を言いたいかって言うと、俺は何千年も生きている、化け物なんだよってこと。
ああ、化け物っていっても種類があるわけだけど、俺は人間が言うところの『悪魔』ってやつ。人間はだいたい山羊みたいな顔したサタンを思い浮かべるだろうけど、俺はそういうのとは違うな。あれよりももうちょっと親しみやすくて、人間が見てもそう不思議に思わないんじゃないかな?
古株とはいえ、そんなに強いわけでも偉いわけでもなく。ただただ、ぼんやりと生きている、そう――人間が言ってた……何だっけ?
ああ、フリーターだ。
うん。フリーターみたいなもんだよ。気ままに歩いて、その時にしたいことをする、ダメ人間……とは違うか。ダメ悪魔というのかな?
まぁ、俺の自己紹介はそんなところか。そこまで言うほどのプロフィールがあるわけじゃないしね。
だいたい、悪魔にできることなんて限られているのだから、そうそう期待してもらっちゃ困る。期待してたのと違うかな?
悪魔なんてそんなもんだよ。せいぜい、人間をたぶらかして魂を食べるくらいだからね。
そんでもって。今の俺こと望月君は現在、日本で大学2年生をしているわけ。
Do you understand?