第3章-生と死-
"死"を考えていた頃に出会ったゲーム仲間がいた。彼には不思議と何でも話していた。
家でのこと、仕事でのこと。自分の過去も。
その上で、彼は私に手を差し伸べてくれた。
私に"選択肢"を与えてくれた。
「あとは君がどうするかだよ」
その言葉に私は縋り付いた。
――まだ生きていたいと、遠い過去に押し殺していたはずの"生きる本能"が叫んでいた。
バレたらどうしよう。恐い。足取りを追われるかもしれない。
そんな不安は毎日あったが、彼は優しく、強く、私を抱きしめてくれた。
「ここが貴女の居場所だよ」
その言葉で、私が二十数年もの間に深く突き立て続けてきたナイフが一本、心から抜けたような気がした。
しかし残酷なことに、彼は私の"澱み"の上澄みしか見えていなかった。
自律神経失調症とは症状が個人によって異なる。私の場合はもうほぼ"鬱"のようになっていた。
感情が、ひび割れたコップから漏れている水のように流れていく。私はただそれを眺めているだけだった。
それに対して悲しむことも、怒ることもない。
体が動かない。心がついてこない。
あれだけ好きだったゲームや音楽も何も響かない。楽しさや嬉しさも感じなかった。
それなのに心臓は動き、脈は打っている。
肉体的には"生きている"のだ。
でも何も感じない、何も出来ない。これが"生き地獄"なのかもしれない。
そんな私に、彼は段々と無関心になっていった。
罵声を浴びせることすらあったが、そんなことはもう慣れている。
――また逆戻りか、と、私は思っただけだった。




