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魔法舐めんなファンタジー!~拝啓、元の世界。異世界では魔法使いが不遇扱いなので、ちょっと名を馳せてから帰ります!~  作者: 岳鳥翁


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第25話:魔法使いVS融合者

 覆面の男たちとマギカスタ騎士団の面々が戦闘を始める中、俺とフォルゲリオは広場の真ん中でお互いに向かい合う。

 吹き荒ぶ風がお互いの服の裾をバタバタとはためかせる中、唐突にフォルゲリオは大剣を肩に担いで「ヘッ」と笑った。


「にしても驚いたぜぇ? まさか、牢屋にぶち込んでたてめぇが精霊と契約するなんてよ。おかげで、こっちの仕事はものの見事にご破算。依頼主にもカンカンになってキレられたんだぜぇ?」


「さて、何のことか。俺はその辺にいる魔法使いと同じで、精霊と契約って言われても意味が分からないな」


「ハッ、しらばっくれるんじゃねぇよ。この《地砕き》と呼ばれた俺が、その辺の妖精と契約しただけの魔法使いに後れを取るわけがねぇだろ。見ろよ、周りを。俺が連れてきた奴ら一人を相手に、複数人でなきゃ相手にならねぇのが魔法使いだ。そして俺は、そいつら全員を相手にしても圧勝できるんだぜ?」


 チラと周囲の戦いに目を向ける。

 たしかにフォルゲリオの言う通り、マギカスタ騎士団の魔法使いたちは数人がかりで覆面一人を相手取るような形になっている。唯一の例外といえばレオナさんくらいで、彼女だけが一対一で互角の勝負が成り立っていた。


 魔法使いは近寄られてしまえば終わり。そのためこの広場を戦う場所に選び、常に相手から距離を取り魔法を撃ち込むというスタイルで戦っている。

 何人かが足止めに魔法を使用し、残った人数で強力な魔法を放つ。そんな光景が広場のあちこちにみられた。一見、マギカスタが優勢に思えるが……やはりというか、魔法の威力が不足しているため、数発魔法を当てた程度では融合者はまだまだ動けてしまう。


 彼らの魔法や戦い方に慣れてしまえば、瞬く間に状況を覆されかねない。そのため、早急に目の前の敵であるフォルゲリオを倒し決着をつけなければならない。


「はぁ……見栄を張っちゃってかわいそうに。そんなに凄んでも、俺相手に負けたって事実は覆らないんだ。つよーいお前が負けたのは、俺が精霊と契約してるから……なんて。お前がそう思いたいだけで、実はたいしたことないってことがバレないように一生懸命なんだろ?」


 今くらい正直になったら? と挑発するように言ってみれば、フォルゲリオのにやけ面がピシッと固まった。

 そして顔を俯かせると、全身を震わせながらゆっくろと大剣を中段に構える。


「ブッコロス……!!」


 物騒な言葉とともに、鬼とも呼べる形相で前へと踏み出したフォルゲリオ。たったの一歩で彼我の距離をゼロにするその突進力は凄まじいが、怒りで我を忘れているのか、その軌道は大変わかりやすい。


「【浮崩】!」


 フォルゲリオが俺の真正面で剣を振り上げるその直前、彼の着地点に設置した魔法が発動。凄まじい暴風がフォルゲリオの片足を押し上げ、そして彼の体を後ろへとよろめかせる。


 普通なら後ろ向きに転倒してもおかしくはないのだが、そこは《地砕き》などと恐れられていた山賊なだけはある。

 そんなことを考えながら、体勢が崩れてがら空きになったフォルゲリオの体に蹴りを叩き込んだ。


「【嵐衝(らんしょう)】!!」


「グフッ……!?」


 風の魔法による強化を受けた蹴りは、フォルゲリオの体と接触すると同時に風を生み出し、彼の巨体を遥か彼方へと吹き飛ばしてしまった。

 蹴りと同時に、足の裏側に集めた風の塊を爆発させて相手を蹴り飛ばす魔法だが……予想以上に飛んでいった。


 だが、それも一瞬のこと。吹き飛ばされたフォルゲリオは宙で体勢を変え、ダン、と飛ばされた先にあった木を足場に着地を決める。

 怒りの視線を真っ直ぐこちらへと向け、再びこちらに跳んだ。


「てめぇ……! 舐めてんじゃねぇぞ……!?」


「舐めてないから、待ち構えてるんだろうが」


「何言って……ガッ!?」


 跳んだ途端、何かに叩きつけられるようにフォルゲリオの軌道が変化し、そして叩き飛ばされたその先で今度は体が空高くに舞い上がると、空高くでフォルゲリオの体が回転を始めた。


 かと思えば、その回転が止まった途端に上から何かに弾かれ地面へと叩きつけられた。


「あんたを飛ばしたその時間で、俺とあんたの間に魔法で罠を仕掛けておいた。不可視の風の罠を複数な。生半可な魔法が効かないからって、かなり魔力を使ったんだぜ?」


 主にヨモギが頑張ってくれたんだが、と心の中で付け加えれば、まだまだ問題ないと元気な鳴き声が念話で返ってくる。

 仕込んだのは、圧縮した風を大鎚を振るうように叩きつける【嵐鎚(らんすい)】に、相手を空へ打ち上げる【天翔(てんしょう)】。そして【華嵐】に、相手に上から風を叩きつけて地に落とす【天墜】。


 その他にも、多数の魔法を設置済みだ。普通の魔法使い……つまり妖精だとここまで緻密かつ面倒な魔法の使い方はできないのだが、精霊であるヨモギは別だ。本来必要な詠唱は魔法の名前を共有しておくだけで破棄が可能であり、さらには魔法を発動寸前の状態で複数留めておくこともできるらしい。


 これが妖精ではできないというのだから、そりゃ精霊との契約が強いのも納得できる。


「グッ……グゥウッ……!! クソがクソがクソが!!」


「もう諦めろ、フォルゲリオ。俺の魔法があんたに効くのなら、あんたはもう俺には近づけない。近づかないと攻撃ができないあんたと、近づかなくても攻撃ができる魔法使いの俺。どっちが優勢か、理解できないあんたじゃないだろ」


 さらりと魔法使い、という部分を強調しながらフォルゲリオに語り掛けるのだが、本人は俺の言葉を全く耳にする気がないらしく、一人で「クソが」と繰り返しながら立ち上がる。


 怒りのまま再び剣を構えて突進するフォルゲリオ。しかしその歩みは、一歩目で魔法の罠を踏んで挫かれ、続けざまに上から叩きつけられた【嵐鎚】で顔が地面にめり込んだ。


 まるでコントのようなその動きが面白いのだろう。仕掛けた魔法の罠に面白いようにはまるフォルゲリオの姿に、ヨモギがキュキュキュと嬉しそうに笑っている。


 これ以上、フォルゲリオの無駄な突撃による滑稽な姿を衆目に晒すのはかわいそうだろうと、左手を突き出して構えた。せめて、魔法使いの魔法で倒してやろう。


「じゃあな、フォルゲリオ」


 左手を中心に集まった風が弩を形成し、さらに暴力的な風が圧縮されて出来上がった矢がレールへとセットされた。

 狙いをゆらりと立ち上がったフォルゲリオへ合わせる。


「クソが……魔法使いなんかに……魔法使いなんかに、この俺がァ……!!」


 頭でも打ち付けたのか、流れた血がフォルゲリオの目を赤く染めた。


「【疾風弩闘(しっぷうどとう)】!!」


「負けてたまるかぁ!! 力を貸せ、《復讐の凶刃(リベンジ・ヴェノム)》ゥ……!!」


 風の矢がフォルゲリオへと迫る中、大剣を掲げたフォルゲリオの怒りの咆哮が広場中に轟いた。

 そして、その声に呼応するように掲げられた大剣が一瞬にして真っ赤なオーラのようなものに包まれると、その赤い光はフォルゲリオまでもを覆い尽くしてしまった。


 一閃


 なんだ、と俺が疑問に思うよりも先に大剣が振るわれる。

 ガギンッ……!! という凄まじい衝突音が響くと同時に、【疾風弩闘(しっぷうどとう)】によって放たれた矢に内包された暴風がフォルゲリオを中心にして吹き荒れた。


「……ハハッ! 効かねぇなぁ……!!」


「おいおい……ここにきてパワーアップする奴がいるかよ……」


 まるで大したことがない、とでも言いたげなフォルゲリオは、赤いオーラに包まれながらにやりと笑って俺を見る。

 どうやら、すぐに決着どころか、それ以上に面倒なことになったらしい。


 俺はヨモギに警戒するように伝え、すぐに魔法が使えるように準備を整えるのだった。

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