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剥奪

サラは王国守護聖女の地位を剥奪され、

不毛の土地に追放になってしまったが、だが彼女には心強い味方がいた。

不安は安定につなげようと彼女は考え直すことにした。

サラたちが地下牢獄へ幽閉されたころ、

ジュリエット夫人のもとに歩み寄る一人の女性がいた。


「よくやったわね、ヴァイオレット。はい。これは報酬よ」

「ありがとうございます奥さま」

「これでサラを追っ払う理由が出来たし、エドワードには可哀そうだったけど

 私の計画を邪魔する奴は許さないんだから」

「こわいこわい・・・」


ジュリエットはエドワード死去騒動の、どさくさに紛れて自分の息のかかった

ヴァイオレットを王国守護聖女にし、プードルニア王国を我が物にしようと画策していた。



そんな陰謀をサラたちが知る由もなく。


「いつまでここに居ればよいのでしょう?」


ある日一番若いジャクリーンが牢から出された。

次の日はメアリーが、その次の日にはマージョリーが出獄していった。

残ったのはミレイユとサラだけ。


そのミレイユも

「おい!お前だ!出ろ!」


「サラさま・・・」

いちばん彼女になついていたミレイユが出された。

一人残ったサラ。


なんで私だけ?

それにエドワードさまの死に、私たちは一生懸命祈っていたのに。

なぜ急に病状が悪化したの?

考えれば考えるだけ、頭の中が混乱するだけ。


もう考えるのはやめよう・・・


自らの課せられた運命を呪うしかないのか・・・

それにしてもお兄さま・・・あんなにやさしかったお兄さまが、奥様の言いなり。

どうしてこうなったんだろう。


「サラ・リッチフィールド!出ろ!」


手枷を嵌められ、荒縄で括られ、それはまるで罪人と同じ。



どすっ・・


うっ・・・

王宮の大広間に連れられた彼女は、後ろから衛兵に蹴り飛ばされ、床に倒れた。


「サラ。お前は私たちの子供を殺した。その罪万死に値する」

「お兄さま、それは違います!殺してなどいません!

 ただただ病気の回復を祈っていた・・・」

「うるさい!お前にお兄さまなどと呼ばれる筋合いはない!

 お前からプードルニア王国守護聖女の地位を剥奪する!

 聖女のくせに子供の病気一つ治せないなど、守護聖女にあらず!」


国王マクドナルド3世の隣にはジュリエット国王夫人。

そして左隣に立っていた人物を見て、サラは驚いた。

「彼女を新しい王国守護聖女として任命する。ヴァイオレット・ディヴィス!」

呼ばれたヴァイオレットは、サラが使っていた杖をもち、

「プードルニア王国守護聖女として、この命尽きるまで国のため尽くします」

と宣言した。

そして彼女は

「いままで守護聖女の地位にあったサラ・リッチフィールドは偽の聖女です

 彼女はこの場で死刑にすべきかと存じます」

「いや、待て。

 それよりも過酷な刑罰をサラに与える。ヴェルリナへの追放を命じる!

 これからすぐに行くのだ!」


ヴェルリナと言うのは、この王都から北へ馬車で移動すること2日間。

隣国との国境線から少しはみ出た土地で、3方を隣国と魔物が住む地域に囲まれた

何も作物が取れず、人口も少なく、これと言った集落さえない土地であり

「あそこは土地そのものも隣接する魔族の土地から流れる魔の力で汚され

 それで何も作物が取れないと言われています」とかつて家庭教師から教えられた。

そんなところへ・・・お兄さま。


ヴァイオレットとジュリエットの悪意に満ちた笑顔。

サラはどうする事も出来なかった。



「では行ってきます」

見送る人もおらず、一人寂しく馬車に乗り込むサラ。


いままでの王宮やお屋敷での思い出が走馬灯のように蘇る。



「あ?どうして?ここに?」

馬車に先に乗っていたのは誰あろう、かつて彼女のメイドとして仕えていて

親授式で騎士を授けられたエリザベートが何事もなかったかのように座っている。

「どうしてって?主人の為に尽くすのがメイドであり騎士の仕事と思いますが?」

「でもなんでまた?」


エリザベートは騎士学校を卒業し、王国騎士団に入り、その腕を見込まれて

女性騎士だけで編成されたレッドナイトの隊長に任命されていた。


「だけど、サラお嬢さまが追放になったと聞いて、居てもたってもいられず

 来てしまいました。レッドナイトの隊長は副隊長が勤めていますから大丈夫です」

「ヴェルリナへ行くんですよね?サラさまだけでは苦労されるはず、

 だから私が居れば大丈夫。それに」

「それに?」


エリザベートにはある考えがあるのだった。


馬車に揺られながら、サラは考えた。

もう過去にとらわれることはやめよう。前向きに。何事も・・・





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