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投獄

兄フィリップが国王に即位すると、

サラは王国守護聖女となり、国の為にその身を捧げることになった。

だが、そのサラを嫉妬の目で見ているひとりの女がいた。

【新国王はフィリップ・リッチフィールド伯爵に決定!】


「フィリップ。私は嬉しい。

 わがリッチフィールド家から国王を輩出することが出来るとは・・・」

父はあまりの感激に泣き始めていたし、母も同様。


「父上、母上、これから私はプードルニア王国のために働く所存。

 この屋敷にも当分は立ち寄ることもできませんが、御身大切にされて

 長生きしていただきたい」



そしてサラやメイド、使用人たちにも

「私はこれからプードルニア王国国王である。

 みなにも世話になった。これから父上、母上をよろしく頼む」

「お兄さま・・・」

「サラ、キミは国王の妹であり王国聖女だ。

 国の為に尽くすことには私と変わりないのだから。そんなに泣くな

 私まで泣きたくなるだろう。さぁ笑顔で送っておくれ」



フィリップ・リッチフィールド伯爵は

かつてプードルニア王国を繁栄に導いた伝説の王、マクドナルド2世にあやかり

【マクドナルド3世】を名乗り、プードルニア王国を統治することになった。




やがて月日は過ぎ。

マクドナルド3世の治世は内政・外交ともに安定したもので

国民もみな、何不自由のない生活をしていた。



「今日は聖女サラ・リッチフィールド、24歳の誕生日です。

 皆でその誕生を祝いましょう!」

王宮では国王マクドナルド3世主催のパーティが行われていた。


聖女としてそのトップにたつサラは、一人しか存在しない王国守護聖女として

人々の尊敬を集める存在となっていたのだった。

「ミレイユ、あなたも王国聖女として実績を積んできました。

 そろそろ王国魔術学院院長を、あなたに依頼したいと思うのですが」

「はい、サラさまからのもったいないご依頼、謹んでお受けいたします」

「では準備が出来たら頼みますよ」

「解りました」




ところが・・・

マクドナルド3世の子供であるエドワードが重い病に侵されていると分かり

「私が行きます。あなたたちも来てください」

王国守護聖女であるサラは、複数の聖女を連れエドワードの病室へ赴いた。


はぁ・・・・はぁ・・・・・・・はぁ・・・

ベットに横たわるエドワードの息遣いは荒い。

「では皆さん、エドワードさまの回復を祈って」


サラをはじめ王国魔術学院院長のミレイユ、他数名の聖女たちが祈り始めた。


しかし


一日たっても、二日経っても、エドワードの病状は変わらない。


(どうしたら・・・)

「サラさま、如何いたしましょう。このままでは」

「そうですねミレイユ、もうすこし祈りを捧げましょう」

「はい」


聖女たちの祈りを、ベットの横で見ている国王夫人ジュリエットは

(なぜ王国守護聖女まで来て祈っているのに回復しないの?)


ジュリエットは次第に聖女たちに疑惑の目を向けるようになった。

彼女付きの執事に命じて別に魔術師を連れて来た。

「今日からこちらの方にお願いしますから、皆さんはお帰り下さい」

「それは出来ません。私たちは国王陛下から直々に依頼されたのですから」

「ではなぜ、エドワードの病状が回復しないのですか?」

「そ、それは・・・」

「それ見なさい!あなたたちでは役不足なのですよ。

 エドワードの病状を回復させることが出来るのは、彼のみです。では頼みます」

「はい」



王国守護聖女として国の安定に、寄与してきたと自負はしていた。

だが一人の子供の命を救う事も出来ていない自分は、本当に聖女なのか。

「サラさま。私たちはどうなるのでしょう?」

「エドワードさまの病気治療も出来ない聖女として失格なのでは・・・」

「私は聖女ではないのかもしれません」

聖女たちは不安を口にするようになっていた。


「大丈夫です。ここからでもエドワードさまの病気回復を祈りましょう」



しかし


ジュリエットが連れて来た魔術師でさえもエドワードの病状を回復させることは

結局できなかったうえに、ついに・・・


「エドワード・・・・・」


彼は小さなベットの上で、静かに息を引き取った。

ジュリエットを慰めるマクドナルド3世

「しかたない。キミはまだ若い。また頑張ろう・・・」

「陛下」

「どうした?」

「聖女どもに処罰を」

「なぜ?彼女たちも力の限り回復させようとしたではないか?」

「いえ。彼女たちは回復させるフリをして、エドワードの病状を悪化させたのでは

 無いでしょうか?」

「そんなバカなこと・・・」


マクドナルドはそんなこと聖女はしないと思いつつも

ある聖女の一人の不審な行動を思い出していた。


それは聖女の一人ヴァイオレット・ディヴィスだ。

彼女はある日、エドワードの部屋に入り、しばらくしてから出てきた

(あれは確かヴァイオレットでは?)

その日からエドワードの病状は一進一退を繰り返す日々。

聖女たちが一生懸命祈りを続けていた甲斐もあり、徐々に病状は回復しつつあった


だが、ヴァイオレットの謎の行動があった後からは回復しつつあった病状も

また再び悪化の一途をたどるようになっていた。


「そんなことがあったのか?

 サラ、お前たちの所為ではないか?エドワードの病状悪化は??」

「そんなことは有りません陛下!私たちはお子様の一刻も早い病気回復を祈って・・・」

「黙れ!もうお前たちは信じない。帰れ!」

「陛下!」

サラをはじめとする聖女たちは衛兵に、

その場から連れ去られ王宮地下にある牢獄へ幽閉された。


「サラさま、どうしましょう?」

「どうなるのでしょう?私たちは・・・」


ところがその場にヴァイオレットの姿がない。

「ヴァイオレットは?どこ?」

「いません。どこへ行ったのでしょう?」


実はヴァイオレットは・・・



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