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ただ御姉様が羨ましかった、だから御姉様になりたかった。

作者: うずらの卵。

私は今地下牢にいる、暗くて寒くてジメジメしていて唯一の灯りは、一本の蝋燭の頼りなげな灯りだけ。

その蝋燭の芯も短くなりそろそろ蝋燭も寿命を迎えるだろう。

蝋燭が寿命を迎える頃、私の命も尽きのるだろうか?何故こんな事になってしまったのだろう。


私にはカレーシアと言う一つ違いの姉がいた。

姉は優しく勉強も出来て憧れの存在だった。

そして、姉と私には幼馴染みのユリウスと言う男の子が居たのだ。

ユリウスも私達も貴族の家柄で、幼い頃から家同士の付き合いが有り、姉と私はユリウスと良く幼い頃から遊んで居たのだ。

その頃は良かったのだ。

ユリウスは姉と私に対して同等に扱ってくれたから。

しかし、大きくなるにつれ姉も私もユリウスに恋心を抱くようになって行ったのだ。

そして、カレーシア17歳、カロリーナ16歳になったある日、両親に私達は部屋に呼ばれた。

「カレーシア、カロリーナ、大切な話が有ります、この度ユリウスとカレーシアの婚約が決まりました」と母が言ったのだ。

「私は喜んでお受け致します」と姉は頬を染めて答えた。すると隣に座っていた父が「よろしい」と頷いたのだ。

私はショックだった。「何故御姉様何ですか?私でも良いではないですか?」と私が両親に言うと、「これは、決まった事だ」と父に言われたのだ。

たった一年先に産まれただけで、ユリウスの婚約者に決まった姉が憎らしかった。

私が先に産まれていたら、姉がいなければ私がユリウスと結婚出来たのに。

私は部屋に戻って枕に顔を埋めて泣いた。

その後、姉とユリウスが二人でいる時間が増えた。

今までは三人でいる時間が多かったのに、

今では私は邪魔者扱いだ。

でも、ユリウスに話し掛ければユリウスは私に優しく接してくれた。

私は姉を恨んだ、この頃の私は憎しみの余り正常では無くなっていたのかもしれない。

ユリウスが姉に会いに来た時に、

私が紅茶をを用意して二人の所に持って行った。

そして、ユリウスと姉に紅茶を出したのだ。

すると、姉が疑いもせずに美味しそうに私が出した紅茶を飲んだのだ。その時私は可笑しくて笑い出してしまった。

「あはははは、これでユリウスは私の物よ」

ガチャーンとカップが落下して割れる音がした。そして急に姉が苦しみ出したのだ。

そう、私が姉の紅茶に毒を入れたからだ。

ユリウスは驚いて姉に駆け寄ったが、姉はもう息をしていなかった。

ユリウスは私に憎しみの目を向け、

「衛兵、カロリーナを捕らえろ」と叫んだ。

そして「カレーシア、カレーシア」と姉の名前を呼びながら抱き締めて泣いていた。

私は衛兵に捕えられ、今地下牢に閉じ込められている。

姉を毒殺した罪で幽閉されたのだ。

両親もユリウスも一度も会いに来てはくれなかった。

そう、水もご飯も一切与えられず只死ぬのを待つだけなのだ。

私は後悔はしていない、このままユリウスと姉が結婚して幸せになるのを見て生きていくのは、生き地獄だから。

でも、ユリウスが初めて私に見せた、あの憎しみの眼差しだけは忘れられない。

そろそろお迎えが来たみたい。

私の目の前に姉の亡霊が怨めしそうな表情で佇んでいる。

今の私には幻なのか本物なのかは解らない。

そして、蝋燭は寿命を迎え炎も消え辺りは暗闇に包まれた。

真っ暗な冷たい地下牢の中、最後に思い出すのは幼い頃三人で遊んだ楽しい思い出だった。

そして、カロリーナは16歳という短い人生に幕を閉じた。






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