天気
天気は
排水溝を流れる暗い水の音
ごった返す電車の中
あるいは
真っ白に反射する建物の陰の下で
黒いアスファルトの上を歩いて
見上げると光の散乱する空
灰色のゴミがすぐに集まって 滲み出る液体を地面に垂らす
無数の生臭い息の混じった空気が
からだにまとわりつく
風が吹いて煙が消えたような空
遮るものがなくなって 痛々しい日差しが目に入る
たまらず木陰の下に歩くと
刺激物が絶え間なく飛び交っている
虫が木々を散々這い回っていた
気づかないくらいに小さなかけらが
空気中を伝って肺の中へ侵入してくる
じきに大気の機嫌がわるくなって 葉が小刻みに揺れる
ゆらゆら ゆらゆらと
……私は傘を広げて まばらな 雨の音をきいた