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不死王国史  作者: 近衛キイチ
アエミリウス伝
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バルバロイド侵攻

 アルペニン山脈とは、エルディウムからアースエイドに落ち延びたアースノイドのために、女神アルペティナが創った東西に延びる山脈のことである。

 しかし、この山脈はそれほど強固な防壁として存在していた訳ではない、特にアルペニン山脈の中央にはバルバロイドの健脚ならば通行可能な隘路が複数あったようで、今までバルバロイドの侵攻が無かったのは、彼らがアースエイドに興味がなかっただけだった。


 アルペニア中央部の都市は続く内乱により市壁と信頼関係が破壊されており、バルバロイドの侵攻に対し会戦での勝負を挑むが、そもそもバルバロイドはアースノイドに対して頭三つ分身長が高く、走る速度から筋肉の量まで圧倒的に後者を上回り、白兵戦では全く勝負にならなかった。


 各都市が抵抗できなかった理由は市壁が機能しなかったせいもあるが、バルバロイドと接触した都市の間で夏の期間にだけ『バルバロスの呪い』と呼ばれる病が市民の間に発生したことも要因の一つだ。

 この病は高地やミリディウムなどの気温が低い土地に行くか、冬まで生き延びれば回復に向かうのだが、籠城することに成功した都市の中でこの病のために多くが戦闘不能となり、未開の文明しか持たないバルバロイドの包囲にすら抵抗できず、彼らの荷車が略奪品で満杯になるで都市は蹂躙されるがままとなった。


 秋になり彼らがエルディウムに帰還することで侵攻は中断されるが、略奪の被害に遭った都市は団結することなく、自分達の無能さを認めことができない市民は為政者と将軍にその責任を転嫁したために、支配階級と市民との間で再び混乱が生じていた。


 本来ならば、簡単に得られた勝利と略奪品に気を良くしたバルバロイドが再び襲来すると予想し、国内の歩調を揃え近隣の都市と同盟を結び、防衛体制を整えていなければならないのだが、毎年夏季になると中央部に繰り返して侵入するバルバロイドに対して大した抵抗もできずに、アルペニン山脈に接する中央部の諸都市は略奪と破壊に遭うことになった。



 暦四〇〇年初期には、バルバロイドはエルディウムからアルペニン山脈の西と東に繋がる道を見つけていたのだが、中央部に侵攻する部族が少なかったために、アルペニア中央部とは地形的に行き来が困難なアルペニアの西部と南東部の国々はその被害を免れ、結束を固める時間が与えられた。


 西部は、後にバルト共和国となる二十四の諸国が、バルト神の名の下に対バルバロイドで同盟を結び、各国が常時一万の兵を出し合う連合軍を創設、山脈の麓と中央部との国境地帯に広がる山岳部や礫砂漠の要所に要塞を築き護りを固めた。


 アルペニア南東部の森林地帯では、神の子として一部の者達から半神と崇められていたハイドによってバルバロイドの襲来が予言されており、バルバロイドの恐怖から逃避行する一部の民衆の支持によりハイドは国内を平定してハイド一世を名乗り、バルトと同じく中央部と山脈の要所に要塞を築いて護りを固めた。

 

 三〇年代には中央部の富を巡り部族同士の争いが起きていたため、バルト同盟国領とハイド王国に侵入を試みる部族が現れる。

 しかし両国のその護りの堅さにより侵入できた部族は少なく、冬を前にして山脈の道が通れなくなるのを恐れ撤退、それ以降は西部と東部には手を出さずにアルペニア中央部への侵入を続けた。


 

 侵攻されてから十年も経たない内に、何処の都市が始めたのかはわからないが、バルバロイドに対して破壊や略奪を行わない代わりとして食糧や金品を差し出すようになり、やがてバルバロイドがアルペニア中央部への移住を始めたことで、これらの諸都市は彼らの保護下に入り、これがバルバロイドをさらに北へと侵攻させる切っ掛けを与えることとなった。


 地図上から見ればアルペニアの一二分の五がアースノイドの支配から切り離されたことになる。だが、支配される者にとっては、支配者であるバルバロイドの部族が新たにアースエイドに侵入を試みる部族の侵攻と都市間の内部争いを制したため、諸都市は安定を取り戻し再び経済活動が進められるようになる等の利点も存在した。

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