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第二十八話 階層主


 俺たちは最後の一匹、かのグールを倒した後、水を汲んですぐにその場を離れた。


 目指すはもちろん、次の階層に続く広間だ。

 レーヴァは「休憩した~い」なんて文句を言ってたけど、無視して進んだ。


 悪いが、前のように料理を作って……なんてものは例外中の例外なんだ。


 俺は先を急いだ。

 だって、俺の目標はこの迷宮を抜けることではない。


 彼女を……ティナをこの世に生き返らせる。


 そんな、途方に暮れるようなものが俺の願いなのだ。

 こんなところで止まってはいられない。


 幸い、目や頭に向けて【ヒーリング】をかけることで睡眠も必要ない。

 魔物を喰らえば魔力は補充できる。

 これで最速最短の攻略が可能というわけだ。


 そうしてレーヴァとの探索を続けて、何日か後か、何週間か後。


 今日も今日とて不眠不休で探索をしていた俺だったが、途中でいきなりレーヴァが話しかけてきた。


「ねぇねぇモルド」


「なんだ……って、ちょっ!?」


 ちなみに今、レーヴァは「窮屈~~っ」と文句を垂れ、一時的に人型状態になっている。

 その豊満な胸を押し付けるように密着してくるのを、俺は何とか回避する。


「その状態で触れてくんなつってるだろ、ぶっ殺すぞお前」


「わ~モルドったら怖~~い」


「そのねっとりした言葉遣いもやめろ、虫唾が走るから」


 まったく……両親が流行病で死んだ俺が言う事じゃないが、親の顔が見てみたいもんだ。

 絶対まともな教育受けてねぇわ、コイツ。


「はいは~い……でも出会った頃よりも随分フランクな感じで話してくれるようになったわね。やっと心を開いてくれたのかしらん?」


「脳みそ腐ってんのかお前。いいから早く本題に入れ」


 俺が吐き捨てるようにそう言うと、彼女は「は~い」ともう一度返事をして目の前でクルッと一回ターンした。


「実はここね、もう後少しすれば次層に繋がる広間(ルーム)に入るのよ」


「……マジで?」


「ええ……で、行く前にちょっと準備した方がいいんじゃないかなーって」


「準備?」


 俺が聞き返すと、レーヴァは軽く頷いて。


「だって、次の広間(ルーム)に階層主居るし」


 そんなことをほざきやがるのだった。



 ――――――――――――――――――――



「なんだ……つまりお前は最初からフロアボスが居るって分かってた上で言わなかったんだな?」


「ええ、だって聞かれなかったし?」


「そういうのは聞かれなくても最初に言えやぁぁぁあああ!!」


「あはははは、そんなに怒ってばっかりだと蛸魔物(クラーケ)みたいになるわよ……って痛い痛い痛い角取れるからやめて!?」


 俺は未だにのほほんとしていたレーヴァの羊みたいな角を、思いっきり横に引っ張ってやった。

 ……ふむ、どうやら被り物ではないらしい。


「お前な……階層主がいるかいないかじゃ全然違うだろーが。くそっ、戦力を見直さねーと……って、そうだ、階層主がどんな奴かは知ってんのか?」


「うぅぅっ……えーっと、確か、ミノタウロスだった気がするわ。でっかい二本の剣を持った暴走野郎ね」


「二本の剣を持ったミノタウロス……うーん、ミノ自体は下層にも出てくるんだけど持ってる武器は一本だし、フロアボスになった姿は想像できねぇなぁ……ちなみに体長はどんなもんなんだ?」


「そうね……たぶん二十は超えてたんじゃないかしら」


「にじゅう」


「二十」


「二十C(セチル)じゃなくて?」


「あはは、そんな小人みたいなボスが居たら腹抱えて笑っちゃうわね」


 ……どうやら冗談ではないらしい。


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