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第二十七話 蟲毒の王(レーヴァ視点)

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 閃く銀。

 飛び散る血肉。

 魔物たちの断末魔と鮮血が、王を喝采するが如く噴き上がる。


 ――それはまさしく、蹂躙だった。


『……すごい』


 この深層に辿り着く者は化物しかいない……そう思っていたが、彼は予想を遥かに超えていた。


 彼が地面を蹴るたび、死が躍る。

 彼が私を振るうたび、死は微笑みを返す。


 この身が血と油で濡れるたび、高揚感が私を支配する。

 ないはずの胸が高鳴り、頬が紅潮するがごとくこの身を熱くさせる。


『ああ…………』


 化け物などという言葉では言い表せない。

 彼は死の絶対者。

 あらゆる理不尽の頂点に立つ者。

 彼が「死ね」と命じたら、『死』以外の未来などありえない。


『いいわ、それでこそ……私の■■■■に相応しい』


 でも……


『どうしてそんなに、悲しそうな顔をするの?』


 私はそう、彼に問いかけたくて仕方がなかった。


 彼は強い。とてつもなく強い。

 詠唱も唱えずに数々の異能を使って戦う様は魔物に似ていて。

 その凶暴性と知的さを兼ね備えた振る舞いは、私たち■■のようだ。


 彼は戦うとき、笑みを浮かべながら戦う。

 まるで本性を剥き出しにする、野生のモンスターのように。

 まるで戦いこそが、殺戮こそが我が望みだと、そう叫ぶように。


 それなのに。


 そうだというのに、私には彼の姿が、今にも泣きだしてしまいそうな子供にも見えて。


 それは、いつの日かの私のようにも見えて。


『自分じゃ気づけない……ものなのかしら』


 そう心の中で呟いて、気付く。


 ……そうか、私は彼のことが知りたいのだ。

 彼の抱える闇を、彼の抱える想いを。

 折れそうな心を抱えながら走る、そんな、継ぎはぎだらけの信念を。


 それが例え、私の心を抉るようなものだったとしても。


『きっと、私が待ち続けていたのは……あなただったのね』


 それは、確信に近い気持ちだった。


 彼に、私の■■■■になってほしい。

 いや……彼以外にはありえない。

 他の誰かではダメなのだ。

 私の■■■■は、強いだけではだめなのだから。


 それが彼を苦しめ、縛り付けるものだったとしても。



『あなたじゃなきゃ……嫌』



 ドブのような血に濡れながら、私は愛を囁いた。


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