第二十四話 考察
「この音……お前が言ってた通り、水場まではそろそろってところだな」
「そうね……多分、この先には結構魔物がいると思うから気を付けて」
俺が通路に轟く水音をたよりに言うと、彼女は肯定するように頷いた。
彼女――レーヴァと出会ったあの部屋から離れて、しばらくした後。
奇跡的に魔物とは遭遇せず、最初の水場に到達した俺たちは次の水場を経由する形で次のフロアに続く場所を探索していた。
レーヴァによると、このフロアのことはだいたい分かるらしい。
さらには魔物の気配も、なんとなくは分かるのだとか。
「…………」
水の流れる音の元へと向かいながら、俺はレーヴァのことを考えていた。
インテリジェンスソード。
彼女のように言葉を話す剣は、そう呼ばれている。
それは例えば精霊が憑りついていたり、長い時間を生きた伝説級の剣だったり……そういう存在だ。
俺も最初はそういう存在なのかと、そう思っていたのだが……
「なにジロジロ見てるの? もしかして惚れちゃった?」
「ハッ、誰が。笑わせんな。ていうか近くに魔物がいるんだろ? 早く剣に戻れよ」
「はーい」
彼女は言うと、ドレスを纏った女の姿から、白銀の剣へと姿を変えた。
俺はそれを鞘へと納める。
「………………」
剣を鞘に納めながら、やはり俺の中には疑問が沸き上がる。
インテリジェンスソード。言葉を話す剣の存在。それは知っている。
伝説級の存在で、縁はないだろうと思っていたが、それについての知識はある。
だが、それにしても人の姿と剣の姿を自由に入れ変えられるだなんて代物は、ついぞ聞いたことがない。
というかそもそも、人の姿になれる剣なんてものも聞いたことがない。
「……………………」
ここのフロアのことを知っているということは、少なくともしばらくの間、ここを探索していたわけだ。
さらに魔物の気配が分かるという、俺よりも鋭い第六感。
これらを説明するには……それはもう、彼らと同じ魔なる存在である他はないのでは?
「…………………………ま、いっか」
「なにが?」
レーヴァがそういった存在だった場合は、殺せばいい。
利用できるモノは利用し、害を為す者は殺す。それだけだ。
あんなところにいた奴だ。
おそらくはかなりの力を持っているかもしれないが……俺には【聖女の呪い】とこの【眼】がある。
大丈夫だ。きっと殺せる。問題ない。
「あなた……もしかしてめちゃくちゃ物騒なこと考えてない?」
「いやいや全然まったく」
「ふーん……って、もう着いたみたいね」
魔物の気配を察知し、俺は咄嗟に近くの岩に隠れる。
水場の前で群がる魔物たちの様子を観察する。
そこでは今まで見たことがないほどの数の魔物が、一か所に集まっていた。
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