83話 言えた口か
私事で、前回の更新から大分期間が開いてしまいました。見習いの私がわざわざ報告するのも不自然かとは思うのですが、私のような者の作品を楽しみに待ってくださっている読者の方がいらっしゃるのなら、それにはきちんと応えるべきだと考えました。
今後も更新頻度は不定期、且つ気ままになるとは思いますが、『スキル弱化』や『いい感じ』を読んでくださった方、更にブックマーク、評価をしてくださった方、本当にありがとうございます。私の小説がもっと面白くなるよう励みますので、これからもご容赦ください。
「───ハロー。」
「ぐぁぁっ!!」
「なっ何事です───ッぐぬう!!」
青年の姿が現れて三秒とかからず、二人が地に伏した。
「これで二つ。・・・ああくそ、こいつ救難信号出しやがったな?・・・はぁ、往生際の悪い奴らだよ。しかしまあ・・・無事か?第二の。」
「うぅ・・・。」
彼は男の肩からそっと私を抱き寄せて、軽々と抱えて見せてから言う。
「・・・あいつらは、あんたが想像しているよりずっと性根の腐った外道だ。俺が必ずなんとかするから、そのままじっとしてろよ。・・・・・・あとついでに、重くて暴れられると腰に響くというか───」
「っ──!?ぐぅぅぅ!!」
今は、衝動をこらえなくてもいいような気がした。
「いったそばから・・・!!悪かった、リティエ団長は小鳥のようにお軽いですよ・・・っと、あーあ。もう追手が来やがった。」
曲がり角の奥から複数の足音が、殺気づいた勢いを持って近づく。
「──いたぞ!!野郎一匹、それも素手だ!」
「アァ?見るからに弱そうな中坊じゃねえか。まさか連絡が途絶えたやつ全員、こいつにやられちまったんじゃねーだろうな。」
「ビビッて別動隊まで連れてくるんじゃなかったぜ。・・・まァいいや。数十人で一人を潰すってのも、興が乗る光景だしな!!」
(ダメ・・・多対一は魔法職の専売特許なのに、この人の体からは魔力の流れが・・・っ!!)
「おいガキ、知ってるか?ここにいる奴ら全員、戦闘に関しちゃ一流なんだぜ?なんたって、騎士団のクソ野郎をぶっ潰すためだけに呼ばれたんだからなァ!!」
「それなら前の奴によく聞いたさ。お前らが弱者をいたぶって愉しむ、良心の欠片もない組織だってこともな。睡眠ガスで眠らせた観客も、一人ずついじめる予定だったんだろ?・・・ただまあ、それなら話は早い。さあ、やるなら早くやろう。あんたら全員ぶっ飛ばしてやるから、とっととかかってくるんだな。」
無理だ。あの数の手練れを相手にして、勝てるわけがない。白魔法で姿を変えていたって、あのエストって人に殴られたのは本当のはずだ。
「ぷっははははは!!後ろに女がいるからって、何を格好つけてんのかなァ!?強がりがいつまで続くか、試してみるかァ!?」
(私が・・・助けないと!!)
「くっ・・・うぅぅ・・・!!」
「いや、あんたは寝てればいい。なんか調子悪いんだろ?雑魚の相手は任せて、次の試合に備えてくれ。」
圧倒的不利というか、もう勝機がないレベルなのに、相手を雑魚だと言い切った。その人は私を背に庇い、逆境で一歩も引かなかった。
「俺は剣も振れないし、あんたほど派手な魔法も使えない。・・・しかしまあ、今回は勝つから安心してもらって構わない。」
てきとーさににあてられたのかな。なんの根拠もないのに、頭の痛みは少し引いた。
その時だった。
「油断したな、馬鹿が!!」
足音を殺して走り寄った男が、アーク鉄製の得物を振り下ろした。うだっていた私にかまっていた彼は、何も見ることなしに。
「言えた口か?」
避けて掴んだ鉄パイプ、身体強化もしてないのに、あまりにも手際が良すぎた。
「ぐっ・・・おまえ、気づいて・・・!」
「戦う相手を見くびる時点で、手練れとは呼べないな。・・・さて、残りのお前らはどうする。俺はすでに一人やって、おまけに丁度いい武器まで手に入ったぞ。丈夫なうえに軽い、雑に振り下ろすにはもったいない業物だ。」
「くそっ、こんなところで戦力を割くな!!さっさと撃ち殺せばいいんだよ!!」
「魔法なんてくだらないものとはわけが違うってことを、わからせてやるよ!!」
「っ──!!」
市場に出回らない型の手銃が、彼にむかって構えられる。繊細な魔力をコントロールできない私は、向けられた銃口に息を詰まらせることしかできなかった。魔法はくだらない、その通りだ。現にあの弾丸は一秒も待たずに、本当に人を殺してしまえるのだろう。現に私が培ったものは、ちょっとしたやませに吹かれて消えかかっているところだ。
「へぇ、実弾銃ね。」
しかし、黒服の異端児は私の前で、それをあざけるように嗤った。
「撃てェ!!」
「いやぁぁぁぁぁぁっ!!」




