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82話 木漏れ日がこんなにも

「火がもう、ここまでっ!!」


天の滝(ヘヴィレイン)っ・・・だめ、私の魔法じゃ火事は消せない・・・!!」


「誰か、助けてえっ───」



「っ、・・・この!!」



──────────


初波、高く上げて(タイダル・ウェイブ)ッ・・・!!」


─────



「・・・ってさ!!リティエとか言ったっけ、あいつの魔法半端ないな!!本線でぶつかるなら準決勝だけど、今からヒヤヒヤしちまうよ・・・。」


「りあ、口に米がついてる。」

「うわぁあっ!ちょ、めもぉ!そういうのは早くいってくれよ!」

「こっちも。・・・こっちにも。」

「えぇっ!?って、自分でつけてるだけじゃねーか!」

「さいしょのはほんと。」


「ははは、君たちがいると騒がしくて飽きないね。姉妹の父にでもなった気分だ。・・・まあ、この時代に妻子を儲けようなんて思わないけどね。今の僕は多分、三百歳くらいだと思うし。」


自然公園の木の下で、第三騎士団は羽を休める。

時分は騎士団対抗戦の予選終了直後、正午過ぎの昼食時だ。


「三百歳くらいって・・・。元王子様さん、ほんとにご愁傷さまです。」


「はっはっは!暗いところにずっといて、時間も何も分かりっこなかったからね!!でも、気なんか遣わないでいいんだ。・・・今はそう、木漏れ日がこんなにも輝かしい。」


木々の葉を染める光を見上げ、鼻で大きく息を吸う。穏やかな風の流れは、大いなる翼となって彼を包んだ。


「・・・っと、にしてもだアイリス君。『元王子様さん』なんて呼び名は、流石に不自然じゃないかい?」


「だって、『呪われた姫』の王子様は、一応ちっちゃい頃から尊敬してた人物像だし・・・かと言って、今のあなたを『王子様』って呼ぶのも変かなって・・・。あっでも大体、名前教えてくれないのも悪いと思いませんか!?元王子様さんもあの人も、名前無いのかなってくらい名乗りませんよね!!」


「・・・モトオウジ選手。」


「ははは、いいじゃないか、モトオウジでも。アメミヤ君も下の名前は知らないんだろう?真名は溜めておきたいのさ。僕も、彼も。」


言ってから食べ終えたサンドウィッチ、そろそろ昼の休みは終わる。壮絶な闘いが、さらに勢いを増して再び、始まるのである。ルーン加工の手拭いをたたんで立ち上がれば、彼らの意識はすぐスタジアムに戻った。



「そういや、アランさんはどうしてるんだろ。」


「『第二の団長に負けたままではいられないから、そこらで精神統一してくる』と書置きして、そそくさと消えてしまったからね。」


「表情に出てないだけで、結構負けず嫌いなのかな。」


「わたしも、精神とういつ。魔法でたたかう。」


「・・・メモちゃんやる気だね。私も・・・集中しなきゃ。」


シャンと頬を叩いて気を引き締める少女。その横で怪訝な表情を浮かべる獣人族の彼女は、ノイズのように聞こえる不可解な音声を感じとっていた。


「・・・ラン・・・・・ン・・・。」


「なんだろ。さっきから変な声が聞こえる。」


「リアちゃん、大丈夫?獣人族は耳がいいから、遠くの騒音とかが聞こえちゃうのかな。」


「騒音っつーか、なんかイヤーな感じの声で・・・『アラン』って聞こえる気がする。・・・うーん、気のせいかもしれないけど・・・ちょっと気になるな。」



────────



「───人質、確保できたか。なに、例のルーンで第二騎士団長を?・・・っは、よくやった。・・・まあ切り時までは好きにしていいが、殺すなよ?・・・では。『リュウ、ココニアラン』。」

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