75話 異次元の聖術使い
「ひとまず、予選突破はできたみたいだね。」
「にしてもみんな、強いなー!あたしもそこそこ動けたとは思うけど、あんたらみたいな奴とは当たりたくないぞ・・・。」
「って、言ったそばから凄いことになってんよ。・・・ほら。」
〔第二騎士団長リティエ=ヴァイス!!舞台上に巨大な竜巻を起こしたかと思えば、今度は津波!舞台上に津波を起こしてしまいました!!〕
〔これこそが、精霊と極限まで親和した彼女の実力です。首席で入学した魔法学校ではもちろん、リティエ団長は壁外に押し寄せる魔物の討伐においても比類なき成果を残しています。魔法の質量で勝負した場合、相手に勝ち目はないと言っていいでしょう。〕
「リティエさん、やっぱり強い・・・。」
「アイリス君は、去年の大会で闘ったのかい?僕はあれを掻い潜れるイメージが、どうにも湧いてこないんだが。」
「いえ、去年のリティエ隊は本戦が始まってすぐ、ミアさんの隊にやられちゃったんですよ。隊員も結構強かったんですけど、ミアさん一人まで追いつめた後、五人抜きの形で逆転されたんです。」
「そうか・・・ミア第一騎士団長に、リティエ第二騎士団長。騎士団の『対抗戦』と呼ばれる理由が、少しわかった気がするよ。」
「ひええぇっ。たまにいる筆頭騎士でも結構厄介なのによー・・・!」
「りあ・・・騎士、嫌い?」
「んにゃ。あたしも生きるために必死だったけど、騎士はあたしみたいなのを捕まえるのが仕事だもんな・・・それに、騎士と追いかけっこした後はめしが美味いからな!!うざいけど色々してくれる、先生?みたいなもんだ!」
「私から逃げ切った後の飯が美味いって、あの人も言ってたような・・・。団長の自信なくしちゃうよ、まったく。」
「ははは、彼は戦力差を無視して勝つような男だから、気に病まなくてもいいさ。ほら、決着がついたみたいだよ?・・・リティエ君は誰も寄せ付けず、そのまま敵部隊を殲滅して完勝、と。・・・僕らが順調に勝ち進んだら、準決勝でぶつかることは間違いなさそうだね。」
「・・・え。あたしらが勝ったとしても、ほとんど休憩時間もないまま決勝戦なんですよね?・・・あれとやり合った直後に決勝って、無理ゲーじゃん・・・。」
〔リティエ団長に、大きな歓声が上がっています!!純白の髪から放たれる神々しさは、まるで物語の聖人のようです!!〕
〔そうですね・・・その常識外れな実力と見た目の神々しさから、彼女は『異次元の聖術使い』という二つ名で呼ばれています。かの大魔導士に継ぐ魔法使いが、今まさに誕生しようとしているのかもしれませんね。〕
「──はーあ。揃いも揃ってうるさいな。異次元とか常識外れとか、自分が努力しないための言い訳にしか聞こえないっての。」




