73話 あれはポーカーフェイス
「いくよっ!降り注ぐ氷!!」
〔たなびくマントと長柄のルーンワンド!天に向けて放たれたのは、数多の氷柱針だ!広範囲の曲射攻撃、これは強烈です!〕
「──空刃っ!」
〔第四部隊長続けて空刃!氷と風の合わせ技に、アラン選手はどう動くか!〕
「・・・・・・」
〔曲射攻撃の時間差を上手く扱いましたね。上と横からの同時攻撃で、アラン選手は防戦一方です。同時に複数の処理を迫るのは、対人戦でかなり有効な戦法ですよ。無数に降り注ぐ攻撃を無傷でやり過ごす人なんて、早々いたもんじゃないですからね。〕
「解説のエノク君、いいこと言うじゃないか。あれは確かに、きつそうだね。」
「・・・、・・・・・・!!」
〔アラン選手、避け切れません!!空刃を剣で受けたことで、氷柱から意識が反れてしまったのでしょうか!?〕
〔これは強烈ですね・・・幸い今は防具が防いでくれているようですが、まともに喰らうとまずいかもしれません・・・〕
「アランさん、頑張って・・・!あっでも、もしかしたらわざと受けてる・・・・・・わけでも、なさそうかも・・・。」
「真田の奴・・・数合わせでてきとーに選んだりしてないよね・・・?」
「あらん・・・喰らってる。でもそろそろおわる。」
「・・・・・・。」
〔激しい先制攻撃でしたが・・・、アラン選手乗り切りました!氷柱の雨が止んでなお、そこに立っています!〕
「はあっ、はあっ・・・中々やりますね・・・!でも、まだまだいきますよっ!!業火術!」
〔第四部隊長再び仕掛けます!〕
〔主導権を握らせないつもりですね。このまま押し切ってしまうのでしょうか。〕
「・・・!・・・・・・!」
〔魔法学校の英知の結晶、業火術が球状となって放たれましたが・・・アラン選手これも防ぎました!盾を使って、何とか堪えているようです!!〕
「・・・。・・・!」
〔アラン選手構えなおした!って、あの人ちょっと表情薄すぎませんかね!?結構喰らったあとの反撃で、あんなに無表情なことがあるんでしょうか!!?〕
〔集中状態の真顔・・・でもなさそうですが、あの脱力感でよく今まで耐え忍びましたね・・・。〕
〔いやもしかしたら、仕掛けるタイミングを伺っていたのかもしれませんよ!?あれはポーカーフェイスで、何か大技を隠し持っている可能性もあります!!・・・激しい攻防から一転して、両者探り合いの硬直状態となってしまいました!〕
「おとうさん、あのアランって人、なんかこわーい。」
「確かに、あそこまで無表情だと不気味だな・・・。」
〔アラン選手の放つ異様な空気に、スタンドがざわついていますが・・・いや、待ってください!!よく見ると第四部隊長のワンドが、微かに光を放っています!!〕
〔まさか、あれは・・・!!〕
「気づかれないように、こっそり魔力を溜めておいたの・・・これで、もう終わりよっ!!」
〔残留する闇魔法で、強力な光魔法のチャージをカモフラージュしていたんです!大技を隠していたのは、第四部隊長の方だったんですよ!!〕
〔なんと!!ワンドが放つ光が、ここから見ても眩しい程に光り輝いて───〕
「──魔力、解放・・・・・・極光砲!!!」
〔巨大な光線が今ッ!!放たれました!!!〕
「はぁぁぁぁああっ!!!」
「・・・・・・・・・」
〔・・・これは、・・・・・・場外!!アラン選手場外です!!第二の第四部隊長、第三騎士団の精鋭を今、討ち取りましたぁぁぁ!!!〕
「勝者・・・・・・第二騎士団、第四部隊長!!」
「や・・・・・・やったぁぁぁっ!!!」
「隊長・・・たいちょぉぉぉう!!!
〔抱きしめ合う第四部隊に、大きな歓声が上がっています!!意地を見せた隊長の勝利に、僕も思わずっ・・・・・・涙が止まりませんっ!!〕
「アラン君・・・良い試合だった!!」
「アランのおっさん・・・・・・ナイスファイト。」
「あらん・・・よくやった。」
〔いやー、白熱しましたね。第二の第四部隊長には、いいものを見せてもらいましたよ。第三騎士団の団結も更に深まったようで、エノク君も素晴らしいと思いますよね!・・・って、エノク君?・・・いつの間にいなくなったんでしょうか・・・。〕
「み、ミア第一騎士団長!!何か、かっ、解説に問題でもあったでしょうかっ・・・!!」
「いえ、そう怯えずとも叱ったりしませんよ、今日は。」
「ひいっ!!」
「それより、今しがた行われた試合の映像、もう一度見せてもらえませんか?」
「は、はい!今の試合データはこのルーンに記録されてます!・・・でも、確かにあれは白熱しましたけど、ミア団長が試合観賞なんて珍しいですね・・・。」
「対策の必要が、ありそうだと思ったんですよ。では後ほど返しに来ますので、私はこれで。」
「はい!お疲れ様です!!・・・・・・あれ、対策・・・?」




