72話 そういう事だったんですね
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〔アメミヤ選手、すごい力だ!見目麗しい腕の内に、とんでもない力を秘めていました!!〕
「・・・うるさいな、女子が勝っただけで歓声上げるなっつの。」
〔彼女はもしかすると、力の精霊にも好かれているのかもしれませんね・・・〕
〔精霊、ですか?〕
〔ええ。精霊の加護を受けると、特別な能力を扱えるようになるんですよ。彼女の場合は身体能力が爆発的に高まるのと・・・そうですね、あの容姿も精霊の影響を受けているんでしょうか・・・。ああいや、とにかく。精霊との親和性は男性より女性の方が高いので、比較的スキルの扱いが上手かったり、稀に彼女のような異才が現れたりするんです。〕
〔なんと!魔法使いに女性が多いのは、そういう事だったんですね!〕
〔けど、あくまで『比較的』という話ですから、精霊に好かれて特殊能力を持った男性もいますよ。かの大魔導士様も、会話ができるほど精霊に好かれていたそうです。・・・っと、次の試合が始まるようなので、小話はこの辺にしておきましょう。〕
「次は、あたしが行く!!」
「ん。リアちゃんがんば。」
〔さあ次に台上へ上がったのは・・・って、え!?あの子支援員じゃないんですか!?・・・よく見ると、しっかりと籠手を身に着けていますね・・・。〕
〔獣人族のフラガリア選手は、ルーンナイフで闘うみたいですね。ショートソードより更に短く、軽装にルーン武器の中で最も軽いナイフを選んだという事は・・・。斥候の僕としては、見逃せない戦いになりそうですね・・・!〕
「・・・・・・始め!!」
「ふぅ・・・・・・よし!いっくぞーっ!」
〔なっ!フラガリア選手、消えた───〕
〔──よく見て!エヴィル君!!〕
「影縫いの足取り!!」
「クッ、何処に──ッ!うわああああッ!!」
〔はっ、速すぎる!!目が追い付かない程のスピードで、多方から斬撃を加えています!踏み込む瞬間の残像しか見えません!〕
〔シャドウステップは、踏み込みだけをあからさまにし、そこから無意識に予測してしまう移動先と真逆の方向に飛びのくフェイント技です!斥候専用技で、僕もよく通常の動きに一回だけ織り込んでブラフに使っていますが・・・あれはその派生スキルでしょうか・・・超一流の斥候から継承したのかもしれません。・・・僕もあの技、使ってみたいなー、なんて。〕
「・・・・・・戦闘不能。勝者、フラガリア選手!」
〔勝ったのはフラガリア選手!圧倒的な上位スキルによって、見事勝利を掴みました!!〕
「りあ、おめでと」
「へへ、やったぁ!!でもやっぱ、サナダの兄貴に教わった裏技、結構疲れるな・・・。」
「にしても彼、やはりとんでもない男だよ。まさかあれが、『シャドウステップの後隙を斬撃でキャンセルした、スキルの連続発動』だなんてこと、言われなきゃ誰も気づかないだろうね。いやしかし、リア君の俊敏性あってこその勝利だ、よくやってくれた!」
「『頭の回転が速い獣人族ならあるいはと思って』、とか言ってたけど、さらっと国がひっくり返るような発見するの、心臓に悪いよ・・・。」
〔さあ十四回戦、第三騎士団は未だ無欠状態ですが、第二騎士団第四部隊は最後の一人となってしまいました!苦しい局面ではありますが、隊長はまだ闘志を燃やしているようです!〕
「ここまでやられちゃったけど、見てて!!みんなの仇は私がとる!!」
「隊長・・・!!」
「たい・・・ちょうぅぅ・・・!!」
「みんな・・・まかせで・・・わだし・・・わたしぜったい負けないからぁ・・・!!」
〔隊長の覚悟に、戦闘不能の隊員たちが涙しています!!親切で実力もあると評判の彼女が、皆の想いを背負って台上へと歩いていきます!!〕
〔騎士の信念が、痛いほど伝わってきますね・・・負ければ終わりのトーナメント戦、強い重圧を背負っているんでしょう。〕
「ど、・・・どうしよう。倒しづらいな。」
「ここは僕が・・・と言いたいところだけど、厄介だな・・・彼女をすぐに倒してしまったら、人々は『騎士の覚悟』というものを軽視してしまう。かといって、僕が接戦を演じたところで空々しいだけだ。」
「・・・。」
「アラン君・・・君が、行ってくれるのかい!?」
「・・・。」
〔第三騎士団サイドからは、アラン選手の登場だ!今大会での初試合となりますが・・・その実力はいかに!!〕
「両者構えて・・・・・・始め!」




