71話 飾るのはやめることにした
「・・・来い!!」
「お望みとあらば!」
〔モトオウジ選手、一直線に突っ込んでいった!!対するは、力強い剣と盾の壁!はっきり攻防に分かれた剣戟が、今はじま───〕
「──貰ったよ。」
「ぐあああああっ!!」
〔え?・・・〕
〔なっ・・・!〕
〔こ、これはー・・・。な、なななんと、モトオウジ選手決めたああ!!一撃、一撃です!剣を振り下ろしたかと思えば、相手を一瞬にして場外まで吹き飛ばしてしまいました!エノク君、一体何が起こったのでしょう!?〕
〔僕も驚いてます・・・!単純に見せかけた動きは、全部ブラフだったんですよ!振り下ろす直前に腕を捻り、剣と盾の間を掻い潜らせるなんてこと、誰が予想できたでしょう!?〕
「───奇妙な剣筋だが、二度目はないぞ!おおおおおっ!!」
「それはどうか・・・なっ!!」
〔──華麗な踏み込み!一挙手一投足に迷いがありません!〕
「───三度目の正直だ・・・!」
「・・・何度打っても変わりやしないさ。二度あることは、三度ある!」
〔圧勝!〕
「我が騎士団の、誇りにかけて!」
「ならば応えよう、僕も全力で。」
〔──圧勝です!大胆な身のこなしで、第一の第八部隊は最後の一人まで追いつめられてしまいました!〕
「第一の・・・第八の・・・第五きし。」
「・・・主力部隊はリーダーの名前が付くんだけど、他はちょっとややこしいかもね。」
「だんちょ隊、いいひびき。」
〔さあ残るはあと一人!堅実な守りを得意とする隊長を相手に、モトオウジ選手はどのような動きを見せてくれるのでしょうか!〕
「主役気取りめ・・・培ってきたものの違いを見せてやる・・・!」
「これは、一芸を披露する雰囲気なのかな?」
「・・・始め!」
「来ないなら、僕から行くよ!」
〔先手を取ったモトオウジ選手、その剣を振り下ろした!〕
「ぐぬぅっ!まだだぁ!」
〔しかしこれは、防がれました!うねりを上げて打ち込まれる剣を、確かに盾で防いでいます!〕
〔流石隊長と言わざるを得ないですね。着実に護りを固め、反撃の機会を伺っています。〕
〔攻めあぐねるモトオウジ選手、これはどうなってしまうのか!〕
「攻めあぐねてるそうだが、君はどう思うんだい?」
「ぐぅっ!何故、何故こうも小賢しいのだ、貴様の剣は!」
「──聞かれたのなら、答えよう。・・・この剣には、僕の悪意を込めている。」
「悪意、だと・・・!?」
「王宮で叩き込まれた見映えする剣が、僕はとても憎かった。自分を飾るために剣を振った自分が、後から醜く見えて仕方なかったよ。・・・なればこそ、飾るのはやめることにした!不甲斐ない僕を詰め込んだ、しょうもない自覚の剣さ!」
「ならばなぜ、貴様は強い!!」
「そうだな・・・強くなった理由があるとすれば───」
〔モトオウジ選手一歩引いて構えた!前代未聞の奇妙な体勢、そこから繰り出される技は、一体───!?〕
「ぐぅぅおおおお!!」
〔──連撃ッ!連撃だ!うねる剣の残像しか見えません!!〕
〔モトオウジ選手・・・優勝狙えますよ!!ここに来て第三騎士団長に、またとんでもない選手が加わってしまいました!!〕
「──彼に負けて、すっきりしたからかな?」
「うぐあああああッ!!!」
〔決まったぁぁぁ!!人間離れした実力で、五人抜きを達成してしまいました!!大きな歓声を浴びて今、モトオウジ選手が舞台を降りますッ!〕
〔いやこれは、素晴らしいものを見せてもらいましたよ。〕
「予想不可能な剣裁きで勝利した感想を一言で!お願いします!」
「はは、僕を救った英雄には、剣筋の遥か先まで読まれたんだけどね。・・・僕もこれから、精進するよ。」
〔なんという事でしょう!謙虚なモトオウジ選手と更なる強者の存在に、会場が湧きあがっています!主力部隊の力は、伊達ではありませんでした!〕




