69話 目にもの見せてやりますよ
「・・・それじゃ、指名手配犯の俺はお暇して、明日は客席にでも忍び込むとするかな。」
「そ、そうだよね・・・。流石に、あなたが出るわけには行かないか。」
「なに、俺がいっても変わりやしないさ。・・・まあ、気張るなよ?団長。」
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〔さあ始まりました騎士団対抗戦!王都を護る正義の騎士団、その精鋭が集められた今日ここで!騎士同士のしのぎを削る戦いが始まります!天気は快晴、客席のみなさんも盛り上がってまいりましょう。今日は、目にもの見せてやりますよ!と意気込んだのはいいんですが、僕ってば非戦闘員なんで試合の良し悪しとかは、全然よく分かりません!そんなわけで今回は、対人戦に詳しい僕の友人を呼んでいます!〕
〔・・・解説のエノクです。今日は頑張って観察眼を研ぎ澄ませるので、どうぞよろしく。〕
〔実況解説は筆頭騎士から、支援員のエヴィル、斥候のエノク君でお送りしますので、どうぞよろしくお願いします!・・・っと、早速騎士たちがメインゲートから入場するようです、会場の皆々様は是非とも、拍手でお出迎えください!〕
「──────────ッ!!」
〔──凄まじい歓声が上がる中、最初に姿を現したのは!ミア=アルカディア騎士団長率いる、第一騎士団です!〕
「・・・見世物とはいえ、相変わらず騒々しいですね。ですが、気を引き締めるにはちょうどいいです。」
〔我らがミア団長のチームは、前大会で見事優勝を勝ち取っています。今回の優勝候補で間違いないですね。〕
〔お次は第二騎士団!大勢がローブを纏って、異様な雰囲気を放っていますね。〕
〔第二騎士団は数多の団員数と高い魔法技術力を誇ります。優れた作戦指揮と巧妙な魔法で、きっと面白いものを見せてくれますよ。〕
〔第二は頭脳派騎士団なんですね!そして最後は、第三騎士団っ・・・て、あれ?代表チームの後ろには、誰もついてきていませんよ?〕
〔そうです・・・なんと第三騎士団は、今回も一チームしか出場登録をしていないんですよ・・・!〕
〔今回・・・も?〕
〔それどころか前回は、アイリス=ミリオン第三騎士団長が単騎で乗り込み、決勝戦まで勝ち進んだんです・・・体力がネックになるチーム戦をたった一人で勝ち進む、この意味が分かりますか・・・!〕
〔アイリス団長・・・何者なんですか!〕
「ふふっ、言われてるよ?アイリスさん。」
「今日こそは、優勝するんだから!」
〔どの騎士団も、圧倒的な存在感ですね・・・五人一組の二十三チーム、百十五人の騎士全員が実力を発揮できるよう、心から祈っています!・・・それでは、諸々の式次が終わった後にまた。今日は皆さん、張り切っていきましょう!!〕
・・・と、いう風に始まった騎士団対抗戦。形式ばった雑事が済んだところで、百十五人の騎士たちはチームの待合室に戻る。第三騎士団に割り当てられたたった一つの待合室は、長い廊下の一番隅の部屋だ。
「ふぁぁあ、緊張したぁ。」
「リアちゃん、今日はがんばろ!」
「・・・りあの耳、ぷるぷる」
ベンチで脱力する元吸血鬼フラガリア=エリッドウェーを挟むようにして、メモ隊員とアメミヤ隊長はその頭を撫でている。互いに緊張を解し合う彼女らを見つめるのは、壁際に立って精神を落ち着かせているアイリス団長と元王子だ。
「ふぅ・・・。っよし、頑張ろう!」
「今日から本格的によろしく頼むよ、リア君と・・・アラン君。」
「お・・・、おう!!」
振り向いて拳を合わせたフラガリア、最後に無言で頷いたのは、鏡付近で甲冑の様子を確認する兵士である。
「・・・」
「彼から聞いた通り、君は全く表情が変わらないね・・・でも何故か分かるよ。君は強い覚悟を持った、誠実なナイスガイだってね!」
「それ、私も何となく思うけど・・・。王子さん・・・コミュ力たっか。」
アメミヤは彼を見て、感嘆の声を漏らしたのだった。




