ブロローグ(2)
時は二週間前に遡る。
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気づけば、僕は森の中に居た。
いつからここに居たのかは、分からない。
ボロボロの服装。
古びた靴。
亀裂が入った眼鏡。
自分の現状を確認してから、首を傾げた。
うっすらと前世の記憶はある。
僕は事故で死んたのだ、と自認する。
しかし、この現状に繋がるような説明はできない。
ため息を吐く。
考えても仕方ない。
すると、隣に身知らない人が居た。
爽やかな雰囲気を体現する男だ。
彼は僕を視認すると、何やら話しかけてきた。
「■■■? ■■」
その後、僕は自分の耳を指差して、両腕でバツを表した。
実は生まれつき、耳が聞こえないのだ。
爽やかな男は驚き、どう対応したいいのか、困惑しているようだ。
そんな様子を傍観しながら、僕はこれからの行動を考え始めた。
まずは高い所に行き、目的地を探そう。
そこから計画を組み立てたらいい。
自分を励まし、一歩を踏み出した。
振り返って見れば、爽やかな男は理解が追いつけず混乱していた。
手招いて誘導しようと試みる。
すると、僕に付いてくれた。
しばらく歩いてたら、小川が見えた。
これは運がいい。
流れていく方向に沿って進んでいけば、村に辿り着く可能性は僅かにある。
迷わず方向を切り替える。
脚が疲れたら、座って休む。
喉が渇いたら小川の水を飲む。
休憩タイムを繰り返しながら、歩き続けた。
そうしている間、陽が沈んでいく。
そろそろヤバいぞ、と思い始めた頃に水車に巡り合った。
「■■!?」
水車があるという事は村は近い!
希望を持って、どんどん歩いた。
くるっと野道を半周してみた結果、ようやく村に辿り着いた。
「うぁああああああ!」(意訳:うぇええええい!)
「◼️! ◼️◼️!」
ここまで頑張った甲斐が有った。
言葉は通じないけど、爽やかな男と手を取り合って喜んだ。
今度は爽やか男が先導して進んでくれた。
この調子で突き進むぞ!