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夏1/夏2




夏1


登場人物 主に俺・恂・芽衣



毎年夏になると俺の家族と恂の家族は一緒に海水浴がてらバーベキューに行く、一昨年の話。



とりあえず海に着たら泳がないと始まらないので一人で泳ぎ始めていた。


芽衣は着替え、恂は食事の支度。


数分してから芽衣と恂が大きなゴムボートを抱えてこっちに向かってきた。


恂「芽衣ちゃんと話したのですがもう少し遠くの方に行きませんか?このボートを使って?」


いつも以上に上機嫌な恂に不安を抱きつつも触らぬ神に祟りなし、な精神の俺は素直に従った。


ボートを漕いで親達が豆粒ほどの大きさになった時にここで止めてください、と指示があったので行使。


しばらくのんびりとしていると芽衣の顔が見えた。


なんだか眼が爛々と輝いていてイタズラが成功するか否かという期待に満ちていた。


そして60キロは軽く超える俺の身体が浮いた。


そして海に落ちた。否、落とされた。


俺「何するんだよ!!」


恂は何事もない様に黒い笑顔をしていた。


恂「君は服を着たまま泳ぐとオリンピック選手でもかなり辛いと言うことを知っていますか?」


俺「ああ。それがどうした?」


恂「ではスイミングスクールでよく使われる腰に巻いて泳ぎやすくするヘルパーというものを知っていますか?」


俺「そらそうだろ。俺もお前も一級までなって一緒にやめたんだから。」


恂「では、そのヘルパーの代わりに三キロのダンベルを腰に巻いても泳げると思いますか?」


俺「多分、生きてると思うけど、まさか!!」


恂「では自分の言ったことは身をもって証明していただきましょう。がんばって下さいね?僕と芽衣ちゃんは戻りますけどくれぐれも死なないで下さいね。人殺しなんて真っ平ごめんなので。」


そう言って何かを俺の近くの水面に落とした。


俺「!!!!」


次の瞬間海パンが急に落ち始めた。


海パンにぶら下がっているものを引き上げると、俺がいつも筋トレ用に使っている紺色のダンベルだった。


それからのことはご想像にお任せいたします。


ただ、足だけで2キロ弱泳ぎきると死んだように眠ることが出来ます、はい。



夏2


登場人物 俺・殺人未遂者・芽衣



なんとか死ぬ気で泳ぎ切って我が最愛の友人、恂に感謝を述べようと火を焚いている近くに歩いていく。



俺「よう、死ぬ覚悟は出来てるか?って冗談です。だからそのいかにも切れそうなナイフを俺に向けるのは止めてください!!」


舌打ちしてから再び作業を開始する恂。


俺「て言うか何してんの、お前?」


恂は器用にもさっき俺に向けてきたナイフを使って魚の鱗を落としていた。


その周りには焚き火が二つ。


一つには何かナベに入れて沸騰させている。


もう一つには隣にある焚き火よりも3倍くらい大きい。


さらにその隣には一メートルくらいあるトタン板の上に無意味に長い昆布、鱗を落としたと思われる魚数匹とまだだと思われる魚数匹が乗っている。


恂「見て分かりませんか、クズ?昼食を作っているんですよ。誰かさんが海で遊んでいるうちにね。」


遊んでねぇよ!とは言えない優しい俺。


俺「あの沸騰しているナベは何が入ってる?」


恂「海水ですけど何か?」


何で海水?


恂「塩を作っているんですよ。さっきから何度も煮詰めてようやく20パーセントくらいまで濃度が上がったのであのトタン板で精製するつもりです。ちなみに昆布は蒸し焼きにするために使います。魚の内臓と鱗をとってから精製した塩だけを掛けます。」


わかったけどあの黒い土は?


恂「蒸し焼きにするのに砂は好みじゃないのでそこの山から盗って来ました。あとは下拵えをして塩をまぶした魚を昆布で包んでトタンの上に土・昆布・土の順で乗せてから上と下から火で蒸せば完成です。」


俺「説明ありがとう。でもなんで蒸し焼き?バーベキューするのに?」


恂「芽衣ちゃんが自然で食べたことがないというのでしました。可哀想にろくな兄を持たなかったのですね。」


そのあと悪態をつく恂に付き合っていると出来上がりました。


このあと結局蒸し焼きを食べました。ええ、悔しいながらおいしかったですよ。



蒸し時間は半時間から一時間だそうです。試してみてはいかがでしょうか?

ちなみにこの方法で塩を取るときは何度かろ過してから精製するほうが良いらしいです。

一リットルからだいたい30グラム前後採れるそうです。

あと、土を勝手に取るのは窃盗に当たるのでくれぐれも真似しないで下さい。


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