13話———逆光と盗賊———
朝起きて
ふと思ったのが
猫消えた
帰ってきたとき
鳩を加えてお土産にしなくても・・・。
書き主、心の俳句。
今日は珍しく、スラちゃんたちに起こされた。
昨日は暗くなっていて、見えづらかったけれど。
どうやら次の町の近くに来ていたようだ。
喜んでいるのか、すり寄ってきて、早く行こうとせかす二匹
そうだね、早く行こう、私も楽しみなんだ。
町へ入ると、何やら騒がしい、ここは、ギルドの前かな?
すぐ玄関先に、ドカーンと構えている大きな建造物、
外には民間人用、中には登録者用の掲示板があるようす。
そんなところで喧嘩しなくても、っと思っていたら、
ギルド長が直々に成敗していたようで。
内容を聞いていると、管内で商品を落として割れてしまい
怒られているようだった。
んで、なんで外で?ん~謎。
野次馬と一緒に並んで聞いていると、イノシシを持ってきて
3日たっていて食べれないのと、鹿の角を落として割ってしまい
失敗時の保証金を払っていないではないか!という話。
あーあ、どこにでもいるんだなぁ、こういう桜役?
いや、まじめに怒られてるからして、ガチでやらかしたんだろうけれど
そういえば私のインベに、スラ達が勝手に入れた鹿の角
イノシシも残りがある。
日付は立っていても、保存性の高い方法を、
族長から教えてもらっていて、まだぜんっぜん新鮮。
少し分けてあげたいけれど、仕事の横やりはいけないよね。
っと考えていたのがばれたか、ばれてないかは知らないんだが、
スラ子たちが、私を引っ張って、ギルド長と、仕事を受けた人の前に
やめてほしいんだが、立たせないでくれ泣
ギルド長「なんのつもりだい?スライムに連れて来られて
野次馬が何しようが知らないが、横から入らないでおくれ」
私「えっと、たぶん、この子たちが私の持ってる肉と角を渡せと
言いたいんじゃないかと・・・」
クエスト中の人達「え、嘘ですよね?そもそも簡単に手に入るものじゃ」
ギルド長「お黙り!その話が本当なら、うちでぜひ買い取らせてくれ
あんたたち!仕事拾いしたね!この人に詫びな!」
クエスト中の人達「ひぃ~」
あはは、長さんにビビるか私にお礼するか、どっちかにしよう?w
でも、言われたとおりに、買い取ってくれた。
すっごい金額で、私自身驚いている。
この世界は、どこへ行っても食難で、そんなに食事の材料とか
ないらしいんだ。作ればいいのに・・・って思ったよね
じつは、土に種を植えても、野菜は森で、魚は海で
肉は深森、キノコは洞窟以外では一切育たないそうだ。
そういった土地云々に対する、呪いが存在するらしい。
それでこんなに人の手が入っていない、そんな土地になっているんだ。
砂漠の話を長さんに持ち出したら、あそこへは行かない方がいいと
ひたすらに拒否られ、まともな話すらできなかった。
進められて、商業系の売買の契約カードと、ギルドの掲示板を
自由に見れるようにしてくれて、クエも受けられるようにして頂いた。
何から何まで。
登録用の石板があって、触れてみますかと聞かれ、
興味半分で触れたところ、身分証明が出る。
ステータス————
緑野 リンゴ LV50 無職 使用武器 弓 細剣 短剣
スキル 取得量不明 表示できる範囲を超えています。
一部表示 ヘイスト 矢の破損率軽減 金属劣化軽減
消費期限延長 呪い効果無効
―――――――
ふあぁ~、まだレベル50かぁ。
っと残念そうな顔をしている私に、ギルド長が唖然とした顔で言う
ギルド長「・・・50,え?石板が壊れたかしら?」
話し声が周りに聞こえる、50だって、低いんじゃないのかと
思っていたのが覆される。
このギルドで一番強い冒険者が、レベル24らしい。
それが、さっきのメンバーで、全員24だという事。
私のレベルを知ってか、周りの冒険者が、わらわらきて
勧誘活動が始まっている。
だが断る!
ボッチがいいの!ソロなの!いやだよ!
そうはっきり全員に言い聞かせた。
みんなしっかりあきらめてくれたようで、めでたしだ。
あれ?スライムがいない。
どこいった~まいスイートぷにぷにちゃ~ん(慌)
困った顔でうろちょろ探していると、冒険者の一人が
あの二匹なら外へ、町の中の方へいっちゃったわよ~?
っと教えてくれた。速攻で探しに行くよ!ぷにちゃん!
だがしかしミイラ取りがミイラに。
町中のモノがキラキラしていて、輝いて見える、
珍しい物がいっぱいあるからか、目移りしちゃう。
これじゃあ探しに行くどころじゃない、ん~、せめて飲み物買って
それから考えよう。
自販機なんてないからなぁ~、どこで飲み物買うんだ?
お?外で水を売っている場所がある。
水も有料なんだ・・・。
私「おいくら万円?」
おじさん「んあ?この店は一番値段高いけど、買うのかね?
一応値段は銅貨3枚じゃよ?」
私「ほい、4つ欲しいんでこれで。」
おじさん「ありがたや、一番安い店に客が取られとってのぉ」
そういわれて、一番安い店の場所を聞いて、そっちの水も
買うことにした。
おばさん「安いからよく売れるのよねぇ、仕入れが大変だわ♪」
私「しっかり休めるときに休んでくださいね。」
おばさん「ありがとうねぇ、若いのにありがとぉねぇ」
この人二回もいった、そんなに感謝されてもねぇw
お、武器屋がある、覗いてみようかな。
中に入ると、ぷにちゃんがいた。
ちゃんと二匹いるな、よしよし、武器に興味あるのかな?
店の商品もなかなかに充実している。
煌びやかな造形のモノから、一般的な皮装備まで、
武器も数種類の職業にわけて、置かれている。
普通の店は、ごっちゃ替えしているイメージだが、
きれいに整頓されていて、いい感じ♪
これは、新しい弓!綺麗だなぁ、でも重いや、使いづらそう。
こっちの弓は~♪
お、剣もある!軽くて持ちやすい!でも折れそう!
なんかいい物無いかな~♪
おっちゃん「お?珍しいなぁ、こんな田舎の武器屋にようこそ!」
がっはっはとかがはっははとか、笑うおっちゃんが、
店の奥から出てきて、話しかけてきた。
私の細腕を見て、不思議そうに腕をもんできた。
ちょっとびっくりして、引いたけれど、おっちゃんが隣の部屋が
私にちょうどいい武器や、装備があると、指をさして部屋を
教えてくれた。
確かに、使えそうな武器や装備が多い。
これなら、なんとかなるかも?
私「わぁ~この弓使いやすそう!こっちの装備も!」
おっちゃん「ほぅ、触れるとかびっくりだな、制限30レべ装備だぞ?」
適正レベルが足りていないと、腕ごとはじき返されて、使えないそうだ。
持つことだけなら、誰でもできるけど、
素振りをすることは、適正値がないと無理だそうだ。
私「おっちゃん!この弓と防具ください!いくらですか?!」
おっちゃん「おーいおい、そりゃ誰も使えねえから値段ついてねえぞ
それに俺はまだ28だ!おっちゃんはあと2年さきだぞ」
お互いに値段の相場がわからず、ギルドへ二人と二匹で顔を出した。
長に説明して、質問をつなげて会議する。
横からエルフのおねぇちゃんが首を突っ込んで、
エルフの里では誰でも弓なら、適正種族で持てるからと
一般に売られているらしく、相場が発覚した。
銀貨2枚、装備は銀貨3枚で一式だそうだ。
全然余裕に買えてしまった。
28のおっちゃんは、大喜び、それもそのはず
この町は、最果てから2番目の町で、用でもないかぎり
誰も立ち寄らないからか、防具なんて買う人もいないし
武器なんて、スライムか烏しかほぼいないから、いらないそうだ
狼とか、ゴブさんたちは、見かけたら逃げればいいそうで
最初から手を出さないんだとのこと。
ふ~ん、じゃぁもっと大きな国に行けば、もっとレベルの高いの
わんさかといる感じかな?
ソロボッチが好きな私は、町の外で野宿したいから、
町の外にいることを説明、すると、拒否された。
ギルド長曰く、外に、入ってきた反対側に、見えない範囲に
人を襲う盗賊が隠れているそうだ。
それは確かに怖いな。
仕方がない、今日は宿を取ろう。
スラちゃんたちが喜んでいる。
人間の暮らしに興味があったのか、色々としゃしゃり出てくる。
食事の時間になると、宿屋のままが、食事を運んでくれる。
おいしいスープに、野菜炒め。
宿屋の値段が高いのは、野菜とか、調味料とかを普通に出してくれる
そういった配慮を含めての、金額なんだろうな。
一日金貨1枚は高い。
物価がおかしい。
そういえば、盗賊ていってたっけ。
明日行ってみるか・・・。
相手のレベルみて、ダメそうならかえってこればいいや。
そして朝が来た。
朝食を食べた後、すぐに南へ出ていく。
森は、そこまで大きくなかった。
木の上を、ジャンプして森中を駆け回る私、スラちゃんたちも
しっかりついてきている。
あ、いた、盗賊たちだ。
んっと?レベルは、24.なるほど、それは確かに。
ギルドの最大レベル者と同じレベルで、30人くらいいるね
目視だけだと、ですけどね。
中の方に何人いるんだろう。。。
ねぇ、ルイ、生きてるなら教えて?
ルイ(しょうがないですね、172人ですよ。ちなみに
現在実家にいます。)
私(実家とかあったんだ!w)
そんなに人数いるなら、やめた方がよさそうだなぁ。
帰るかな。
ルイ(勝てますよ?)
私(はい?)
その言葉を耳にして、作戦を聞いてから、夕方の5時ごろに行動を
開始した。
うまい具合に西日が強い。
自分が逆光して見えないように、影を落としながら戦う
絶対に逆光を、常に重ねておくこと、これが条件。
そして、立ち回りを考えながら、弓ではなく、剣でもなく
刀で戦う。これは、一番最初に倒した盗賊から、拝借。
20人くらい倒したところで、目の前に表記がでた。
———解放条件を満たしました———
影の力 スキル LV2 影を使っていろんなものを構成できる
※現在使用可能 一度触れた武器と同じものを作成可能
あら?影の能力戻ってきたわ。
っとか言っていたら、敵さんに刀を折られた。
もろくなっていたようで、よく見たら錆びている。
やばいな、なんとかならないかな、こう、落ちている影に
隠れたりとか・・・。
敵一同「んぁ!?消えたぞ?!どこだ!探せ探せー!」
え?あれ?もしかしたら、できちゃった?
っということで、全員気絶させようか。
さすがに人間殺すのは、ちょっと・・・。
170人ちょいの面子を、掃除完了、といっても、みんな気絶ね。
ふぅ~動いた動いた。
久しぶりに汗をかいたかな?そうでもないか。
森で遊んでいたし♪
スラちゃんたちは、奥から色々な鍵を持ってきた、
なんだろう、洞窟に入ってみる。
鉄の格子の中に、子供がいっぱい、みんな、若くてかわいいの
人身売買用ってところかな、いやだなぁ~こういうの。
解放して、いや、怖がって出てこないから、逆に脅してみる
おまえら、ついてこい!っていって、軽くおしりぺんぺんしたり
半泣きになるみんなを、スライムがすりすりして、
馬車が入り口にいっぱいあるから、それを借りて、
子供たちと、盗まれたであろう物を全部もって、
町へと帰っていく私とみんな。
ギルドも町中も、夜だから静まり帰っている。
宿屋へ行って、事情を話して、金貨20枚で手を打った。
だいぶ安宿になってしまうが・・・。
お風呂へ入れたり、食事をさせたり、
なんか途中で覚えていた、回復魔法の初歩を使って、
小さな傷を治して回ったり、作業が一晩続いた。
そして、翌朝、ギルドに全員連れて行った。
子供たちは、何をされるかビビりながらも、私にしっかり付いてくる
そして、長に事情を話すと、会話を聞いていた子供たちが
察したみたいで、やっとお家へ帰れるんだと、喜んでいた。
一人を除いては・・・。
長さんが対処して回ったおかげで、3日もかからずに子供が皆
親が見つかり、家へと帰っていった。
そして、残った一人、君か。
どうしようか、親が見つからないようで、私も書類を見せてもらった
家族全員、とっくに他界していたようだ。
私「・・・、一緒に来る?旅をしているんだけど。」
女の子「え、・・・いいの?」
いかにも泣き出しそうだった子が、少し笑った気がした。
ギルド長「いいのかい?そのこ、呪い持ちだよ?」
私「だからいいんですよ。」
それを聞いた女の子は、感極まって泣き出してしまった。
呪いのせいで嫌われて、親に捨てられたって、聞かされた。
このくそ親め、もし他界してなかったら殴ってやる。
色々あって疲れたのか、今日はみんなで宿屋でお休み
お昼のごはんがやってきて、二人で食べる。
すみっこの方で、スラちゃんたちが寝そべっている?のかな。
ちょっとだけ、色が濃くなっている気がした。
スライムって透明度があると、キラキラして綺麗ですよね
小学生の時に、作る授業でラメ入れまくったら
伸びずにちぎれてしまい、めっちゃくちゃ残念過ぎて
隅っこで泣きまくった覚えがありますぅw
作るときはラメはほどほどにねw
by書き主