第2話 防衛出動発令
7月7日
日本と軍事的に強い結びつきをもつアメリカ。
その国防総省、通称"ペンタゴン"が、新華軍の動きを察知したのは午前2時頃であった。
すぐさま、国防総省は日本の防衛省へ情報を送った。
しかし司令中枢に情報が伝わったのは午前3時であった。
情報伝達の遅いと言われる防衛省であるが、この時ばかりはたまたま比較的早く情報が伝達された。
自衛隊はすぐさま厳戒態勢に入った。
しかし、一方で東シナ海と日本海北部には既に新華海軍が展開していた。
攻撃察知はあまりにも遅すぎた。
午前4時
自衛隊対して、
「攻撃予測事態」に伴う史上初の
「防衛出動」が発令されるが、これは後程、
「攻撃事態」に伴う
「防衛出動」へと変わることとなる。
それからわずかな時間で、新華海軍及び空軍は沖縄諸島に接近、主要施設へのミサイル攻撃並びに空爆が始まった。
宮古、与那国、石垣等の各島には新華陸軍が一個師団が上陸。
更に、沖縄本島にも新華軍航空戦力が展開。スクランブルを行った航空自衛隊機及び米空軍機との戦闘に突入した。
そして、日本海北部でも、火蓋は切って落とされようとしていた。
日本海北部には海上自衛隊護衛艦
「かぶしま」と
「まつしま」がいた。
二隻は最寄りの護衛艦隊に救援を頼みつつ、新華海軍の艦艇二十隻を相手に戦わねばならなかった。
頼りの綱は、海上自衛隊が世界最高水準を誇る艦艇の性能と裏打ちされた実力だけであった。
苦戦は必至だった。