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第13話ー澪

 ちょっと分かりにくい文章になり、本当にすみません。

 誰かに担がれて、運ばれているのが分かった。

 ゆっくりと目を開けて、ずきずきする頭の痛みに耐えながら、何とか目だけを動かすと、彼とジャンヌが寄り添って歩いているのが見えた。

 怒りがまた込み上げてきたが、頭以外の節々も所々が痛くて、どうにも動けない。

「私の夫に寄り添って歩くな。この売女」

 と、何とか声を出そうとする寸前で、私は我に返った。


 小学校を卒業し、女学校の入学式に来た私に、何故、夫がいるのだ。

 彼は、私が「お兄ちゃん」と呼びかける従兄、家庭教師の先生、そして、この女学校の新人教師の筈ではないのか。

 私が、そう思った瞬間、あらためて記憶の扉が開いた。


 そうか、そうだったのか。


 私は、彼の前世の正妻の生まれ変わりなのだ。

 だから、あんなことを。

 鈴は、元婚約者の愛人と言う訳か。

 愛は、おそらく芸者で、夫の初めての相手。

 ジャンヌとは、夫は仏で関係を持った。


 何だか、ますます嫉妬の炎が燃え盛る気がしてきた。

 何で現世まで、前世の夫の周りの女性が、夫を追いかけてきているのだ。

 私も子孫に生まれ変わって、夫を追いかけてきたので、人の事は全く言えないが。

 それにしても、これから、と思った瞬間に、我に返った私は慌てふためいた。


 私、何てことを口走ってしまったの。

 どう考えてみても、「お兄ちゃん」と私の間に、そういった関係があったようにしか、聞こえない事を口走ってしまっている。

 気が動転したまま、私は誰か(後で、先生だと分かった)に担がれたまま、一室に運び込まれた。


「澪、あいつがあんな鬼畜男とは知らなかった。姉には厳重に抗議したところだ。全くとんでもない奴だ」

 私の目の前で、父が興奮している。

「澪、どうして正直に言ってくれなかったの」

 母は、涙をこぼしながら、私を抱きしめてくれている。

 私が一室に運び込まれた後、入学式に出席するつもりで来ていた私の両親が、その一室に文字通りすぐに飛び込んで来て騒いでいる。

 えーと、どうやって私は弁解しよう。


「お兄ちゃん」と私と現世では、肉体関係は全く無い。

 それどころか、キスさえしたことはない。

 おそらく、他の3人も同じだろう。


 もし、抜け駆けして、している人がいたら、そいつは許さないけど。

 正妻を差し置いて、愛人の分際で、許される話ではない。

 いけない、また、前世と現世が入り混じってきた。

 とりあえず、目の前の状況を変えないと。


「お父さん、お母さん、嘘よ、嘘。本当に「お兄ちゃん」と私との間に、そういうことは無かったから」

 私はできる限り、自然に聞こえるように言った。

「そうなのか」

 父は少し落ち着く素振りを示したが、母は全く変わらない。

「澪、本当のことを言って。甥だからと言って、信頼したのが間違っていたわ。ロリコンの鬼畜男が身内にいるとは思わなかった」

 もう、お母さん、娘の話をきちんと聞いてよ。

 私が嘘だ、と明言しているでしょう。


 ともかく、この状況を少しでも変えないとどうにもならない。

 私はそう思わざるを得なかった。


 その後、私は、母親立会いの下、浦賀女学校の教師から、真実について、問いただされる羽目になった。

 私は、あの場の冗談という線を貫くことにしたが、あの場の状況を思い起こす限り、誰も信じないだろうな、と自分でも思わざるを得なかった。


「ともかく、産婦人科の処女検査でも何でも受けます。その代り、本当に何ともなかったら、どう責任を取ってくださるのですか」

 とうとう、最後には私は逆ギレして、教師に逆に聞く羽目になった。

 妻として、夫の名誉は守らないといけない。


「その時はその時と言うことで」

 私に質問をしてきた教師は冷たかった。

 

 よろしい、私達夫婦の名誉を汚したお返しは、充分にきちんとさせてもらう。

 何だか、妙な感じな文章になっているのは、語り手と言える澪の認識が、前世と現世で入り混じって混乱している状態で話しているためです。

 だから、男主人公を、彼と呼んだり、夫と呼んだりしています。


 この後、他の教え子3人の視点からの話になりますが、同様の感じになります。


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