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生ノリの海鮮巻き揚げと小羽族と三ッ子


その日 6才で赤・黄・青のカラフルな髪色に、背中に小さな羽の生えた。少数民族で、珍しい小羽族の三ッ子イロハ、ニイナ、サナタ達は、三ッ子憧れの翼族のシンワと一緒にシンワオススメの朝倉亭へと晩ご飯を食べに行っていた。


実は三ッ子の母親が、今日のお昼頃から急に産気づき。

小羽族の父親やお産を手伝いに来てくれた両親の友人で、お産経験者の者達や近所の奥様方が大勢駆けつけてくれ。

家の中がバタバタしているからと母親の弟で、三ッ子の隣の家に住んでいる大好きな叔父さんの家に預けられたのだ。


「叔父様、母様大丈夫ですかねぇ?

もう赤ん坊は産まれたでしょうか?お産は体に大変な負担をかけると聞きますので、母様も心配ですし。

父様が母様を心配しすぎて、泣きすぎていないかも心配でございます。」


三ッ子の中で最初に産まれた。しっかり者の長男イロハが、不安そうな表情を浮かべ。行儀よく繋いだ右手をギュッと握り締めると、シンワに質問する。

一方、左手を繋いでる次男ミイナは、元気よく手を揺らしながら歩き。


「叔父さん、ご飯楽しみだねぇ。どんな料理があるだろう?僕、腹ペコペコだよ。」


楽しそうにケタケタ笑い、能天気に話しかけてくる。そんな対照的な2人の話に、シンワは優しく微笑みながら


「そうですね。イロハ達を産んだ時は確か、1日半ぐらいかかりましたので、まだ産まれてないと思いますよ。

それに姉さんは翼族でもお強い方なので、イロハ達がお利口にご飯を食べ、一晩ぐっすり眠り。

目覚めた明日の朝には、イロハ達の弟か妹達が産まれている頃だと思いますよ。

3人とも姉さんにも赤ちゃんにも早く会いたい気持ちは解りますが。明日になればきっと会えますから、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。

それにニイナ。今から行く朝倉亭は、ニイナ達が食べた事や見た事も無い。色とりどりで、美味しい料理がたくさんありますから、何が食べれるか楽しみですね。

あとイロハ、僕のことは様をつけなくて叔父さんと呼んでいいんんですよ。」


シンワがイロハやニイナに話しかける。


「いいえ叔父様、それはいけません。シンワ叔父様は、私の憧れの方であり、白魔法師の師匠なのですから。

それに私が尊敬のねんを込め『様』をつけてお呼びさせて頂いている方は少なく。叔父様はその中でも、素晴らしい人格者なのですから、自信をお持ち下さいませ。」


シンワと何度目かになる呼び方の話をイロハとしていると、シンワ背中におぶさった。

3人の中で体がひとまわり小さく。少し病弱で、甘えん坊の三男で末っ子サナタが


「僕…赤ちゃん……弟がいい…。」


恥ずかしそうに小さな声で、ボソボソと話す。


「あっ!サナタも赤ちゃん弟の方がいいの。僕も弟の方が嬉しいなぁ~!だって、弟なら皆で一緒にボール遊びできるもん。」


「サナタもニイナも弟の方が良いのですね。

私もどちらかと言えば、妹より弟の方が良いと考えております。

何故ならば、私達が幼少期時代に着ていた赤ん坊服や玩具等が再利用でき。経済的で良いかと思いますので。

しかしやはり一番は、母様と産まれてくる赤ん坊が元気であれば一番嬉しいですねぇ。」


などの話を4人でしながら歩いているとシンワオススメの朝倉亭に到着し。店内の中へと入っていくのであった。



◆◆◆◆◆



カランコローン♪


「「いらしゃいませ(ニャ。)」」


「あっ!シンワニャ。今日も来てくれありがとうなのニャ。

まわりにいるのは、いつも話してくれる甥っ子達なのかニャ?

はじめましてニャ。僕は朝倉亭の看板息子で、猫族のシイニャン。仲良くしてニャ。」


アルサに教えてもらい一度来店してからは、町にいる時は1日に1回は必ず朝倉亭で食事している。朝倉亭常連のシンワは、仲良くなった看板息子のシイ達に自己紹介され。

なごやかに話ながら、いつものデーブル席へと案内される。


そして、いつものように刀弥がコップや水差し、おしぼり、メニュー表を持ってきてくれ。シンワはいつものように今日のオススメを聞く。


「そうですね。今日のオススメは、弓弦が生ノリの良いのが手に入ったと言っていたので、魚介類の生ノリの海鮮巻き揚げや小鉢の生ノリと焼き餅の茶碗蒸しがオススメですよ。」


刀弥のオススメを聞いたシンワは、甥っ子3人の食べたい物等を聞きながら注文を決める。



そうしてしばらくの間、猫族のシイ達や甥っ子達が楽しそうに話しているのを眺めていると。

弓弦と刀弥の二人が、お盆いっぱいに料理をのせて、シンワ達のテーブル席へと運んでくる。


「お待たせしました。ご注文の品の

4人ともメインが

・生ノリの海鮮巻き揚げ


小鉢3品が茶碗蒸し以外が皆で食べれる用に大皿で

・生ノリと餅入りの茶碗蒸し

・大豆と豚バラ肉のふっくら煮

・ほうれん草のサーモンロール

・イカの一口揚げ

・椎茸の肉詰め


サービスで

・林檎と胡桃のグリーンサラダ

・海老とトマトのチーズ焼き


と取り皿を置いておきますね。


汁物がワカメと蒲鉾の

・おすまし

ご飯とおすましは、おかわり自由なので気軽に声をかけて下さいね。


デザートの

・パンナコッタ

サービスの

・林檎のキャラメル煮 生クリーム添え

は、食後にお持ちしますね。


ではでは、長々と失礼しました。ごゆっくり、どうぞ。」


注文の品を確認しながらテーブルに並べた弓弦達は、シイを連れて奥に戻って行く。


そんな働き者の弓弦達を見送ったシンワ達は、さっそく各々が食べたい物を取り、食べ始める。『ほうれん草のサーモンロール』を食べたイロハが


「美味しいですね。何やら生のように見えるのに、生ではないサーモンと言うお魚が興味深いですし。

ほうれん草と言う野菜と一緒に巻かれてあり、見た目も美しく。クリームソースとも良く合っていて、僕の好きな味です。」


初めて食べたサーモンロールの感想をやや哲学者のように話す。

そしてイロハの隣で『椎茸の肉詰め』を食べていたニイナも


「叔父さん!美味しいよ。なんかこの椎茸と言う茸が肉厚で、こんもり詰められたお肉が美味しいの!」


やや興奮した様子で、嬉しそうにシンワに教えてくれる。

するとシンワの隣でゆっくりと『生ノリの海鮮巻き』を食べていたサナハも


「叔父たん…これ美味しい……僕…この海老を巻いてあるのがプリプリして好き…。」


「イロハもニイナもサナハも、本当にどれも口に合い、美味しくて良かったですね。

まだまだ沢山有りますから、喉に詰まらせないように良く噛み、ゆっくり食べるんですよ。」


「「「は~~い!!」」」


3人と話しながら、シンワもさっそく『生ノリの海鮮巻き揚げ』を食べ始める。


「おーぉ、これは何だがお酒が欲しくなる一品ですね。

口にいれると磯の香りが口じゅうに広がり。シート状になっている生ノリで巻かれたウニや海老、カニの身等の濃厚な海鮮の旨味と、薄い衣をつけてサッと挙げたサクサクの衣の食感とが合わさり、いくらでも食べれます。」



◆◆◆◆◆



「はぁー。朝ご飯も美味しかったね!僕、卵かけご飯3回もおかわりしちゃった。」


シンワの近くをスキップしながら、うろちょろしているニイナが話すと、シンワの隣で行儀よく歩いているイロハも


「僕は納豆ご飯が美味しかったです。

独特の匂いやネバネバしていて驚きましたが、健康に良いと聞きましたし。

味海苔で巻いて食べたら、少し食べやすくなり。美味しかったです。」


「…僕……お味噌汁……美味しかった……また……食べたいなぁ……。」


3人の話を聞きながら家路を目指すシンワ達は、実はあの食事の後、シイから3人をシンワが預かった訳を弓弦達が聞き。

今から自宅に帰り、お風呂等を準備するのは大変だろうからと気を使われ。せっかくならと弓弦家のお風呂に誘われ。


そうするとお腹いっぱいになり。お腹とお風呂に入りポカポカになった体が合わさり。

夢見心地で眠り込んでしまった3人を前に、3人を抱えて今から家に帰るのは大変だろうからと弓弦達から説得され。

弓弦がシンワと相談のうえ、三ッ子の家に魔法の伝書鳩を飛ばし。弓弦家の客間に泊まる事になったのだ。


そのうえ、昨日初来店の三ッ子を無料で食べさせてくれ。今朝も朝倉亭の人気の朝ご飯をごちそうしてくれたのだ。

そしてさらに、出産でバタバタしてご飯も食べれてないだろうからと心配してくれ。

いろいろな具材の美味しそうなお握りやサンドイッチ等をお土産にと弓弦達は持たせてくれる。



こうして、朝倉亭の小さなお客様の弟になる新しい命が誕生する1日が始まるのであった。



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