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鶏レバーと里芋の煮付けとライオン族のディライアン



その日 冒険者で2メートル超えの身長と筋肉質の大柄な体格を武器に、主に討伐依頼を生業にしている。ライオン族のディライアンは、仕事終わりにギルドで会った。

同じ冒険者仲間で、狼族のアルサに『ボリューム満点で、安くて旨い飯を食いに行こうぜ』と誘われ。めったに立ち寄らない町外れの細道を歩いていた。


「なぁ、アルサ。本当にこんな所に店なんかあるのか?」


「大丈夫、大丈夫。心配すんなって、それにもう着いたぜ。ほら」


ディライアンが心配して、アルサに訪ねながら歩いていると、アルサの言葉どおり。さっきまで見えなかった店が急に現れ。

行き慣れたアルサに連れられるまま、店内に入る。


「「いらしゃいませ(ニャー)」」


ディライアン達が店にはいると、元気のよい5才くらいの猫族の少年と甘い顔立ちの少年が迎えてくれる。


「あっ、アルサニャー!今日も食べに来てくれたニャンね。

しかも、ニッカじゃない新しい友達も連れてきてくれたニャ!ありがとうなのニャー。」


「おう!こんな安くて旨い最高な店、俺とニッカだけで独占するのもなんだしな。

今日は俺の信頼できる冒険仲間を誘って飯を食いに来てたんだ。」


「それありがとうなのニャ!その調子で、これからもどんどん朝倉亭の美味しさを皆にアピールするニャンよ♪」


アルサとシイが話していたかと思うと猫族のシイがディライオンの方を向き。


「初めてのお客様もはじめましてなのニャ。

僕は猫族で、この店の看板息子の『シイ』と言う者なのニャ。

それからさっき隣にいたのが、この店の副店長の刀弥なのニャ。

朝倉亭は良いお店なのニャン♪どうぞ、朝倉亭を末永くよろしくお願いしますニャ。」


自己紹介をしてくれる。そんなシイの自己紹介を聞き。ディライオンも自己紹介をして、近所の子供にするように、いつもの癖でシイの頭を豪快に撫でる。


「俺はアルサの冒険者仲間でディライアンと言う者だ。よろしくな、坊主。」


「ニャハハハ~♪ディライオン力が強いニャンよ。髪の毛がボサボサになったニャ♪

それにしても大きく立派な体格ニャね。何を食べたらそんな立派な体格になるニャンか?猫族のシイでも、そんなに大きくなれるニャンか?」


「そうだなぁ。シイが好き嫌いしないで、何でもモリモリ食べ。適度な運動と勉強を頑張ればなれるはずだぜ。」


「本当かニャ!?それならもっともっと、勉強もお仕事も頑張るニャン♪

……あっ、いけないいけない。シイ仕事中だったニャ。

お客様、お待たせしましたニャ。今日は2人様ニャから、いつものカウンター席じゃニャく、テーブル席へと案内するニャ!」


楽しそうに話していたのだが、仕事中だと思い出したシイは、2人をシンプルなデザインながらも、味のあるテーブルと座り心地の良い椅子の4人掛けのテーブル席へと案内するのであった。



◆◆◆◆◆



そうしてシイ案内されたテーブル席に座ったディライオンではあったが、いつも利用する少し小汚ない食堂と違い。

おしゃれな朝倉亭 店内の様子に、何故だかソワソワ落ち着きなくキョロキョロしてしまい。


「お、おい、アルサ。なんかこの店すげなぁー。見た事ねぇ物があちらこちらに置いてあるぜ。……(ボソボソ)高いんじゃねぇ?金の方は大丈夫か?」


店内の様子から、お金の心配をしてしまう。

しかしアルサは、そんなディライオンの様子を何やら懐かしそうに見ながら


「大丈夫、大丈夫。この店は、安くて旨い!ボリューム満点の店だから安心しろよ。

何だよ、その目。本当に大丈夫だからって!なぁ、安心しろよ。」


話すばかりで、本当に大丈夫なのかとディライオンが心配していると見慣れた木のコップ、水差し、おしぼり、メニューと言う物を持った。

先ほどの少年改めて、刀弥と言う名前のこの店の副店長がやって来て、ディライアン達の前にコップや水差し等を置いてくれる。


何も注文していないのに、普通の店ではお金がとられる水や水差しが出てきた事に驚いたディライアンは、本当に大丈夫なのかと、前に座るアルサに小声で問いかける。


「おい、アルサ。本当に大丈夫なのか?見た事もない上等の水が出てきたぞ。コレ、いくらすんだ?」


「気にしなくても大丈夫たぜ。ここの水は、冷たくて旨いうえにいくら飲んでもタダなんだぜ。驚きだよな!

で、その横のおしぼりで手や顔を拭いてみろよ。本当は手だけなんだけどな。

さっき話してた猫族のシイに、少し前教わってよ。

あまりの気持ちよさに。それから毎回来る事に、ついついやっちまってよぉ。今ではじんわりくるこの温かさがやみつきなんだぜ。」


こんな上等な水がタダな事も驚きなのだが。

目の前の席で、気持ち良さそうにおしぼりで顔を拭いているアルサを見ていると、ついついディライオンも我慢できず。手や顔をおしぼりで拭いてしまう。

するとアルサの言うとおり。少し熱めの温度のおしぼりが気持ち良く。ついついハマってしまいそうな予感がするディライアンなのであった。


そうしていると、今度は奥から黒髪黒目の小麦色のバンダナとエプロン姿の小柄な少年がやって来て


「アルサ、こんにちわ。友達連れてきてくれたんだね。ありがとう。

はじめまして、私はこの店の主人 弓弦と言います。お気軽に弓弦とお呼び下さいね。

で、今日は何します?一応、今日のオススメは、新鮮な鶏のレバーが入ったんで、里芋と甘辛く煮た『鶏レバーと里芋の煮付け』がイチオシだよ。」


今日のオススメを教える弓弦の言葉にディライアンが反応した。


実はディライアン、故郷で近くの森で大人達が狩って来た時だけ食べられる。新鮮なレバー等を使った。

村の母親達が作るの『ごった煮』が幼い頃から好物だったのだが、冒険者になるために故郷を離れて以来。

故郷の村以外でレバー等の料理をだしてる店がなく。

あったとしても下処理が下手で、とても食えたものではなく。故郷で食べたごった煮の味に飢えていたのだ。



◆◆◆◆◆



「お待たせしました。

注文のビールジョッキと日替わり定食の


ディライアンさんの主菜が

・鶏レバーと里芋の煮付け

アルサの主菜が

・鶏モモ肉のチリソース煮


ディライアンさんの小鉢 3品が

・肉団子の甘酢あんかけ

・油揚げと白ネギのタラコ炒め

・ほうれん草の白あえ

アルサの小鉢 3品が

・肉団子の甘酢あんかけ

・春巻

・韮もやし炒め


お漬物が

・たたき胡瓜の胡麻酢漬け


今日の汁がワカメと白ネギを使ったワカメスープです。

お二人ともご飯、スープは大盛りになります。


それからディライアンさん単品注文の

・豚肉のアスパラ巻きフライ

・鰹のたたき~香味野菜のせ~

アルサの単品注文の

・海老の葱油かけ

・カニ玉


一応、小皿を持ってきたんで、置いておきますね。


自家製デザートの

ディライアンさんの

・黒胡麻プリン

アルサの

・杏仁豆腐

は、食後にお持ちしますね。


後、アルサと一緒でお二人ともたくさん食べそうなので、おかわり自由のご飯は、おひつで置いておきますね。

おひつの中の白米やスープが無くなったら声をかけて下さい。直ぐにおかわり持って来ますから。」


テーブル一杯の注文の品をディライアン達に間違いがないか確認しながら置いた弓弦と刀弥は、頭を下げ。

『ごゆっくりどうぞ』と言いながらテーブルから、厨房の方へ戻って行く。


目の前の白い湯気あがるホカホカの旨そうな料理を前に、ディライアンは喉の乾きを潤す為。

水滴したたるよく冷えて、旨そうなビールを豪快に一口で半分飲み干した。


すると、今まで飲んでいたエールとは比べ物にならない旨さのビールに


「かぁーー!!このビールうめーー!なんだこの喉ごし!」


感動の声をあげながら、ディライアンは、さっきから気になっていた『鶏レバーと里芋の煮付け』をさっそく食べ始める。


「旨い!!甘辛く味付けされた、生臭くない鶏レバーやコリコリした食感の心臓に生姜の風味。

いつもは進んで食わん芋の里芋も、鶏レバーを煮た煮汁の旨味が染み込んでいて、これならいくらでも食えるぞ。

それにこの濃い味付けがビールと合っていて、ビールが進む、進む。」


幸せそうに話すと残りのビールを豪快に飲み干し。


「お~い、ビールのおかわりを一杯頼む。…いや、やっぱ2杯くれ。」


ビールのお代わりを頼むのであった。



「はーい………お待たせしました。注文のビールになります。

どうです、煮付け美味しいでしょう?

鶏のモツは他のモツと違って、くさみが少ないから下処理何かが、少し簡単なんですよ。

だから、また食べたくなったら気軽に声かけて下さいね。」



◆◆◆◆◆



「ふぅ~、旨かった。あんなに食って飲んで、たった銀貨23枚で済むなんて本当にすげえ店だな。

ビールなんて4杯飲んで、米もおひつで2回はおかわりしたぞ。

しかし、アルサ。最初は疑って悪かったな、教えてもらって本当に助かったぜ。俺も明日から通う事にするよ。ありがとうな。」


たらふく飲み食いして、心地好い満腹感に包まれたディライアンとアルサは、店を出て家路の道を歩いていた。


「そうだろう。俺もたまたま見つけた時は、その日の自分自身の行動を誉めてやったぜ。

それに町で安いだけの不味い飯を我慢して食ったり。

高くてそこそこの飯を水で腹をふくらませて、腹を誤魔化して食うぐらいなら

少し町から離れて不便だけど、ボリュームやサービス満点の安くて旨い朝倉亭の飯を腹一杯食べるのが一番だろう。

それで考えた俺は、朝倉亭の旨い飯が朝昼晩食えるようにと、店近くの庭付き一戸建ての家を、金が足りなかったからニッカに手伝ってもらって一緒に購入した訳なんだよ。

だから今では、朝倉亭で朝昼晩 飯食って、毎日の活力の源にしてるってんだせ!」


「何!だから最近お前達 町で見かけない訳か。

けど、そうだよな。町にあるそこいらの店よりボリュームもサービス良いし、安くて旨い…………なぁ、アルサ。この辺りで、俺でも手が出せる空き物件まだあったか?」


アルサの話を聞き何やら考え込むディライアンは、アルサに質問する。


「あぁ。この辺は町からだいぶ離れてて、人気がないからな。

俺が家を買う時、調べただけでも空き物件がたくさんあったぜ。

だからディライアンの稼ぎなら、いくらでも選び放題だと思うぜ。

それに宿とは違って、掃除とか少し面倒だけど。それがあっても朝倉亭の飯はえる価値があるからな。

良かったら明日、俺が担当してもらった感じのいいギルドの人 紹介しょうか?」


「本当か?悪いなぁ。頼めるか?」


「おう!任せとけ。」


2人はこれからの事を話ながら、こうして『朝倉亭』の新しい常連客が、また一人増えたのであった。




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