鯛茶漬けとアザラシ族の穴井
「ふぅ~今日も働いたのだわ。しかし、日に日に暑くなってくるだわ。こんな日は、朝倉亭に飲むに行くのが一番なのだわ。」
と町外れでお店を営む。最近ポッコリお腹を密かに気にしているアザラシ族の穴井は、よく働いたし、暑さで火照った体を冷やすためと、心の中で言い訳しながら、朝倉亭に飲むに行くためにウキウキと店仕舞いを始めた。
◇◇◇◇◇
カラコロ~ン♪
「あっ!穴井さんニャ。いらしゃいませニャ!」
「穴井さん いらしゃいませ。お席は、いつもの席で良いですか?」
「こんばんはなのだわ。うん。いつもの席が空いてたらお願いなのだわ。」
と朝倉亭看板息子の猫族のシイと刀弥に出迎えられた常連客の穴井は、刀弥に案内され。いつもの馴染みのカウンター席に座ると、メニュー表を見ながら今日の気分に合った料理を注文する。
そうして、いつものように猫族のシイから教わった熱々のおしぼりで顔や両手を吹きながら、その気持ち良さにため息をついていると。穴井の注文の品を持って弓弦がやって来る。
「穴井さん お待たせしました。
おつまみ・お茶漬けセットから注文の
おつまみ4種の
・子持ちししゃも
・烏賊のわた炒め
・砂肝の酒煮
・だし巻き玉子
になります。
そして、今日のお漬物5種類が
・オクラのもろみ漬け
・たたききゅうり
・ピーマンの香味漬け
・大豆もやしの辛み漬け
・ポテトサラダ
それから、穴井スペシャルのオレンジ酒の炭酸割りになります。
お茶漬け用のお茶碗とお漬物のおかわりは、バイキングコーナーに置いてありますから、いつものようにお腹いっぱい食べていって下さいね。」
と年と共に食が細くなり、お酒と軽い食事を楽しみたい年配の穴井達 常連客の要望で、弓弦が最近メニューに仲間入りさせてくれた。
・4種のおつまみ
・日替わりで具材が変わる海鮮系のお茶漬け
・バイキングコーナーのお漬物、お味噌汁、白米が食べ放題
のセットを間違いがないか確認しながら、穴井の前に並べてくれた弓弦は、少し穴井と世間話をすると1度頭を下げ、厨房の方に戻って行く。
そんな弓弦を見送った穴井は、早速目の前に置いてある、よく冷えたオレンジ酒の炭酸割りを一口飲むと
「う~ん、これこれ!朝倉亭のお酒は、いつ飲んでも美味しいのだわ。
それにこのオレンジ酒は、よく冷えていて、香りが良く、シュワシュワした喉ごしに、わずかなほろ苦さが、いつ飲んでもたまらないのだわ!」
とお酒は好きだがエールが苦手だった穴井のために、弓弦が趣味で漬け込んでいた果樹酒を振る舞ったところ
優しい甘さや風味がする果樹酒にすっかりハマってしまった穴井は、今一番ハマっているオレンジ酒の炭酸水割りの美味しさにニコニコと微笑みながら、その日もおかわりを頼むのであった。
◇◇◇◇◇
そうして、2杯、3杯とオレンジ酒の炭酸割り、水割り、ロックを飲み。つまみや5種類の漬物等を楽しんだ穴井は、〆の鯛茶漬けを頼む。
「穴井さん、お待たせしました。
鯛茶漬け用の鯛のゴマ醤油漬けとお茶です。お茶は、大変熱いので気をつけてください。
鯛のゴマ醤油漬けは、汁ごとお茶漬けに加えて食べて下さい。」
「おぉ~。今日のお茶漬けの鯛も美味しそうなのだわ。刀弥 ありがとうなのだわ。」
と刀弥が持って来てくれ鯛の切り身を使った白すり胡麻と醤油で漬け込んだ茶漬けセットを見て、喜ぶ穴井は、さっそく鯛茶漬けを食べ始める。
「美味しいのだわ!素朴な見た目ながら、胡麻の風味と鯛の旨味がつまった醤油の漬けダレや鯛の切り身が合わさり、いくらでも食べれるのだわ。
……………うん、うん。美味しいのだわ~。」
そうして鯛茶漬けまで綺麗に食べた穴井は、満足げに家路に帰るのであった。
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脱字、誤字が多々ある作品ですが、これからもよろしくお願いします。




