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タラの芽カツと馬族の千里


その日 仕事仲間のニッカからある話を聞いた冒険者で馬族の千里(せんり)は、アルモノがパンパンに詰まった袋を持ち。朝倉亭を目指していた。


カランコロ~ン♪


「いらっしゃいませニャー♪」


「いらっしゃいませ。ようこそ朝倉亭へ。はじめてのお客様ですね。」


「はい。あ、あの、ニッカから聞いて来たんですが。このお店では、相談を聞いてくれると聞いたんですが……。」


朝倉亭に無事たどり着いた千里は、緊張しながらも店内入口で迎えてくれたキャラメル色した髪色の甘い顔立ちの少年に質問する。


「はい。簡単なご相談なら聞けますよ。

そうでした。はじめまして。私は、朝倉亭の副店長の刀弥と言います。それで、ご相談とはどう言った話でしょうか?」


「あっ!はじめまして。私は馬族の千里と言います。

はい。あの…実は、コレ自分で森から採取して来たんですが……あっ!安心して下さい。この木の芽、故郷の皆も食べていたので、毒などの心配はありませんから。

それで、良かったらこの木の芽を使って料理を作ってもらいたいと言うのが相談なんです。恥ずかしながら、私は料理が出来なくて………。

けど、久しぶりに故郷の味を味わいたいと、ご無理な相談だと思ったんですが、相談しに来たんです。どうでしょう、駄目でしょうか?」


相談し終えた千里が、袋いっぱいに入った木の芽を刀弥に見せる。すると袋の中を見た刀弥は


「あっ、木の芽とは『タラの芽』でしたか、これならばうちの亭主も調理できますので、一応確認して参りますが、たぶん大丈夫だと思いますよ。

それで、調理法等のリクエストなどはございますか?」


「いえいえ。料理してもらえるならば、好き嫌いも特にありませんので、食べられる料理なら大丈夫です。」


「そうですか、解りました。では少々お待ち下さい。今、亭主に相談してきますね。」


千里と話した刀弥は、千里から木の芽が詰まった袋を受け取り。千里と朝倉亭の看板息子の猫族のシイを残して、店の奥に歩いて行った。


そして、その場に残された2人は、短い時間ながら人懐こいシイのおかげで、あっという間に仲良くなり。

刀弥が戻って来る間、2人仲良く話していると


「お待たせしました。亭主からの了解も貰い。料金も日替わり定食と同じ銀貨5で大丈夫だそうです。では、お席にご案内しますね。」


「本当ですか!ありがとうございます。」


喜ぶ千里は、刀弥にお礼を言いながらテーブル席へと案内されるのであった。



◆◆◆◆◆



そしてその後、刀弥が持って来てくれたおしぼりや氷入りの美味しい水、たっぷり入った全て無料の水差し等に千里が1人驚き感動しながら料理を待っていると


「お待たせしました。はじめまして。本日は朝倉亭をご利用頂きまして、ありがとうございます。私、朝倉亭 亭主の弓弦になります。」


料理をいっぱいのせたワゴンを押した。黒髪黒目の小柄な人物こと朝倉亭 亭主の弓弦が千里の座るテーブルにやって来て、千里に挨拶をする。


「あっ!はじめまして。私は、馬族の千里になります。

今回は無理な相談を聞いて下さり。本当にありがとうございます。」


「いいえ。気にしなくても大丈夫ですよ。それに楽しいリクエストでしたし、刺激になりました。こちらこそ、ありがとうございます。

それから今日の料理を気に入りましたら、また木の芽を持って来て下されば、いくらでも作れますので気軽に来て下さいね。」


話し。テキパキとワゴンに乗った料理を説明しながらテーブルの上にと並べていく。


「それでは、今日の料理は木の芽のおまかせコースになりますので、千里さん持ち込みの木の芽(タラの芽)と当店の山菜を使った定食になります。

まず、主菜が

・木の芽カツ(タラの芽カツ)

になります。木の芽(タラの芽)カツには、お好みで添えてあるレモンを搾って、お召し上がり下さい。


副菜3品が

・木の芽(タラの芽)のチーズ焼き

・フキと松の実のナムル風

・うどとタコのコロコロサラダ


お漬け物がバイキングから1品お持ちして

・ふきとタケノコの昆布漬け


汁物が

・新玉ねぎのお味噌汁


ご飯が

・木の芽(タラの芽)とタラコご飯

になります。

木の芽(タラの芽)とタラコご飯は、特別サービスなのでおかわり2杯分の入ったおひつを置いておきますね。


デザートが

・人参のシフォンケーキ

になります。

デザートは、食後にお持ちします。

それから、ご飯と汁物、お漬け物は、おかわり自由のバイキングコーナーにありますので、お腹いっぱい食べていって下さいね。


最後に、こちらサービス品で、残りの木の芽(タラの芽)を使った

・木の芽(タラの芽)の天ぷら

・木の芽(タラの芽)のお浸し

・木の芽(タラの芽)と桜海老のきんぴら

になります。

ではでは、長々と失礼しました。ごゆっくり、どうぞ。」


料理の確認を終えた弓弦は、一度頭を下げると店の奥に戻って行く。

そんな弓弦を見送った千里は、さっそく見た事もない美味しそうな木の芽(タラの芽)や山菜を使った料理を目の前に、気になる木の芽(タラの芽)カツを食べ始める。


「えっと、このレモンを搾って食べて下さいと言われましたが。まずは、そのままで食べてみましょうか。……………うわー。何ですかコレ!

サクサクしたパン粉の衣に、木の芽(タラの芽)に巻かれた豚肉の旨味や木の芽(タラの芽)の香りが合わさり、美味しすぎます。

うーん…次は、この木の芽(タラの芽)のタラコご飯を食べてみましょう。………うん。コレも木の芽(タラの芽)の程よい苦みとタラコの旨味が良く合い美味しいです。

それに薄いピンク色したタラコと若草色の木の芽(タラの芽)が合わさり、味たけではなく目でも楽しめますね。」


千里は、おひつの中の木の芽(タラの芽)とタラコご飯やデザートまでペロリと食べ。木の実(タラの芽)料理を満喫する。



◆◆◆◆◆



「あ~ぁ。はじめて食べる料理ばかりでしたが、どれもコレも美味しく。あんなに安い金額で、こんなに満足出来るなんて、ニッカには、改めてお礼を言わなくてはいけませんね。」


独り言を呟き。お腹いっぱいになった千里は、町外れにある家路へと、お土産に貰った焼き菓子の入った紙袋を大事そうに抱え、足早に帰るのであった。


こうして、朝倉亭に木の芽(タラの芽)や山菜好きの馬族の千里が常連客に加わった。




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