序章
乱世に生まれし者の辿る道は人それぞれである。
農民は、国の為に戦う兵士達の兵糧として米や農作物を税として徴収され、自分達はわずかに残った米を市場で売り生計をたて貧しい生活を送る。
商人は、役人にうまく取り計らう調子のいい者であれば金さえあれば優遇されるが、良心を持った者は役人達に何かと疎んじられ理由を付けられては金を毟り取られたり、時には身に覚えのない罪をきせられて命まで取られる者もいる。
平民は、子供は近所の仲間と遊び、少年少女は勉学にあるいは親の仕事を手伝ったりし、大人は人それぞれ色々な職に付いて働き、貧しいながらも一日一日懸命に生きている。
兵士は、戦に明け暮れいつ自分が死ぬかと恐れながらも自らの出世と今日の食べ物の為に戦い、いつかは命を落とす。もちろん中には自国の繁栄の為に命を掛けている者もいるが、そのような義をもった人物も戦ではただの一兵に過ぎず、だれの目にも止まらずに死んでいく。
貴族は、何処かの王に仕え王に忠誠を誓い各地の領土を与えられその地を治める。いざ戦となれば王の下へと馳せ参じ、王の命に従って戦う。しかし、中には主君を裏切って領土を奪い自ら王となる野心家もいる。
王は、国を治め民を養い、他国からの侵略者と戦って自らの領地の民を守る。野心のある者は自分の領土だけでは物足りなく思い、軍備を増強して他国へと攻め込む。そして富と栄誉の為に何千、何万という人間の命を奪う事さえする。
乱世で生きる人々の行き着く先には何が見えるのか?
それはその時代にその場所に生きた者にしか分らない。
ただ私はこう思う。
乱世に生きる人々の中で一番輝くモノは
『愛』
であると。
〜リューン・シュバルトより〜