表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/38

[01-27] ステータス・アップ

 ……暗い…狭い…息苦しい…生臭い……。


 ガンガンと割れるように頭が痛くて目を開けることもできない。思考が千々に乱れて、自分がどこにいてどうなっているのか考えることもできない。

 なんとなく体がドロドロに溶けているような気もするけど、とにかく頭痛が痛すぎてわけがわからない(重言)。


 なんか直前までエライ焦っていたような気もするけど、もうどうでもいいような気がする。


  ・

  ・

【システムメッセージ】

  ・

幼竜(パピー・ドラゴン)へ進化しますか?】⇒【YES/NO】


「……なんだっけ、これ……?」


【タイムエラー。シーケンスに従って進化を開始します】


「……なんだ、勝手に実行されるんじゃね」


【アップデートを開始します】

  ・

【進捗率15%・・・32%・・・55%・・・68%】

  ・

【生命力:28→7277】

【魔法力:52→10921】

【攻撃力:5→295】

【防御力:5→652】

【素早さ:3→590】

【精神力:10→998】


「……無茶苦茶インフレしてる……」


【スキル:光魔法レベル2獲得】

【スキル:星魔法レベル1獲得】

【スキル:空魔法レベル1獲得】

【スキル:生活知識レベル2獲得】

【スキル:飛翔レベル1獲得】

【スキル:人化レベル2獲得】


「なんか、どれもこれも字面だけじゃ想像もつかない、ふわふわした魔法スキルだなあ……」


【天恵:異世界知識・記憶】

【天恵:神々の注目】

  ・

【異世界知識・記憶と神々の注目が統合されました】⇒【天恵:神託(オラクル)


「……なんか高みの見物されてるみたいで腹立つな……」


【中性体へ構成を変化させます】

  ・

【性比率・雄1:雌9】


「ちょっと待てーーーっ!!!!」


 途端、頭がクリアになった。


「なんだそりゃ! ほとんど雌じゃないか!? やり直しだやり直しっ! 目標は雄9:雌1だよ!」


【中性体への構成変化。再度実行を行います】

  ・

【……エラー。外部要因により障害発生。実行が取り消されました】


「ええい、頑張れ! せめて雄8の雌2くらいまで持ち込め!」


【…………エラーエラー。実行が取り消されました】


「ならば雄7の雌3で!」


【エラー。警告。無理な再構成は生体バランスを著しく損ないます】

  ・

【安全マージンの範囲内で再構成を行います】


「安全よりも男のプライドを優先しろーっ! 最低限5対5でもいい!! がんばれーっ!」


【………………。がんばる( `・ω・´ )】

  ・

【雄構成比UP……1…2…3…4…5…】


「お~~っ。やったか!?」


【性比率・雄1.5:雌8.5にて実行完了】


「――ちょっと待て~~~っ!! 今のカウントって、コンマ以下の数値か!? なんだよ、その『とりあえず努力はした』って言いわけ臭い中途半端な数は!?!」


【進捗率100%。幼竜(パピー・ドラゴン)への進化が完了しました】

  ・

【がんばったお( `・ω・´ )b】


「やかましい、ボケーーーッ!!!」


  ▽ ▲ ▽ ▲


 邪魔な蒼雷竜(ブルードラゴン)の幼竜や、目の上のタンコブだった豚鬼王(タロン)を軽く一蹴した片牙(ジロン)は、ゴキゲンな調子で自画自賛を続けていた。


「ブモブモ、ブーブイブイ、ブブブブーウィ! ブモッフブモッフ!!(この究極の力をもって、まずはストゥルトゥス大陸(人大陸)の制覇だ。そして大陸中の女騎士を捕まえて『くっ…殺せ!』と言わせてやろう!)」


 ある意味ベーシックで基本に忠実なオークらしい野望である。

 ちなみにこの瞬間、大陸中の女騎士がなぜか一斉に怖気を感じて臨戦態勢になったとかナントカ。

 閑話休題。


「ゴフゴフゴフフーッ! ブイブイ!!(しかるのち、ペッカートル大陸(魔大陸)も征服。淫魔とかラミアとか女吸血鬼とかで魔物娘ハーレムを作る! それ以外は皆殺しだ!!)」


 気宇壮大なのか通俗的なのか微妙な部分はあるが、“異世界でハーレム”という男の夢を声高らかに世界に向けて宣言する。


「うわぁ、駄目だあれ。なんかもう最初からクライマックスだわ」


 隠れ潜みながら天を振り仰ぐソフィア。


「やっつけないと!」

「ゴフゴフ!(うむ。正義のために!)」


 と、その独り言に力強く応える声がすぐ隣からして、ソフィアはぎょっとして左右を見回した。

 見れば、吹き飛ばされたところから匍匐前進で戻ってきたジークと豚鬼王(タロン)が、なにげに自然な調子で左右に陣取っている。

 いましも、いっせーのせーで片牙(ジロン)に跳びかかる姿勢で、タイミングを合わせているふたりの様子に、

「……なんでアンタら共闘してるわけ?」

「闘ってる間に友情が生まれた」

「ブホブホブホホ(共通の敵を相手に手を結んだ)」

 少年漫画的というか節操のない答えが返ってきた。


「……あ、そう。まあいいけどさ」


 なんでさっきまで殺し合いしていた相手が、しれっと味方顔してるのよ!?

 と、初対面でレアに喧嘩を売った自分を棚に上げて忌々しく思うソフィアであった。


 と、絶好調で夢を語っていた片牙(ジロン)だが、不意に動きを止めると、腹の辺りを押さえて脂汗をたらし始めた。


「グ……ガアアアアアア……!?」


「なにかしら、急に?」

「ゴムム、ゴフ?(変なもんでも喰ったんじゃねえのか?)」

雄・雌比率につきましては、当初は5:5。もしくは意表を突いて、なぜか男女ふたりに分裂するパターンを考えていたのですが、一番予想通りのパターンにしてみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ