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04『爪あと』

そのまま、90年の時が過ぎた。全く誰も気づかない。

モモタロウ、それは、この世に存在しない、『詠唱』。

名を「ヒストリカ」という。

だが、


「クスクス、このヴァルキリーがここで死んだら、どうなっちゃうんだろうね。」


この血まみれのヴァルキリーは、いつか大運動会で優勝するために存在していた、

パルスと『マックス』の栄光だった。


その栄光が輝きを失った時、願望機は、完全に停止することになるだろう。

『金』、この願望機は、もう誰も使うことが出来ない。

即ち、欲望が叶うことはもうない、魔法も自分も超能力も無い。

人間は、何にすがって、何を求めて生きていくのか。


「クスクス、僕もあのまま、『大工』でいたかったよ。もう開放されたいんだ。

つまり、みんな戻るってことかな。『全部』戻るんだよ。記憶も人格も。」


そんなキット・スターター、大工は、このお祭り会場を後にした。


だが、この時、戻ったヒストリカは、激怒した。

未だに『詠唱』を持ち世界から隔離されたヒストリカは、能力者の根源を見せる。


「クソパルスが、ワシは、苦しい、もう長くないじゃろう。

・・・しかたないこの歴史を揺るがす、王手を仕掛けるぞ。」


「バナナは、サイコロにならない。

夢を見ると、音楽が流れる。その音は、拳よりも硬い。

海を見ると、視線が順位を決める。閃光のような速度で天を射抜くだろう。


・・・じゃあ、がんばるのじゃ、クソパルス、そしてマックス

わしはもう退場じゃ、・・・がんばるのじゃ。」


ヒストリカは、自分に刻む、『天才』と『天才』を刻むのだ。


しかし同時にこれは、童話モモタロウの終焉でもあった。

この大運動会は、唐突に幕を閉じることになる。

だが忘れてはならない。己という歴史を。

刻まれた、詠唱がきっと、あいつらを奮い立たせることだろう。

そのままの思いで、運動会を夢見たヒストリカは、砕け散った。




「・・・私の名前は、シャンデリア。今日、新しいヴァルキリーをつれてきたわ。」


虚空から、現れたのは、おしとやかなオカマだった。


「さあ、取り込みなさい、ヒストリカセカンド」


新しいヴァルキリー、その名も『ヒストリカセカンド』。


「ハイ、マスター。ああ、ああ?」


歴史が改ざんされていく。

だがこの時、新たな願望機が、異物を検出した。


「異物?そうね、取り除きなさい。」


「マスター、3週間かかります、よろしいですか?」


「うーん、取り除いたら、捨てちゃいましょう?」


「ハイ分かりましたマスター」



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