03『童話モモタロウ、ヒストリカ』
ーーーーー不安定な記憶。
マックスは、ヒストリカを商店街の豆腐屋に呼び出した。
接点のない二人は、特に困惑する様子もなく、約束を交わしたようだ。
「で、何のようじゃ?」
銀色の髪をなびかせ、古い体操服を着た少女、ヒストリカは、更につぶやく。
「で、何のようなんじゃ?」
「この家で俺がモモタロウを朗読するので。
終わったら、あなたは、豆腐を買ってください。
その後、モモタロウは、あなたにあげます。」
豆腐屋の兄ちゃんがつぶやく。
「お前頭、大丈夫かね。邪魔だっぺ。」
「営業妨害をしていますが、大丈夫です。安全です。」
「え?なにいってるっぺ?」
ヒストリカは、嫌な顔をした。
そのままクラウチングスタートのポーズをとってこう言った。
「お主、もしかして、パルスの知り合いか?」
「・・・」
間一髪の笑顔を押し黙るマックス。
「・・・じゃ、わしは忙しいのでな、ふん!!」
そのままダッシュして、道路に飛び出た、ヒストリカ。
その時だった。
ものすごい速度を出し信号無視していたクルマがヒストリカに突っ込んできた。
「あ」
そのまま垂直に飛ぶヒストリカ。
この時、クルマの運転手は、最高潮にゲラゲラと笑っていた。
「クスクス、このヒストリカは、『凍結』して、あっちに送っておこう。
僕の名前は、キット・スターター。またあえて嬉しいな。」
走り去っていくクルマ。
さらに事故現場の後方から夕陽をバックに木材を担ぎ走ってくる、土方の姿が見える。
そんな中、『詠唱』が始まった。
モモタロウが今始まるのだ。
「桃太郎さん、桃太郎さん。腰につけたきびだんご作って、分け与えて、仲間を連れて、ここまでやってきくれよ。マックスよりっと」
そして近くで当たり前のようにへらへらと豆腐屋の兄ちゃんが笑っている。
「そうだっぺ、そうだったっぺ!!」
豆腐屋の兄ちゃんは、何者かに覚醒したようだった。
その直後大工が豆腐屋のドアを木材で虚空に消し飛ばす。
「よう、始めようか、豆腐屋の兄ちゃん、いや、バインパイアさんよ。」
大工の木材は、もはや、木塊だった。下を見てうつむく大工。
「俺の名前は、大工、バンパイアハンターだ。」
「やるだっぺ?やるだっぺか?あはははは、本当に面白いことをいうっぺ。」
この時マックスは、本当につまらないなと思った。
「こいつら邪魔だな。そのうちどうにかしないと」
さて帰ろうと思った、マックス。
だがしかし、後ろからパルスが現れる。
「ねえ・・・そこの君、ちょっとジャンプしてみて?」
突如パルスは、目の前にいたマックスにカツアゲを始めるのだった。
「す、すみません、お金は、勘弁して下さい・・・」
その後、結局、2万円カツアゲされたようだった。
だが実は、マックスは、3万円隠し持っており、案外にやけていた。
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