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第六話

校長先生はブロック制の箱庭を校長室の本棚とちょうど対象の位置にあるスチール製の鍵付きロッカーの中に丁寧しまいこむと、応接用のソファーに腰をおろし仕切り直し始めた。


「では、気を取り直して、火曜ミーティングを始めましょう。先週の案件についての報告からお願いします。」


さっきまでとはうって変わって、真剣な表情で狩野先生に話しかける。


「はい、先週からターゲットとしてマ―クしていた左様(さようはじめ君は、6月24日 17:20に太一が無事に保護しました。その後の販売店側との面談により、損害賠償の一環として店舗5F倉庫での品出し業務の補助が確定しております。

また、期間中の6月27日から7月5日までの間、左様君の通っている学校には、病欠で休んでいることにしてもらっています。」


「左様くんの様子はどうですか?」


「担当保護官の方からは、まじめでよく働くと高評価です。先日、本人にあった際にも1つの商品を売り場に出すのが、こんなに大変だとは思ってなかった。今まで何も考えずに商品を盗んだりして申し訳なかったと更生に対して前向きな意見をもらいました。」


「何よりです。任務の特性上、どうしても如何にしてターゲットを捕まえるかに意識が行ってしまいますが、本来の目的は、罪を犯した青少年を保護し更生させることですからね。」


校長先生は、にっこりと笑った。


「次に、今週の予定ですが・・・。」


狩野先生が事務的に言い始める。


「予定では、後崎あとさきにある東栄とうえいマートの巡回だったのですが、先捲町(さきまきちょうのショピングセンターNOAノアから依頼が入っているため、そちらを優先したいと思っています。」


「依頼内容はどういったものでしたか?」


「NOAの服飾雑貨売場によく現れる少女が万引きをしている疑いがあるので、確認して欲しいといったものです。」


「商品を盗るところをおさえて捕まえろってことだね。」


オレが言うと、狩野先生は眉をひそめて困った顔をして答える。


「言ってしまえばそういうことなんだが・・・実は、商品をカバンに入れているところまでは警備員が確認したらしい。」


「出入り口で捕まえられずに逃がしちゃったの?」


「いや・・・。」


「まさか、わざと見逃してくれんたんですか?」


「いいえ、発見したのは、警備主任なのですがね。あちらも仕事なので現場を見つけてしまった以上は保護しなければならないと思い尾行をしていたそうです。しかし、その少女はモール内を出る前に出入口付近の棚に商品を置いて出ていってしまったんです。」


「やっぱりターゲットに気づかれたってことじゃないの?」


「そうかもしれない・・・が、警備主任の話ではそんな素振りは見えなかったそうだ。一度も尾行している方を振り返らなかったし、周りを警戒するそぶりをみせたのは、商品をバッグに入れる時と出口間際で商品を棚に戻す時だけだったらしい。」


「とすると、愉快犯ですかね。万引きをするふりをして、そのスリルを楽むことや、店員や警備員を困惑させるのが目的だと。」


「目的が何のかははっきりしませんが、きわめて危険ですね。もしかしたら、実際に万引きするための予行練習なのかもしれないし、共犯者がいるのかもしれない。」


「つまり、一人が警備の気を引きつけている間に、別の人物が商品を外に持ち出そうとしていると。」


「ええ、主任が心配していたのはこれまでも似たようなことをして商品を盗んでいる可能性があるということです。今回は共犯者が警備員の存在に気づいたから商品をあきらめたのではないかと言っておられました。」


狩野先生のその一言をさかいに、その場の空気が少し重くなった気がした。複数犯の場合はその人数にもよるけど共犯者を絞り込むのも大変だし、なにより、罪の意識が一人の時よりも軽い。そのため厚生させるのにも骨が折れるからだ。


「共犯者は、1人?」


「わからない。共犯者がいるというのもあくまで推測だからな。」


「とにも、かくにも、実際の現場にいって確認するしかないようですね。狩

野先生お手数ですがお願いします。」


「わかりました。早速、明日にも行ってみましょう。そんなわけで太一、急で悪いんだが明日の放課後からミッションに入る。」


「了解、これ以上コトが大きくならないうちに捕まえてみせるよ。」


オレは、二人と顔を見合せてゆっくりと頷いた。


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