第三話
手入れをしてないボサボサの頭をかきながら、ワイシャツの上に白衣を羽織ったその人物は、そういいながら輪の中心を覗き込んだ。
助かった。
オレは胸をなでおろし、心の中でつぶやいた。。
声の主は、ある意味家族よりも信頼している人物だからだ。
この声に何度助けられたことだろう。
「狩野先生!」
オレと透羅がほぼ同時に叫んだ。
狩野先生は、オレ達を確認すると、
「また、おまえらか・・・」
溜息まじりにつぶやいた。
「で、今回はなんだ?また、校内に子猫でも連れ込んだのか?それとも、犬か?」
うんざりした顔でいう。
「違うよ、これだよ先生。」
オレは、手に持ったドアミニを狩野先生に差しだした。
狩野先生は、オレと透羅の表情を交互に見比べると
「ああ、なるほどな。」
興味もなさそうに呟いた。
「つまり、こういうことだな。早乙女がこのタブレットを学校に持ち込んだ。それを風紀委員である太一が校則違反だと没収した。だが、その対応に納得のいかない早乙女は返してほしいと言った。その要求を太一が突っぱねたために、この騒ぎが起こったと。違うか?」
「さすが、狩野先生。話が早い。」
オレは、心底感心して言った。
「まあ、大抵、同じ理由だしな。お前らが喧嘩する時は・・・。説明を聞かなくても何があったかは想像ができるよ。」
狩野先生は、オレと透羅を見比べながら言った。
先生の登場により分が悪くなった透羅は、気まずそうにずっと顔を下に向けていたが、
意を決っしたように口を開いた。
「先生、学校に余計なものを持ち込んでごめんなさい。ただ、そのドアミニは、今日、絶対に必要なんです。同じクラスにその・・・ちょっと人付き合いのうまくない子がいて・・・
あんまり友達もいないんだけど・・・その子に、相談されたんです。透羅ちゃんみたいに・・・カ・・カワイクて元気な子になるには、どうしたらいいの?って。
アタシも結構、最近のファッションとか頑張って研究しているから、カワイイなんて、言われると悪い気はしないと言うか・・・。カワイクなりたいって気持ちもわかるし・・・。
なんで、まずは、自分に似合うカワイイ服を見つけよう。好きな服を着て、出かければきっと元気になれるよって言って、ネットで色んな服を見て研究することにしたの。
本当は、学校が終わってから、公園でやるつもりだったんだけど、待ちきれなくて、つい、教室でドアミニを見ていたところを太一に見つかっちゃったんです。
もう、絶対、学校に余計なものを持ってきたりしないから、それ返してもらえませんか?
そのドアミニは、友達とアタシを繋ぐ大事なコミュニュケーションツールなんです。」




