エピローグ
エピローグ
ターゲットを追うこの瞬間にいつも考える。
走って
走って
限界まで走り続けなけないと
わからないものがある。
だから、苦しくても走らなけりゃならない。
午後5時前の店内通路には、学校帰りの高校生達の姿が多い。
その通路を横目に、オレは風呂用品売場の棚を縫うようにして走る。
「キャッチ、その通路を直角に曲がればターゲットが見えるはずだ。」
イヤホンから聞きなれた声が流れる。
「直角って何度だっけ?60度?」
「よーし、わかった。今度居残りでみっちり教えてやる。当分、バスケ部に顔出せると思うなよ。」
オレのとぼけた答えに、狩野先生が溜息まじりに答えた。
通路を曲がるポイントで棚陰に隠れて様子を伺うと、
ターゲットが出入口に向かう後ろ姿を確認できた。
「ターゲット確認。捕まえるよ。」
オレは棚の陰から飛び出して、新たなターゲットの手を掴む。
「児童防犯・・・。」
言い掛けてオレはターゲットの少年の顔を見た。
小学校2・3年生であろう少年は、きょとんとした顔でオレを見ている。
難しい単語だと意味が伝わらねえかな・・・。
悪いことしたって自覚してもらわねえと困るんだよな。
オレは、少年が盗もうとしたヒーローフィギュアを目の前にかざして言い直した。
「キッドナッパーズだ。万引きの現行犯で君を捕まえる。」
途端に少年の顔に不安そうな表情が浮かぶ。
キッドナッパーズについてどんな噂を聞いてるかは知らないが、とにかく後悔はしてくれたらしい。




