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第二十五話

透羅とあった次の日、校長先生とに昨日のことを話すと、

「本人に更生の意思があるのであれば、しばらくは様子見ですね。重点的なマークは一旦、外しましょう。」

と言われた。


状況が変わったのは、一週間後、NOAの主任さんから連絡があってからだ。透羅がここ2・3日以前と同じ時刻に来店してきている。以前は友達と一緒だったが最近はいつも一人でいる。商品をバックに入れたりはしていないけれど、思いつめた表情をしているのが気になるので報告したとのことだった。

そんなわけで急遽ミーティングを行うため、オレと狩野先生は校長室に集まっていた。


「ここにくる前に担任の先生にさりげなく早乙女の最近の様子を確認してみました。 先生がいうには、目に見えて落ち込んでいるわけではないそうです。ただ、何か悩みは抱えてそうだと。授業中に、時折、眉間にしわをよせて難しい顔をしているそうです。先生が何かあったのかと尋ねても、何でもないと答えるばかりらしいです。」


狩野先生の報告を受けた校長先生がオレの方に向き直って尋ねる。


「太一くん、何か心当たりはないですか?」


「そうは言われてもあの公園で話して以来、透羅とはあんまり話はしてないからなあ。 親父さんと何かあったのかな・・・。」


オレのほとんど独り言みたいな答えに、狩野先生がうなづいた。


「実は、先生も念のために早乙女のお父さんの行動を調べてみたんだよ。早乙女のお父さん、定期的にNOAの先にある多々野市役所に通っているらしい。」


「あの駅から5分くらいにあるとこ?なんか習い事でもしてるの?」


市役所と言うと、オレには、図書館か市で開催してるカルチャークラブくらいしか思いつかなかった。

母ちゃんも一時、そこの料理教室に通ってたっけ。

オレもじいちゃんも食べ物に対するこだわりがなかったから、すごく凝った調理を出されても、「フツー」とか「まあまあ」とかの感想しか言えなかったんでヤリガイがないってやめちゃったけど。

そんなことを思い出していると狩野先生がと苦笑いしながら言った。


「いや、カルチャークラブに通ってるわけじゃなくて、市役所の建物の3Fにハローワークってのがあってな。

仕事を探している人と働きたい人を探している会社を取り持ってくれるところなんだが・・・そこに通ってるようなんだ。月・水・金曜日の夕方5時まで。

どうやら、その帰りにNOAに寄っていると思われる。」


「じゃあ、透羅は、その親父さんの予定に合わせてNOAに通ってるってこと?」


「まあ、何も関係がないとは思えないよな。」


「私と狩野先生の考えでは、早乙女さんはお父さんへのあてつけとして商品を取ってるんではないかということです。勝手に離婚しようとしているお父さんに対して、自分をもっと気にしてほしいというメッセージを発信しているのではないでしょうか。」


「つまり、透羅は親父さんに自分を止めてもらいたくて、万引きまがいのことをくりかえしてるってこと?」


「おそらくはそうです。」


「うーん・・・。まあ、親子だからある程度行動パターンはわかるんだろうけど、そんなにタイミング良くいくもんなのかな。親父さんに見つかる前に警備員さんに捕まっちゃう可能性もあるわけだよね。」


「早乙女の目的が何処にあるのかは正確にはわからないけどな。直接、お父さんに捕まらなくても、警備員に捕まる瞬間を見てもらうでもいいのかもしれない。

どちらにせよ、うまく見つけてもらうために何らかの方法で店を出るタイミングをはかっている可能性はある。親しい誰か・・・鷺沼さぎぬまにお父さんがあらわれた時点で合図をもらっていたとか。」


「でも、この間、鷺沼さぎぬまは現れてないよ。」


「私たちがみつけられなかったか、あるいは、他に協力者がいるのか、まったく別の方法があるのか・・・。わからないけどな。」


「それがわかれば、こっちも対策が立てやすいんだけどね・・・。」

オレと狩野先生が腕組みをしてうなっていると、校長先生が口をひらく。


「実践的な対策が思いつかないのであれば、考えていてもしかたありません。行き当たりばったりにはなってしまいますが行動あるのみです。

今日は金曜日。この瞬間にも早乙女さんが何か事を起こそうとしているかもしれません。NOAの店長さんには私から事情を説明しておきます。2人は至急、NOAに行ってもらってよろしいですか。」


校長先生に促されてオレと狩野先生は、車でショッピングモールNOAに向かった。


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