第十八話
エスカレーター2を通り過ぎ通路を直角に曲がると、吹き抜けの反対側を歩いている透羅の姿を遠目に確認できる。時折、Δ出入口の方向を振り返り何かを確認している。
あのペースならうまく回り込めるかもな・・・。
向こうから気付かれないように腰を落とし、つま先に力を入れて前傾姿勢でスピードを上げる。エスカレーター2の下りの乗り口が近づいてくる。そのまま通路を左に曲がれば目的の場所へは到達できるが透羅に見つかる可能性も高い。正面にあるタオル・パジャマなどが並んでいる風呂用品・寝具の売り場に入り棚の間を縫うようにして左に進む。
「キャッチ、ターゲットがアクセサリー売り場についた。一通り商品を見て回っているようだ。動き回っているんで慎重にな。」
「了解。」
ふとんの棚を抜け、バスタオルや風呂用品の売場を抜けると正面にアクセサリー売場が見える。屈みこんで様子を伺うと、透羅は商品を見ながら、左手に持ったドアミ二でしきりに何か確認しているようだ。鷺沼が来たとという連絡はまだ来ない。
今回は、1人で来たのか?
念のために風呂用品売場の棚に隠れて通路の様子を伺ってみる。知った顔は見当たらない。透羅は、ひとしきり移動がすむと透羅はカバン売場とアクセサリー売場の間の通路で立ち止まりブローチを手にとってみている。そして、ゆっくりと辺りを見回した。
・・・やるかもしれない.
この位置からでは、手元までは見えない。透羅のいる棚から2つ離れた棚の通路を一気に通り抜けて、アクセサリー売場を挟んだ風呂用品売場の反対側にある婦人服の売場に出る。
商品のあるハンガーの陰を移動し、透羅の後姿を斜めから確認できる位置に来る。透羅は、こちらとは反対側に身体を向け通路の様子を伺っている。ブローチを手に持ったまま傍目にも緊張しているのがわかる。
透羅は一瞬、ぐっと身体を縮めたかと思うと、そのまま通路に飛び出した。
あせっていたのか通路に飛び出した際に棚にぶつかって「ガン」と鈍い音がする。店内に響くほどではないが、周囲にいる人間の目を集める位の音はある。
透羅はそのまま風呂用品売場前の通路を小走りにエスカレーター1の方角へ向かっていく。
何やってんだ、アイツは!
オレは心の中で叫びながら、さっきまで透羅のいた場所に行き棚の状態を確認する。透羅が持っていたブローチがあったであろう場所はすっぽり空いている。
急いでアクセサリー売場を後にし、靴・バック売場と婦人服売場に挟まれた通路を走る。




