第1話吸血鬼
いつも通りアジトで小刀を研いでいると、雪がものすごい勢いでドアを開けた。
「もう少し静かに開けろよ!ドアが壊れちゃうだろ!」
俺が睨むと、走って帰ってきたのか、ハァハァと息を荒げる雪は「す…すごいんだよぉ…」と言い、その場に崩れた。それを見て瞬時に相手にするだけ無駄だと判断した俺は再び小刀の方に視線を移した。
すると、水を持った雨がのろのろと雪のもとに歩いて行き
「大丈夫かい?水でも飲んで落ち着きなよ。話はそれから聞こう。」と、いつも通りの低いトーンで声をかけ、水を手渡すと、部屋の奥へと消えていった。
しばらくして雪が落ち着き、水を飲み干した頃、雨がクッキーを持ってきた。雪はそれをつまむと一枚の紙をテーブルの上に出した。
「なんだい?その…紙切れは。見ても…いいかい?」
雨はそう言うと雪の返答を待つこともなく紙をまじまじと見つめた。
「んー?…ほほう…ななんだいこれは…クッ…またまたこのこは面白いもんを拾ってきたねぇ…」
そう言うと紙を飛行機型に折り、フラフラ~っとこちらに飛ばしてきた。俺はそれを受け取り、声に出して読んだ。
「えーっと?(レジスタンスの皆さんこんにちは。俺は吸血鬼です。今、とある殺し屋集団に追われています。一人では逃げられそうにありません。と、いうことで、皆さんに助けて欲しいのです。成功したら、秘宝、ブルーマリーを差し上げます。では、明日の夜、泉のところで待ってます。)だぁ?怪しすぎんだろ!吸血鬼?!はw中二病ってやつか!ブルーマリーって、そんなもん持ってる奴がなんで一人殺し屋集団に追われてんだよ馬鹿か!からかってるとしか思えん。無視だ無視!何が何でも無しだ!」
俺はそう言うと、思いっきり机をけった。なぜだろう。つま先が熱い。
すると、ぎぃっとドアがあき、
「あっははwきゅ、吸血鬼っwいーじゃん面白そう!」
と、異常にテンションの高い女が乱入してきた。
「空亜!」
俺が余計なこと言うな!と、睨むと
「ちぃーっす」
と、白い八重歯をちらっと見せ笑った。
このテンションの高さから察するにカジノ帰りか仕事帰りかのどっちかだろう。
まぁ、返り血を嫌い、絶対に浴びないやつの先方では判断は難しいが、おそらく、これは、2、3人殺ってきたと見た。
「ひっひっひ・・・吸血鬼…解体改造解剖実験採血…ヒヒヒヒヒヒヒ…」
うわー、ねぇさんスイッチ入ってるわーwww
「ね、ね?!すごいでしょ?!だって私たちから声かけないで依頼してきたのなんてこいつが初めてじゃんっ!助けてー、拷問にかけてー、爪と骨をゆーっくりばらばらにしてぇ…殺してあげよぉ?あはっ!吸血鬼ってどんな声で啼いてくれるのかなぁ・・・」
うわ、こいつもか・・・吸血鬼ネタで一気にテンションの上がった女性陣を見て俺が若干引いていると
「まて。」
冷静な声で言い放ったのは空亜。
「おい雪。自分から声をかけてないってお前これどこにあったんだ?」
紙に視線を移し、雪に問った。
「ん~?地上の隠し扉の木にくくってあたの~」
と、なぜそんなことを?という顔で答えた。
すると、注射器を回して遊んでた雨が
「危険…ふふふ…なるほどねぇ…確かに…」
と、つぶやいた。俺と雪は理解できずにいた。すると空亜は呆れたと言わんばかりの大きなため息をつき、こう言い放った。
「バレていないはずのアジトのそばに、依頼書があった。それで危険ではないと、君たちはいえるのかい?」
…なるほど・・・な。場所バレか・・・
「え?やばいじゃん…挑戦状だったてことなの?危ないじゃんっ!逃げる…の?」口元を抑え雪が言った。小刻みに震えている。が、恐怖心は感じられない。
「どーすんの破斗。退散しますかぁ?」白い八重歯を見せ、ニコっと笑い、空亜が聞いてきた。
ソファではカリカリとクッキーをかじりながらクックック…と不気味に笑う雨がこちらを見ていた。
どうやらみんな、おんなじ意見のようだ。
「いいだろう。明日の夜、みんなで吸血鬼さんを見に行ってやろーじゃねーか。居場所知られてこんな文章頂いたら行動で返してあげねーとだしな!みんな、いいよな!」
そういうと、
「おっけー。」
空亜が言うと続けて二人も、
「拷問ーっ♡」
「クッ・・・ひっとらえて実験したいねぇ・・・」と、少々怖い返事をしてくれた。
だけど、このときは俺もみんなも心躍る展開にワクワクしていた。
このあと、どんな悲劇が待ち受けているかも知らずに。
このルートを選んだことが正解か否か、
そして待ち受けているのは希望か絶望か。
この時はまだ考えてもいなかったんだ。
この先何が起こり、俺たちがどうなっていくのか
それはまだ先の話
はじめまして、こんにちは。ねぎま。です
はい。今回は第1話ということでね、これからだーってかんじになったんですけど、これから彼らレジスタンスがどう動くのか、楽しみでしかたない私ですw
第1、5話を作り、現在公開可能な情報part1をやります。けっこう皆さんキャラが濃いのでね、書いててたのしいです。はい。評価や、コメント(コメントってできるんですかね←初心者乙w)くださると嬉しいです。どくしゃのみなさんが私の支えです((キリッ
まだまだ続きそうですが、何卒よろしくおねがいします。
ではまた1、5話でお会いしましょう!