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魔王城の夜明け

???「頭の部屋ですかい?それなら最上階にありまっせ」

レイ「そうか。・・・・・・ありがとう」

???「夜這っすか?夜這いですかい?旦那も見かけによらすお盛んなようで」

レイ「たわけ」


牛と猫の顔をした魔族にエレナの居場所を聞き、最上階へ向かう。






挿絵(By みてみん)



???「・・・・あいつ本当に人間っすかねぇ。臭いというか雰囲気が俺たちと同じなんすが」

???「いや俺たちよりも魔族っぽいかもしんねーぜ。こいつぁ俺らの良い頭になりそうじゃないの」




最上階には部屋は一つしかないようだ。魔王の部屋という割には禍々しい感じはなくごく普通の扉だ。


レイ「エレナ、居るか?」


エレナ「・・・・・・おう、レイか。・・・どうした?」

レイ「入ってもいいか」

エレナ「おう、構わんぞ」





扉と同じく質素な部屋だ。

ベッドと机と本棚が3つぐらいしかない。


エレナ「まぁそこに座れ」


俺は入り口の近くにある長椅子に腰をかけた。





挿絵(By みてみん)





エレナ「もうすっかり暗い。今日はここに泊まっていけ」

レイ「ああ、助かる。・・・すまないな。これから寝るところを押し掛けてしまって」

エレナ「いいや、すぐには寝るわけでもないからな」

レイ「・・・・・・」

エレナ「・・・・・・」



エレナ「・・・・まぁ、なんだ。手紙にはああ書かれてはいたがどうするかはレイ次第だ。別にお前への命令じゃないんだから無視でもいいじゃないか」

レイ「・・・・・・」

エレナ「私は一向に構わんぞ。もしお前にその気があっても今決められないというのならゆっくり考えてもいい」



レイ「・・・・・・お前はいいのか?国王とはいえ人間の言い分を受け入れるなんて」

エレナ「初めて会ったときから私はお前に一目惚れだ。お前になら私の全てを捧げてもいいと思っている。そういう理由じゃダメか?」

レイ「・・・・・・」



どうしてここまで人間臭い言葉が吐けるのか。

初めて会ったときからエレナには驚かされてばかりだ。

もしかしたら今まで自分が会ってきた誰よりも人間らしいのかもしれない。



レイ「・・・そんなに買いかぶり過ぎるな。俺はお前が思っているほど大層な男じゃない。だいたい戦闘力ならお前の方が上だぞ」

エレナ「はっはっは。そんなに自分を過小評価するな。お前は私を十分満足させられる男だ」

レイ「・・・・・まったく、そんな自信がどこから来るんだ」

エレナ「お前を見ていれば分かるさ。ともかく、私はいつまでもお前と共にいたい」

レイ「・・・・・・」


なんだか調子が狂うがエレナと一緒にいるのは俺も心地がよい。



魔族っぽい人間と人間っぽい魔族。

この二つが合わさるのもまた運命なのか。


レイ「・・・それも、覚悟の一つなんだな」

エレナ「ん?なんだそれは」


エレナの想いは十分過ぎるほど感じる。その想いに応える覚悟を決めた。



レイ「分かった。俺も腹を括るよ」


俺は長椅子から立ち上がった。



レイ「俺はお前を妻に迎える。そしてこの国の魔王となる」

エレナ「お、随分と決断が早いじゃないか」

レイ「お前に比べたら相当遅かったけどな」

エレナ「ははは、そうか。では改めて・・・ふつつか者だがよろしく頼む」

レイ「・・・どこで覚えたんだその言葉。まぁいい、こちらこそよろしく頼む」






夜が更けて俺たち全員、魔王の間に集まった。



エレナ「お前らよく聞け。私たちの仲間が二人加わった」


玉座の前に俺とソフィアは並ぶ。


レイ「レイモンド=リウドルフィングだ」

ソフィア「ソフィア=フランコニアです。みんなよろしくね」


エレナ「そういえばこいつらの紹介がまだだったな。この機会に紹介する」



エレナ「一番左の牛のような顔したやつはゴンズ。成りはゴツいが頭はそれなりに切れる。ちょっとのんびり屋なのが玉に傷だが」

ゴンズ「おう、よろしく」


エレナ「真ん中のでっかい猫みたいなのはニキャータ。まぁ色々と軽いやつだ」

ニキャータ「軽いだなんて酷いなぁ姐さん。おいらも色々考えてるんですぜ」


エレナ「で一番右の全身鎧のやつはロレンス。堅物だが悪いやつではないぞ」

ロレンス「よろしくお願い申す」



エレナ「で、お前らはもう知ってるかもしれないがレイと私は夫婦になった。そしてレイが新しい頭だ。お前らレイの言うことをしっかり聞け」


レイ「・・・・・・まぁ頭に立つようなガラじゃないが自由気ままにやっていこうと思う」

ニキャータ「いえいえもう頭の貫禄満ち溢れてますぜ兄貴」

レイ「阿呆」



ゴンズ「新しい頭を迎えたってことは元の頭は何て呼べばいいんすかね」

エレナ「別になんでもいいだろ。エレナでも元頭でも好きに呼べ」

ゴンズ「ほい。あっしも姐さんって呼ぶっす」


ニキャータ「で、お頭。これからどうします?」


レイ「早速だがアストリアへ向おうと思う。国王陛下へ報告しなければならない」

ゴンズ「あと国王に何考えてるのか聞き出す必要もあるっすね」

ニキャータ「色々と謎だらけっすからねぇ~あの手紙。あっしたちも行くんですかい?」

レイ「そうだな。アストリアは人間だけの国だ。エレナは耳を隠せば大丈夫だがお前たちが来たら街は混乱するだろう。すまないがここで待機してくれないか」

ニキャータ「駄目っすよ駄目駄目。ここはバシっと命令してくんなきゃ!」

レイ「・・・ああ、そうだな。お前らはここで待機しろ」


ゴンズ「ういっす」

ニキャータ「了解っすよ~兄貴」

ロレンス「承知仕った」



レイ「よし、アストリアへ出発するか」

ソフィア「了解でありますお頭!」

レイ「・・・なんだそりゃ」

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