叙任と宣誓と屋敷と執事
叙勲の式典は、事前に布告が為されていた為、王都の近隣に住まう貴族やその家族で賑わっていた。
この国では、法衣貴族以外の新しい貴族が生まれるのは実に四十年ぶりだという事だ。
しかし、賑わっているのはそれだけではない。
貴族派としては派閥を減衰させた張本人でもあり、鞍替えしその勢いと名声にあやかりたいと目論む者も居る。
以前の名誉騎士の叙勲とは、白山に近寄ってくる人間の態度が、あからさまに異なっている。
国王派の法衣貴族などは、叙勲を喜び家族などを紹介してくれる。
逆に貴族派の諸侯は簡素に形式的な言葉を述べると、どこかよそよそしい態度で白山に接していた。
王から子爵位を授かる際にも接見の間では、特にトラブルはなく王家の紋章が彫り込まれた短剣が王の手に渡される。
「汝、ホワイトはレイスラット王国の子爵として、国に尽くし万難を排してその忠節を国に捧げると誓うか……」
低く、そして威厳のある王の声が、接見の間に響く。
一呼吸の間があり、王のそばに片膝をついている白山が声を発する。
「……国の平和と独立を守る使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、
心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感を持ち、専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、
身をもって責務の完遂に努め、もってその負託にこたえることを誓います」
その宣誓の言葉に、わずかに会場がざわめく……
本来であれば、『誓います』の一言で良い返答に、長文を用いて応えた白山に対して動揺が広がる。
周囲が静まるのを待ち、王はゆっくりとそれに対して返答を述べる。
「ならば、レイスラット王として貴殿を子爵として叙任し、その証として王家の短剣を授けるものとする」
白山は、ゆっくりとその短剣を捧げ持ち、数歩下がるとゆっくりと立ち上がった。
『服務の宣誓』 自衛官であれば誰でもが入隊式で宣誓し、そしてその内容に署名捺印し提出が求められる。
国防軍になってからもその伝統は変わらず、隊員はその宣誓を行っている。
白山は、叙任される事が決定し式典の流れについて説明を受けていた。
その中で先の宣誓について説明された時、ふと白山は自身の立ち位置について思い至る。
白山は今でも、日本国陸上国防軍 特殊作戦群に籍を置いているのだ。
立場上はレイスラット王国に世話になり、自身の活動が認められその功績で貴族に叙任される……
それはこの国の政治機構に参加し、国の一員として命を懸けなければならない事も意味する。
だがあくまでそれは、この国の都合であり、白山を取り巻く状況がそうさせているからだ。
あくまで白山の根底にあるのは、日本人としての意識と、自衛官である矜持だった。
二重国籍とも違う、言い換えればPKOや国際貢献活動でその国に敬意や愛着を覚え、その国が良くなるように尽力する。
たとえそれで命を落とす事になろうとも、任務や行動に手を抜く事はない。
しかしそれは先人の教えでもあり、日本人としての意識がそうさせるのだ……
もし、ここで白山が日本人であることを捨て、レイスラット王国に忠誠を誓ったら……
何か大切な物が、白山の心根から消えてしまうような気がしていた。
基本に立ち返る……
その為に自衛官としての意識の根幹である、服務の宣誓を諳んじていた。
この国を護る盾であり鉾である為に……
そして、自らのアイデンティティを見失わない為に……
順調に式次第は消化され、つつがなく叙任式が終わる。
昼過ぎから始まった式典が終了し、引き続いて夕方から祝宴が執り行われる事になっている。
僅かではあるが休憩と衣装替えを行うため、控えの間に移動した白山はドサリとソファに体を投げ出すと、大きく息を吐いた。
相変わらず堅苦しい式典や儀礼は苦手だった。
リオンの入れてくれたお茶が沁みる。
今日はリオンもシックな装いで、白山のそばに控えていた。
淡く青い色のワンピースを着たリオンは、小脇に小さなポーチを抱え胸元に小さなブローチを留めている。
その姿は、少し前の目線が虚ろな影だった頃の面影はなく、ラベンダーのような可憐さを漂わせていた。
控えめなノックの音と共に、こちらもやや疲れた表情の宰相が姿を現す。
互いに視線を合わせた両者は、向い合って座るとサラトナが口を開いた。
「先程の宣誓で述べた言葉、あれは何だったんだ?
今、サロンではその話で持ちきりだったぞ」
その言葉に苦笑した白山は、首を横に振り他意がないことを示す。
己の決意は、その胸中にだけあればいいと考える新任の貴族は、言葉を濁した。
「言葉は言葉です。 そのままの意味ですよ。
私の言葉が式典を見ていた諸侯がどう受け取ったかは、判りませんがね」
その言葉に、忍び笑いをこぼす宰相を尻目に白山は立ち上がると上着を脱ぎ同じ色の礼服に着替える。
儀礼用の重苦しい上着から、それよりは少しマシな上着を羽織り直す。
「後で、先程の言葉をもう一度教えてくれ。
次の新任貴族の叙任で同じように、宣誓に使わせてもらいたい……」
その言葉に頷いた白山は、立ち上がった宰相と共に祝宴の会場となるホールに向かって進み始めた……
主役の登場で俄に活気づいたホールの内部は、ザワザワとした囁きと視線を白山へ集中させた。
その中で案内された席に着席した白山は、そんな視線を意に介さずゆっくりと祝宴の開始を待つ。
そしてレイスラット王、王女であるグレースがお出ましを告げる鈴の音が鳴ると、潮が引くように囁き声が鎮まった。
ホールにゆっくりと姿を現し白山の一段上の席へ向かうレイスラット王は、起立した白山に一瞬視線を向けるとわずかに微笑む。
マントを翻し居並ぶ諸侯とその家族らが視線を向ける中、レイスラット王が徐ろに口を開いた。
「皆、参集大儀であった。
今宵はホワイト子爵の叙任を祝う席である。ゆるりと過ごして欲しい」
そう言った王は着席すると、宰相が次いで言葉を発する。
「ホワイト公は、今回の戦役での功績及び昨今の周辺国の情勢を鑑みて、新たな軍を創設する」
その言葉は既に布告が出されている事柄であり、動揺は少なく祝福の拍手が周囲から上がった。
「もう一つ報告がある! これまでの功績と陛下の意向を踏まえホワイト子爵をグレース王女の婚約者候補とするものである」
この発表は、この場で初めて布告されるものであり、周囲には大きなどよめきが起こる。
周囲の視線はグレースと白山に注がれ、新たな権力バランスについて囁き声がそこかしこから聞こえてくる。
そして、最悪のタイミングで老獪な宰相が、挨拶のタイミングを白山へ譲った。
やれやれと、思いながら白山はゆっくりと立ち上がり、表情を変えずに周囲に視線を走らせてから口を開いた。
「ご紹介に預かったホワイトだ。紋章官の手続きがまだ済んでいないため後程、正式な家名を発表させて頂きたいと思う。
さて…… 宰相殿からあった通り、間もなく王陛下より頂いた裁可によって、新たな軍を発足させる」
そこで言葉を切った白山は、会場が静まるのを待ってから語を継いだ。
「この軍は、王国を護る盾であり鉾である。
この国を取り巻く情勢は厳しい。 そして予断を許さない喫緊の状況でもある。
ぜひこの場におわす諸侯の皆様にも、力を貸して頂きたい」
このホールに居並ぶ諸侯は、この白山の挨拶と先程の叙任式で述べた宣誓の言葉の意味を思い返す。
ポツポツと鳴り始めた拍手は、やがてその流れが奔流となるように、大きくなっていった……
******
つつがなく叙任式を乗り越えた翌日、白山は宰相から渡された鍵を手に、王城から程近い屋敷を訪れていた。
バルム領の叙勲での褒賞だった白山の屋敷について、その補修や清掃が終わり入居出来る状態になったと言われ、昨夜その鍵を手渡されたのだ。
塀で囲まれた大きな屋敷は、広い庭に二階建ての豪邸で、部屋数だけでも二十以上ある。
無論、貴族の屋敷としては慎ましやかな部類に入るのだが、それでも白山とリオンの手には余る代物だった……
いつまでも王宮で世話になるのも心苦しいが、これだけの豪邸をポンと渡されても扱いに困る。
「とりあえず、中を見てみるか……」
呆れ顔で屋敷を眺めていた白山は、リオンを促して屋敷の中に足を踏み入れる。
広い玄関ホールに階段、左右には応接室らしき広い部屋と広い食堂、家人や使用人達が使用する小さな部屋などがあり、食堂からは、庭の景色が映える。
二階は私室や寝室、客間などからなり十分すぎる広さと部屋数を誇っている。
ひと通り屋敷の中を見て回った白山とリオンは、今後について話し始める。
「屋敷を貰ったのは良いが、これは広過ぎやしないか?」
白山の言葉に、私室に備え付けられていたソファに腰をおろしていたリオンが珍しく苦笑交じりに返答する。
「これだけ広いと掃除も一苦労ですし、私だけでは手が回らないですね」
二人の一致した意見に、誰か人を雇う必要があると考えるがその伝手は限られていた。
クローシュに相談するかそれとも城の人間に誰かを紹介してもらうしか無いだろう。
白山の特殊な事情から、あまり大っぴらな募集はかけられない。
その人間の素性も調べなければならないし、そうそう迂闊な人間を選ぶことも出来ないのだ。
このままでは、宝の持ち腐れかと思った時、静かに何かの音が響いた。
反射的にリオンがMP7に手を伸ばし様子をうかがうために階下へ降りてゆく……
それをバックアップするべく、白山もその後に続いた。
一階に辿り着いた白山達は、音の発生源を確かめる。
どうやら玄関のノッカーが鳴らされているようだ……
警戒を解き、後ろ手にSIGを隠した白山がゆっくりと応対する。
リオンはその白山の意を汲み取りすぐさま階段上からそれを援護していた。
ガチャリと重厚な扉を開けた白山の目に飛び込んできたのは、懐かしい顔だった。
そこにはバルム領で領主館を強襲した時に、白山とワインを酌み交わした執事のフォウルが姿勢よく立っている。
その顔を認めた白山は少しだけ警戒を解き、その突然の来訪者を迎えた。
「フォウルさん! お久しぶりですね」
白山は、後ろ手に握ったSIGをベルトに押し込むと、スーツに似た私服を着込んだフォウルを屋敷へ招き入れた。
一礼してその招きに応じたフォウルは、応接室へと案内されると周囲を見回し口を開く。
「ホワイト様、お久しぶりです。
先の領主館ではお世話になりました」
そう言って深々と頭を下げたフォウルは、此処へ来た経緯を話してくれた。
何でもバルム領での引き継ぎと後始末を終えた彼は、次の仕事を探すべく伝手を頼って王都に来たと言う。
そこで、仕事を探そうと滞在中に、白山の話を聞きお礼を兼ねて挨拶に伺ったのだと言ってくれた。
屋敷の体裁が整うまでは、暫く王宮で厄介にならなければならないかと考えていた白山は、その話を聞き、フォウルに尋ねた。
「率直に言えば、どう扱えば良いか。 今の所、ここに住むのは私とリオンだけですが、些か広すぎます……」
そう言って苦笑した白山は、フォウルに教えを請うべく口を開こうとした。
しかし、その言葉は老執事のやわらかな制止で遮られた。
「ホワイト様、貴方様は既に貴族となられた身です。
家内の状況を、軽々しく口になされては、他家に侮られます」
白山はその老執事の言葉を聞き、自分の仕事に誇りを持ち、軽々しくその家の内情について、口にしない姿勢に改めて好感を抱く。
そして質問の内容を変え、フォウルに切り出した。
「それは失礼、未だ貴族のしきたりには疎くて……
ところで、フォウルさんは王都での職はお決まりに?」
その質問に、笑顔で首を横に降ったフォウルは、目線で何かを語っていた。
「ならば、フォウルさんに当家へ仕えて頂きたいと思いますが如何ですかな?」
その言葉を聞いたフォウルはゆっくり立ち上がると、居住まいを正し丁寧にお辞儀をする。
「是非、ホワイト様のお屋敷にて、奉公をさせて頂きたいと存じます。
老骨に鞭打つ覚悟で努めさせて頂きます故……」
フォウルはそう言うと頭を上げ、早速執事としての仕事にとりかかるべく動き始める。
「では、屋敷の事については不肖フォウルがすべてを取り仕切らせて頂きます」
屋敷の鍵を預かったフォウルは、そう言うと白山のもとに膝をつき、細かい話について打ち合わせを始める。
その結果、執事などは一般的に年間金貨二枚程度の給金が相場というが、白山はフォウルの経験を考慮して金貨三枚を提示しその場で支払う。
そして、使用人や必要な物品などについては、フォウルに一任した。
これは特に白山がこの世界の世情に疎い事や、そこまで手が回らない為言わば丸投げの形とした。
それでも慌てることなく、フォウルは「委細お任せ下さい」と言い、白山もその言葉を信じることにする。
当座の資金に関しては、必要な分をクローシュ商会に預けてある鐙の販売利益から引き出すように指示を出し、その件をメモ帳に認める。
白山が使っているメモ帳は、白山が召喚された時に持っていた物であり、この時代の製紙技術では作り得ない物だった。
そこへボールペンで文章を書けば、唯一無二の証書が出来上がる。
クローシュも、白山のメモとサインについてはこれまでの取引を通じて見知っており、これで問題はない筈だ。
そうして、もろもろの相談事を済ませると、一礼して屋敷の中を見てくると言ってフォウルは部屋を後にする。
どうしたものかと思っていた屋敷の人手が、思わぬ形で解決した事に白山は安堵する。
これ以上難問を抱えては、いかに白山と言えどオーバーワークすぎると考えていた。
リオンも、どこかホッとした様子で白山を見ており、互いにその表情を見て笑い合った。
「さて、今日も忙しい。 そろそろ仕事に戻ろうか……」
白山はこの所、部隊の設立で忙しく動き回っている。
今日もこれから基地で、選抜試験の準備を行わなければならない。
その言葉に、リオンも表情を引き締めて頷いてくれる。
席を立った白山達が玄関に向かうと、何処からかフォウルが現れて、玄関ドアを開け見送ってくれる。
「夕方には戻ると思います。 荷物については明日以降王宮から私物を運ぶ予定をしているので、お願いします」
白山はフォウルにそう伝えると「……畏まりました」と短く返答が帰ってくる。
傅かれる事に慣れていない白山は、ややぎこちなくも見送りを受け、基地に向けて車両を発進させていった。
夕方になり、日没が近い頃になってようやく白山達は屋敷に向けて高機動車を走らせていた。
ヘッドライトを点灯させ屋敷に近づいた時、奇妙な光景が見えてくる……
フォウルしか居ないはずの屋敷から、ランプの暖かな光が灯っているのが見え、煮炊きのものなのか煙突から煙が登っている。
見れば庭先に、見知らぬ服の少女が掃除をしていた。
一瞬、高機動車の威容に驚いた風の少女は、一度頭を下げると何事かを屋敷に伝え、そして白山達の到着を待った。
白山が高機動車を停めると、玄関からフォウルを筆頭に、幾人かの見知らぬ人間達が出てきて白山を出迎える。
「お館様、お帰りなさいませ……」
フォウルの一礼に続いて、居並ぶ面々が頭を下げる。
車両から降りてその出迎えを受けた白山は、突然の事態に面食らってしまう。
「フォウルさん、これは一体……」
白山が尋ねると、フォウルは当然のようにそれに答えた。
「本日付けで雇い入れました、ホワイト子爵家の使用人達で御座います」
その言葉を受け、使用人達が一斉に頭を下げる。
僅か半日足らずで、これだけの人間を集めてきたフォウルの手腕に、白山は舌を巻くしかなかった……
「夕食の際に改めて紹介致しますが、皆働き者で身元の確かな者ばかりで御座います」
そう言いながら白山とリオンを屋敷内に通したフォウルは、二階の私室に白山達を案内し見事な手つきで茶を差し出す。
そのお茶を味わっていると、メイドの一人が部屋をノックする。
湯浴みの支度が整ったと報せせてくれ、まだ慣れない室内を歩いて浴室へ向かう。
王宮では客室は日が暮れると湯が沸かされており、いつでも入浴ができたがそれに負けず劣らず行き届いた仕事だった。
風呂から上がりさっぱりとした白山は、用意された洗いざらしのこの時代の肌着に袖を通すと、再び私室へ戻る。
すると先程のメイドが、何か飲み物を白山に給仕してくれた。
ミントの風味が付いた爽やかな果実水は、風呂あがりには有難く、白山はそれをゆっくり味わっていた。
程なくして、リオンも風呂から引き上げてきた。
驚いた事に、化粧っ気のなかったリオンが薄く化粧をして、ゆったりとしたワンピースに袖を通し私室にやって来たのだ。
驚いた白山がリオンに尋ねると、メイドが風呂あがりに髪を梳き、化粧まで行ってくれたと、やや困惑しながらも答えてくれる。
「私も驚きました…… 体を拭くとまで言われまして…… さすがにそれは断りましたが……」
白山は城での経験があったので、事前にそれは断っていたが初めての経験だったリオンは、半ばされるがままに化粧までされたと言う。
「似合っているから問題ない……」
白山が少し恥ずかしそうにそう言うと、リオンも少し俯きながら「……ありがとうございます」と小さな声で答える。
控えめながら要所を押さえた化粧は、元々整ったリオンの魅力を間違いなく引き出していた。
すると、会話のタイミングを見計らっていたのかと思える程、適切な頃合いで私室の扉がノックされフォウルが姿を見せる。
「お食事の用意が整いました……食堂へお越し下さいませ」
そう言ったフォウルは、呆気にとられた様子の二人を見て、慎重に両者へ尋ねた。
「初日ゆえ、至らぬ点も多かったかと存じますが何か不手際でもありましたでしょうか……?」
そう尋ねたフォウルに、白山は首を横に振る。
そして食堂に向けて、ゆっくりと歩いて行った……
食堂内も、朝見た様子とは変貌していた。
ガランとしていた食堂には、大きなテーブルが運び込まれ糊の効いたテーブルクロスと食器が並べられている。
大きな燭台にはろうそくがゆらめき、食堂からは良い香りが漂ってくる。
フォウルが引いてくれた椅子に腰掛けると、食前酒のグラスにワインが注がれる。
その給仕の仕草は、王宮の中でも通用するほどに洗練されており、一部の隙もない。
そうしてグラスにワインが注がれると、程なくして先程のメイドや使用人達が食堂に整列した。
フォウルを筆頭に、順番に自己紹介が成されてゆく。
メイドは、ある貴族家のメイドを長年勤めていたメイド長を筆頭に、合計で六名
そしてこの食堂と厨房を司る調理人が、二名
庭師兼馬屋番が一名で、全員で十名となっていた……
屋敷を維持して、貴族としての体面を保つために必要最低限の人数であると、フォウルが教えてくれる。
だが、これまで軍人として過ごしてきた白山としては、身の回りの事は全て自分で行えるので逆に緊張してしまう。
少し考えた白山は、今後について後でフォウルと話し合う必要があると、思いながら使用人達の自己紹介を聞いて行った…………
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